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平和 通訳ガイドの役割

通訳ガイドのぶんちょうです。
ガイドって必要ですか?

スマホさえあれば、観光地の情報も行き方も簡単に得られる時代です。ガイドって要らないでしょと考えるのも納得です。

ある日のツアーのこと。ツアーデザイナーさんからの指示で朝1番にスカツリーに行くことになっていました。

スカイツリーには展望台があり、晴れた日には遠くまで東京とその近郊の都市を一望にできる気持ちのいい、とても人気の場所です。

都心のホテルから見えるスカイツリーを見ながらゲストは「展望台には興味ない。色々な国のタワーに行ってきたから」と強めに一蹴しました。

ツアーの行き先は当然ながら、当日のゲストの意見が最優先されます。時には、旅程はあってないようなものになります。

「では別の場所に」と言うことでスタートしたツアー。その日、スカイツリーのよく見える隅田川のほとりで、スカイツリーがどんな苦労で作られたか、どんな構造をしているのかの話をしました。

すると「そんな背景物語があるなら行ってもよかったなあ」とゲストが洩らしました。

当たり前過ぎて言うのも憚れるのですが、このことがガイドの仕事をいちばん表しているのではないかと思うのです。

つまり、誰かにとってのただの鉄塔(ごめんね、スカツリちゃん!)を行く価値のある、そこ行きたいと思う特別な場所にするのがガイドの仕事のひとつです。

スカイツリーだけではなく、日本と言う国そのものも盛り上げていきたい。いつもそう思って仕事をしています。

地震の頻発、貧富の差拡大による犯罪の増加、国際社会での日本の立場、これからの日本の展望、探せば暗いニュースは限りなく出てきます。

それでも、日本には誇るべき製品や文化財が沢山あり、そして何よりも世界から尊敬されるマナーと人格を備えた民族だと信じています。

人に自らの欠点やできないことを並べてばかりでは、話し相手につまらない思いをさせます。それと同じで、祖国に悪い面があることは認めつつ、いい面、優れた面を見つめて、それを私たちは未来にも残していきたいと思っているのだと言う前向きな姿勢を外国の人に見せてあげたいと思っています。

自分の祖国を愛して、いい面をアピールすることで、訪れた観光客が日本はいい国だった。あそこの国民は善良で誇りを持って生きていると言う感想を携えて帰国してほしいと願っています。

それが世界の平和にプチ貢献していくことになりませんか。日本という国を守ることになりませんか。大げさでしょうか。でも好きな人を攻撃することはできないと思うのです。


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