女の朝パート9

泣きたいような、笑いたいような、、

かと言ってどっちでもないような、変な気分だと思った。

このどっち付かずな気持ちの正体は一体何なのだろう?





暗転



今日は5月11日土曜日。

ここは田端のスタバ。

時刻は間も無く9時。

良く晴れた爽やかな朝に心は踊る。

今朝の予報によると今日は真夏並みの暑さになるらしい。

あらあらまぁ。

ならば、まめな水分補給で新陳代謝を良くし、

RANBOX やホットピラティスに出る事で、

年齢や環境にも狼狽えず、更には結果も出るかもしれない身体造りエクササイズをしようではないか?!と思うのが今のワタシの正直な気持ちなの❤️。あなたならきっと出来るわ!

ただ、今ここでは直接お伝え出来ないし、話すこともできないから、

宜しくお願い致しま~すと言う想いを込めて、

記念の写メを残すわ









暗転


もうじき鐘がなる。

鐘が鳴れば音がでる。

音と言うものは、いつどこにいてもその場の空気を一切読まないらしい。

それにワタシの今の気持ちにさえも関心を示してくれない。

まるで冷酷非道の正体不明の魔物のよう。。。

何が愛でたくて、

何処の誰かも解らない人達とワタシは、

その音を聴かなければならないの?

ワタシは、今、泣きたいような、笑いたいような、かといってどっちでも良いような気持ちでここに座っているって言うのに、、、。


『さぁ、皆様。今日も一日頑張りましょう!

この(鐘の音が鳴り終えた)先には、

これまでの生活が一変してしまうような素晴らしい人生や出逢いが待ってるのですよ!

夢やあこがれ、なりたい自分に近づけて、

より安心、より安全、より幸福になれるその報せが、この音なのですよ!』


女は思わず笑って仕舞った。

鐘の音がそう言ってる気がし、その意味もまるで解らないから。


その時だった。

ワタシは多分頑張ってるわ!

そんな事を言うのは邪道よ!そして失言よ!

言わせてもらうけれど、泣きたいし、笑いたいから、皆、頑張るんじゃないの!


女は、自分に驚いた。


暗転



女は、記憶を辿っていた。

あれは3日前。

あの日ワタシは人生始めての一歩を踏み出した。

1日目は優越感があり、

2日目には違う疑問が生まれ、

3日目の今日は、、、、、、。


女の言葉はここで一旦途切れるも直ぐに再開した。


あのとき、思ってもいなかった世界があらわれた事にワタシは圧倒された。

ワタシの頭の中にあった全てが一瞬にして空っぽになり、

自分が一体何者なのか?

これまでのワタシは、一体何の音を聞いて歩んできたのかすらも解らなくなってしまった。


しかし、

ありのままのワタシを受け入れた事が余りにも嬉しくて、珈琲を飲んでいた事は確かなの。

巨大な窓ガラスから射し込む光は燦々とし、店内はとても明るかった。

あらゆるしがらみから解き放たれた気になり、自由になって良い気がした。

ワタシは、思わず両目をしばたたかせた。

泣きたいような、笑いたいよう、そんな気持ちが一度に押し寄せ、あのときワタシは、


写メをした。





この写メは三日前の写メ。

ワタシが37になった日と同じ日の3月19日にオープンしていた八王子駅の駅ビルOPA三階に出来た新しいスタバなの。




女の意味の解らない呟きは今日もスタバの中で起きていた。

その箱の中で、違う所にいる女は一人でニヤニヤし、珈琲を飲んでいる。




完。



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