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ひきこもりを自立に導く方法

ひきこもりという言葉を
知らない人はいないでしょう

ただ、何となくイメージはあっても
正確な定義まではしらないのでは
ないでしょうか?

実は、ひきこもりというのは…

「ひきこもり」とは独立した病名や診断名ではなく、ひとつの状態を意味する言葉です。いくつかの定義がありますが、共通するのは、①六カ月以上社会参加していない、②非精神病性の現象である、③外出していても対人関係がない場合はひきこもりと考える、の三点です。

斎藤 環; 畠中 雅子. 新版 ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット) (p.7). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

・病名ではない
・状態を表す

条件は
①6か月以上社会参加がない
②非精神病性の現象
③(外出していても)対人関係がない

外にでていても
対人関係がなければひきこもりに
該当するんですね。

私の身近にもこの定義に
該当する人がいます。

「どうにか、自立して生きていけるように
 なってほしいなぁ…」と
常々思ったりもしていました。

今日は、そんな「ひきこもり」の方に
自立を促そうと思ったとき
最初はどうしたらいいか
…という話をしていきます。


安心させたら、引きこもり続けてしまう?

まず、どうすればいいのか、というと

「本人が安心できる環境を整える」ことです。

いやいや、安心なんてさせたら
安心して引きこもり続けちゃうんじゃないの?
…と、思う人もいるかもしれません。

ですが、そうはならないんです。
なぜなら…

本人自身が自分のひきこもり状態に心から満足することはほぼあり得ません。誰よりもまず本人が、自らのひきこもり状態を深く恥じているからです。

斎藤 環; 畠中 雅子. 新版 ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット) (p.24). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

引きこもった状態を
カッコいいと思っている人はいません。

ですから、安心させたから
ずっとそのまま引きこもり…
ということは無いんです。


安心のための手段としては
「対面での対話」が有効です。

話す内容はなんでもいいんです
たわいない話をすることこそが
重要です。


「安心」したことを示すシグナルとしては

本人が
「弱音を吐けるようになる」
「冗談を言えるようになる」

といったことが挙げられます。


注意点

ここで、注意点が2つあります。
1つは「正論は禁止」です。

「それは事実ではない」とか「そんな理屈は通らない」といった、「正しい反論」をするべきではありません。客観的な「正しさ」よりも、本人がどのような思いで苦しんできたか、まずそれを丁寧に聞き取ることが必要です。私はこの行為を「記憶の供養」と呼んでいますが、ここでは耳を傾けることがすなわち「供養」なのです。

斎藤 環; 畠中 雅子. 新版 ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット) (p.29). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

客観的に正しいかどうかではなく
本人がどう苦しんでいるのか
そこに寄り添います。

これは、きっと心に余裕がないと
難しいことでしょう。
寄り添う側も、かなりのエネルギーを費やします。

人を助けるには、まず自分から…というのが
大事になってくると思います。


もう1つは「言いなりにならない」です。

本人の「いいなり」になるべきではない、ということです。恨みつらみがこじれて、賠償金などの具体的な償いを要求してくるような場合もありますが、本人の訴えに「行動」で応じるべきではありません。「それはできない」と断ってかまいません。話は聞くが、いいなりにはならない。耳は貸すが、手は貸さない。これが基本的な姿勢となります。

斎藤 環; 畠中 雅子. 新版 ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット) (p.29). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

話は聞くが、いいなりにならない
耳は貸すが、手は貸さない

これが基本姿勢です。

心に寄り添うことはしても
奴隷になるわけではない

…ということですね。

これは、優しい人ほど
相手を思う人ほど、陥りがちな
落とし穴になるでしょう。


また、最終的には治療を望むとしても
対話の目的は、治療ではありません
「対話を続けること」です。

 対話の目的は治療ではありません。対話の目的は「対話を続けること」であり、「治癒」「変化」「改善」などは、さしあたり脇に置かれます。良い対話を続けていくと、あたかもオマケや副産物のようにして、改善や治癒が勝手に起きてくるのです。「変えることをあきらめた時に、変化が起こる」という逆説がそこにあります。
 ひきこもり当事者は、自分を変えようとする意図や圧力に、たいへん敏感です。家族や支援者がそうした意図をにおわせるだけで、信頼を失うこともあります。

斎藤 環; 畠中 雅子. 新版 ひきこもりのライフプラン 「親亡き後」をどうするか (岩波ブックレット) (p.30). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

変えることを諦めた時に、変化が起こる

対話の効果はそうやって現れます。

治療を目的にした途端
その意図を、当事者は感じ取ってしまい
効果が無くなります。

とてもシビアですね…。

ただ、この状態を乗り越えて初めて
外部の治療や、支援を導入できるかどうかの
入口に立つことができるんです


今日は、ひきこもり状態から
治療や支援を導入する入口のところまでの
お話をしました。

非常にハードルの高い話だな…と感じます。

ただ、少なくとも
「お前は一人になったら生きていけないぞ」と
脅したり

無理やり、矯正施設にぶち込んだり
…というのが、間違っているというのは
分かったように思います。

難しくとも、地道にやっていくしか
ないのでしょうね。

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