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柳咲蔵

あの柳が見たかったの

風に揺らぐ、黄色の

あの柳をずっと見ていたかったの


枝垂れるものは、手入れを怠ると
陰鬱として不気味な風情を醸し出した

例えば、桑の枝垂れ
柳の枝垂れ
沼べりや川のふち
日の陰の屋敷内にしなり立つものなどは
宵闇の影形も恐ろしい

陽の当たっていた
昼間とは打って変わり
風が容赦なく吹き付ける

淋しげにゴウゴウと揺れる

柳の後ろ
桜が頬染めるように
その幹下で
まるで姉さまでもあるかのように
ふんわりと見上げていた

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