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双子出産の入院記録〜術後の経過と一人反省会〜

この記事では,私が双子出産に際して
切迫早産 (高位破水) と術後のトラブルにより約2ヶ月間入院した過去の日記を公開しています.

今日は『産後の入院編』です.
産後の入院期間は,心に余裕が持てず日記が残せていないので,当時を振り返ってまとめる形になります.

注:
コロナ禍での出産だったので,面会の制限があるなど現状とは異なる状況であることをご承知おきください.
また,医療行為に関する記述がありますが,私は医療に関して専門的な知識を持ち合わせていないので,間違った表現や見解があるかもしれません.よっぽどずっこけた誤りでなければ見逃していただけますと幸いです.

出産までの入院についてはこちらにまとめています


経緯

不妊治療から双子を妊娠し,切迫早産による緊急入院を経て,早産・低体重児でしたが無事に双子が誕生しました.

ようやく肩の荷が降りた感じで,自由に動き回れることに喜びを感じていたのも束の間,

1週間もしたら退院できるはずが,感染症と腸閉塞 (イレウス¹⁾) により,さらに1ヶ月ほど入院が延びてしまいました.

滅多にない症例だとは思いますが,万が一にも同じような状況に陥った方の参考になれば幸いです.

また,これから出産を控えている方やそのご家族の,『万が一のアクシデント』の備えのヒントになれば嬉しいです.

一番伝えたいことは,
支援制度やサービスの利用にも『備え』が必要
です.

もしお時間許す方は最後までご覧ください.

お通じがない,お腹が痛い,食欲がない

帝王切開の術後,毎日の看護師さんの訪問時に「うんちが出たか」「おならが出たか」を確認されました.これは,帝王切開で麻酔を使用したことで低下した腸の機能が回復したかどうかを確認する指標らしいのですが,『日々是快腸』だけが取り柄ともいえる私が,うんちもおならも出ない日が数日続きました.

麻酔の影響で腸機能が低下することはよくあることのようで,私が看護師さんに「おならもうんちも出てません」と伝えると,「一度浣腸をしてみましょうか」と『よくある流れ』のように提案されました.

その後,人生初の浣腸は敢えなく失敗.

腸の調子が悪いのと相まって,搾乳時に下腹部の腹痛も強く出るようになりました.
産後はすぐに母乳を出さないと出なくなってしまうため,(昼夜問わず!) 3〜4時間ごとに搾乳室へ行き,搾乳する必要がありました.しかしこれが『後陣痛』と言われる厄介な痛みを伴います.私も搾乳するたびにお腹が酷く痛み,しばらくイスから動けない状態でした.

「後陣痛ツラすぎる・・・」

と思っていたんです.この時は.

でも,この尋常でない痛みは後陣痛だけではなかったようで,食事の時などにも痛むようになり,食欲も無くなっていきました.看護師さんに相談したところ,産婦人科の医師に診てもらえることになり,エコーで確認すると,先生から「イレウス,いわゆる腸閉塞ですねー.正確には腸閉塞ではないんですけど.腸の動きが戻るまで絶食してください」とのこと.

「イレウス」ってなに???しばらくご飯食べられないの???ていうか退院日は延期ってこと???頭にはたくさんの『?』マーク.

そして,やっと普通の生活ができる!家に帰れる!息子に会える!と思っていたのに,ものすごくショックでした...

不幸中の幸いで,NICUへ行けばいつでも双子に会えたのは心の支えでした.当時は新型コロナ感染症の影響で外部からの面会制限が厳しかった時期でもあったので,父親はなかなかNICUに入ることができませんでした.

検査と診断

その後,CT検査で私のお腹の腹腔に膿 (?) が溜まっていることが分かりました.

元々,高位破水が起きてから出産までが長かったので,主治医は感染症が起きていることを予測し,帝王切開時に腹腔ドレーン²⁾を設置してもらっていました.このドレーンから細菌感染による液を排出し,感染症を鎮静化させようという狙いです.そのドレーンが,術後何らかの拍子に狙った位置からずれてしまったらしく,うまく排液が出てこなくなってしまっていたようです.

イレウスが発症したのがその影響かどうかは分かりませんが,とにかくお腹の中に溜まった液を排出しなければ,腹膜炎など命に関わるリスクが伴います.

この当時は感染症による発熱もあって体の調子も悪く,『大きな総合病院にいるから何かあればすぐに対処してもらえる』と分かってはいても,不安な毎日でした.大袈裟かもしれないけど,「このままお家に帰れなかったらどうしよう...」と考えずにはいられませんでした.

