見出し画像

スコット・ジョプリンとラグタイムの隆盛

1.はじめに

スコット・ジョプリン。この方をご存知でしょうか。

画像から見て100年以上前の人だとはわかるが、音楽通であれば知っているとは思うし、ピアノを習っている人であれば一度は目にしたことがあると思う。

先日みのミュージックのリスナーが選ぶアーティストランキングの「少数から熱烈な支持があったアーティスト」を見ていたら、見事?一票を記録しており、みのさんからも渋いとの言葉があった。誰が入れたんだ?と思うくらい渋すぎる。


名前の知名度はそれ程高くないが、この曲はほとんどの人が知っているだろう。

「The Entertainer」邦題でエンターテイナー。1973年発表の映画スティングにて使用されてから、世の中での周知度が高まりTVコマーシャルやバラエティ番組等でのBGMでもよく使われる。その他にもメイプルリーフラグ、パインアップルラグ等曲名は聞いたことがなくても、一度は耳にしたことは多いのではないか。舞浜にある某テーマパークの入り口付近でもよく流れている。

あと余談だが昨年沖縄に行った時に、某観光施設においてあったストリートピアノで永遠と若いお兄さんがラグタイムを弾いていて(しかもマニアックな曲も含め)、いまだに一部の人からは愛されているのだなと思った。

2. ラグタイム王

彼の業績で1番大きいのが「ラグタイム」という音楽ジャンルを世界に広めたことである。

彼はラグタイム王とまでも呼ばれたわけであるが、このラグタイムというのはシンコペーションを基軸とした音楽スタイル。基本的に拍で区切るのがベーシックだが、メロディーの音入りを拍よりも半拍速くしたり遅くしたりすることで、独特なサウンドに幅がでる。またベースラインについては、1拍目、3拍目を基軸としたクラシック音楽での全体的なサウンドから脱却し、より現代的なポップなサウンドとなっている。

※ラグタイムについてわかりやすく紹介している動画です。

この独特のリズム感はその後のニューオーリンズジャズを含め、ブラックミュージックの下地になっており結局のところ現在の様々なブラックミュージック並びにポピュラー音楽はこのラグのスタイルが原点にあると言っても過言ではない。

また、20世紀以来のクラシック音楽からの脱却についてもポピュラー音楽史に与えた影響は非常に大きい。

ラグタイムが誕生した時期は?という話だが、エルビスプレスリー登場!なんてそんなの全然最近。レイチャールズよりもそれまた前で、ニューオーリンズジャズなんかよりも前の、大体1900年頃。いわゆるポピュラー音楽、そもそも三角貿易にてアメリカへ移住してきた黒人が、黒人霊歌を教会等で歌い始めのが、ゴスペルからブルースの誕生へ結びついているが、そんなのよりもはるか昔だ。

少し遅れてジョージ・ガーシュウィンがシンフォニーとジャズを結びつけて世間的な評価を得ているが、ラプソディーインブルーの中間で出てくる、ベースラインもこのラグタイムの引用な訳で、ジョージ・ガーシュウィンもラグの存在がかなり大きかったと言える。ガーシュウィン以前にクラシック音楽からのサウンドの変化が起きていたことが非常に重要であるのだ。(ジョージガーシュウィンの与えた影響もまた別の機会に説明したいと思う)


クラシック音楽と現在のポピュラー音楽の潮流が変わった地点に存在したと言っても過言ではないのだ。まさしく現在のポピュラー音楽の源流にあたる存在である。

3.スコットジョプリンの生涯

スコットジョプリンに関しての記述はあまりにも少なく、インターネットで検索しても日本語ページではほとんど出てこない。そのため一部Wikipediaより引用。

「黒人元奴隷農夫のジャイルズ・ジョプリン(Jiles Joplin)とフローレンス・ギヴェンス(Jiles Joplin)の息子として生まれた。母もアフリカ系アメリカ人だったが、生まれつき自由民だった」誕生日については定説がなく、1867年か68年のどちらからしい。

で、その後
「1895年、クラシック音楽のピアニスト・作曲家としての人生を歩みたいと願い、黒人のためのジョージ・R・スミス大学で学ぶ。彼はヨーロッパのクラシック音楽とアフリカ系アメリカ人のハーモニーとリズムを結びつける音楽を追求していた。これは後日、音楽ジャンル『ラグ』として認知されるようになった。」

1900年を前にして、クラシックとブラックミュージックの融合を図り、当時からしたらかなり実験的な試みをしていたとわかる。その後数多くのラグを作曲したが、世間的な評価を得ることはなく

「1915年、オーケストラの代わりに彼のピアノでの演奏でオペラが公演されたことが一度あったが不評に終わった。後にベルが述べたところによると、それがジョプリンにとって精神的に相当な衝撃であった。」とのエピソードも。

その後1917年没。先述した通り、世間的な評価が出てきたのは1973年発表の映画スティング以降であり、半世紀近く眠られてきた存在とも言える。

4.  映画「スコットジョプリン」よりワンシーン

まぁそういったわけで、スコットジョプリンは偉大な存在に変わりは無いが最後に面白い動画を紹介。

1977年公開映画「スコット・ジョプリン」でのピアノバトルシーンを描いた模様だ。ずっと昔に音楽芸人みたいな人が、カノン進行でしりとりをしていたが、それに近い感じはする。

時代は1900年近くの、ミシシッピ売春宿。最初のシーンは男2人が向かいにしてピアノを弾いており、形としては連弾みたいな感じなのだが、演奏が相手より劣ると交代になるようだ。

動画の3分過ぎにスコットジョプリンが登場。見事な演奏を披露し、途中から予告無しの転調で相手が「what key!」と叫んでいるが、この勝負はスコット・ジョプリンの勝ち、その後Louis Chauvinが登場(この人マジで情報少ない)。

この勝負は見事なドヤ顔?でメイプルリーフラグに移行しスコットジョプリンは「それはないだろ」というあきらめ顔で、ルイスの勝ち。

こういったバトルが実際にあったかは不明だが、当時のラグタイムピアニストたちのレベルの高さが伺える貴重な作品だ。

以上、詳しく説明すると長くなると思うのでとりあえずの紹介までだが一度是非ラグタイムを聴いてみてください

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?