妊娠初期~産院デビュー~
不妊治療をはじめて1年。
タイミングと人工授精を経て、体外受精2回目にして妊娠することができた。
その時年齢は39歳になったばかり。
凍結杯はラスト1個という状態での妊娠は、年齢など考えても本当に奇跡だったと思う。
妊娠は、本当に奇跡だ。
20代前半の若い夫婦でも、不妊治療に通っている人は思った以上にいた。
不妊じゃなくても、自然妊娠の確率はそんなに高くないんだと、治療をはじめてから知った。
私の年齢で、治療をはじめて1年で妊娠できる確率はもっともっと低いだろうと思う。
書き忘れていたけれど、不妊治療をはじめて判明したことがある。
子宮筋腫があった。
およそ4センチくらいの筋腫だけど、妊娠には影響のない場所にあるとのことで、とりあえず様子見ということになっていた。
妊娠してから、この筋腫に苦しめられることになるとは知らずに。
─妊娠が判明してから次の週、クリニックへ行った。
胎嚢を確認。まだ赤ちゃんとなる胎芽は確認できなかったけど、まずは一安心。
私は高プロラクチン血症という、妊娠するために支障となるホルモン値が高いため、妊娠が判明してからもまだ薬を飲んでいる。
あと2回、このクリニックで妊娠の経過を見てもらって、心音が確認できたら出産予定日を確認して不妊治療クリニックは晴れて卒業となる。
あんなに足取りが重かったクリニックへの道も、あと少しで卒業となると感慨深い。
とはいえ、まだまだ妊娠の実感がないのでクリニックで胎嚢を確認するまでは不安で仕方がない。
翌週には、胎芽が確認でき、その次の内診では、とうとう心臓らしきものが動いているのがわずかに確認できてテンションが上がった。
そして、出産予定日は、6月8日。
産院への紹介状を書いてもらい、1年通った不妊治療クリニックを卒業となった。
無愛想な先生、優しい看護師さんたち、美人揃いの事務的な受付のお姉さんたち、最後までさっぱりとした対応だったけど、妊娠できたのはクリニックのおかげであるので、本当に感謝しています。お世話になりました。
出戻らないように、祈りながら。
─11月。紹介状を持って、始めての産院へ。
不妊治療専門のクリニックとは打って変わったその賑やかで少し騒がしい雰囲気に少しワクワクしながら、受付を済ませる。
子供が走り回り、お腹の大きな女性がたくさんいる。
なんて幸せな場所なんだろう。
私もあんなふうになれるんだろうか。
まだ、実感がなかった。
たくさんのパンフレットや案内の冊子をもらってじわじわと嬉しさと不安がこみあげる。
出産までどうかなにごともなく進みますように。
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