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インボイス制度の実態 実は増税!?

 今月から政府が導入したインボイス制度。周知の徹底が図られず、マスメディアによる説明もほとんどないまま、見切り発車的にスタートした。


 インボイス制度とは、簡単に言うと消費税の増税を意味する。これまで売上1000万円以下の零細業者は免税されてきたが、これらの非課税事業者からも課税しようというわけである。


 すなわちインボイス登録を促し、消費税を網羅的に徴収する仕組みだ。国民はインボイスについてほとんど知らされていないが、よそごとと思っていてはいけない。特に個人事業主や飲食店を直撃するため、事業者が消費税分を価格に上乗せすることも考えられる。つまり消費者が割を食うのである。

 
 インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」という。複数税率に対応した、消費税の「仕入れ税額控除」の新しい方式―を謳っている。現在、10%と8%の税率が併存するため、政府は消費税の取引内容を、きっちりと文書で保存する必要性を訴えている。


 ところがその実態は、これまで課税されてこなかった個人・零細業者にも目を付け、隈なく税を搾り取ろうという魂胆である。政府は、課税業者、免税業者、消費者の三者いずれからでもいいから、消費税を〝吸い上げられれば〟よいのである。結局誰かが損をするのだ。


 政府はインボイス導入による消費税収を「年間2480億円」と試算している。しかし、この税収を上げるため、年4兆1000億円のコストがかかるという。何とも時代錯誤なことをやっているのである。

 
 インボイス制度肯定派の橋下徹氏やホリエモンらは、「免税業者は国民からの消費税を預かっておいて、納税しないのはけしからん」などと、反対派を攻撃している。ところがこの主張は間違っている。消費税の意味合いを根本から取り違えているのだ。


 そもそも消費税は、「預かり税」ではない。消費者が支払っているという〝幻想〟を抱かせるが、実際は事業者が納めている「付加価値税」のことなのである。


 消費税は、売り上げから原材料などのコストを引いた付加価値に掛かる税のため、赤字でも支払う義務を負う。インボイス導入で、フリーランスや零細事業者は、廃業に追い込まれる危機に瀕しているというのだ。


 インボイスで新たな経理システムが必要になるうえ、経理業務も煩雑になるなど、免税業者にとっては頭痛のタネである。コロナ禍で、経済が疲弊している状況下での新制度の船出。わたしたちは、このような政府の〝悪巧み〟を注視し、時には声を上げる必要もあるだろう。


哲ちゃん


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