ドレーンを直す治療

検査結果と治療方針を主治医から詳細に伝えられ,ずれているドレーンの位置を直す必要があることが分かりました.その方法として,CTで画像診断しながらピンポイントでドレナージを行う (おそらくInterventional Radiology; IVRという治療だと思います.そのあたり全然詳しくないので間違ってるかも) ことを説明されました.

とにかく,また開腹手術をしなくて良いとのことでホッとしました.
正直もう痛みには懲り懲りでしたので...

実際の治療は1~2時間程度で,痛みはほとんどありませんでした.私はただ,お医者さんに支持されるがまま,息をしたり止めたりしていただけ.物々しい機械と,思っていた以上に多い医師や技師の数にちょっとだけ緊張しました.

や〜っと退院

治療の甲斐あって,ドレーンからは (グロテスクな色の) 排液が出るようになり,発熱も徐々に治っていきました.この当時.炎症反応を示す値 (CRP) の変化を見るために,1週間に2回ほどのペースで血液検査をしていて,その値が少しずつ下がっているのが目に見えてわかるようになりました.

看護師さんには,「こんなに頻繁に血液検査しても,すぐには変わらないわよねぇ」なんて頻回な注射を心配されましたが,私は注射が苦手な人ではないし,むしろ日に日に良くなってきているのが分かったので,それはそれでありがたかったです.「これだけ経時データとってたら,先生,症例報告の論文でも書けるんじゃない?」なんて呑気なことを考えられるくらいには気持ちに余裕も出てきました.

そんなこんなで帝王切開後,普通なら1週間程度で退院できるところ,1ヶ月弱入院が延長することになりましたが,何とか無事に家に帰ることができました.

これも不幸中の幸いで,双子たちがとても小さく産まれてきたために,体重が十分に増えて呼吸が安定するまでに時間がかかり,NICU・GCUでの入院期間が私よりも長く,赤ちゃんだけ先に帰るような事態は何とか避けることができました.実は空気読んで早く産まれた説!?

その頃我が家は...

夫も私も今の居住地域は地元から遠く離れています.互いの両親は県外に住んでいるので,『何かあったらすぐ来てもらう』ということが難しい環境です.双子の出産は早産のリスクが高いため,管理入院といって出産前に長期で入院することが決まっていました.その間,夫が長男をワンオペで見るのは大変なので,あらかじめ両方の母親に,長期かつ交代で来てもらうよう話をつけてありました.

ざっくりとですが基本的には,出産前の私の入院期間には夫の母親に,出産後は私の母親に,それぞれ1ヶ月間ほど同居してもらい,家事をお願いすることにしていました.

結果的に,私は緊急入院になったため,当初予定していたような日程ではありませんでしたが,あらかじめ両方の両親と話し合っていたおかげで,義母はすぐにこちらへ来るよう手配してくれ,スムーズに出産準備体制を構築できたかなと思います.

問題は出産後のアクシデントです.

私が出産後1ヶ月ほども入院してしまったので,その間,両親の都合などもあって義母と母が交代することになりました.数週間,私の母,夫,息子の3人で同居することになり,さすがにお互いストレスだったかなと思います.決して仲が悪いわけではなく良好だとしても,赤の他人なのでねぇ...

この時の反省としては,はじめにも書いた通り,

自治体の支援制度や,ベビーシッター等を『うちには必要ない』と感じているときこそお試しで利用して,使いたい時にすぐ使えるよう備えておくべし

ということです.これらの制度や事業って,『すぐお願いしたいので明日来てください』で済むものではないので,多少余裕のあるうちに試しておくべきだったなと反省しています.

正直,3人の子育てが始まってからは,そういった新しい制度を利用するために割く時間と労力すら家事と育児に翻弄され,心理的なハードルも高くなって,未だに活用できていません.

ちょっと面倒だなと思っても,登録や事前の面接・相談などを済ませておけば,いざという時に役に立つのではないかなと思います.お子さんがまだ小さいご家庭や,これから出産を控えているご家庭は,お住まいの地域に展開されているサービスを調べて,できれば1度くらいお試し利用してみることをお勧めします.

最後に

ここまでお読みいただきありがとうございました.

小さくはないアクシデントがありながらも無事に双子が産まれ,現在も3兄妹元気に育っております.

手乗りサイズかというくらい小さかった二人が,元気に走り回って,生意気を言うようにもなって,一丁前にイヤイヤ期を迎え,家の中はしょっちゅう誰かが泣いている or 叫んでいる状態ですが,それもまた幸せなことです.

新型コロナウイルス感染症の渦中で神経を使いながら,出産をサポートしてくださった医療関係者の皆様には本当に感謝しかありません.

ひとまずこれにて双子出産の入院記録は終了です.

今後も記事にしてみたいことがあれば更新したいと思っていますので,機会があればまた立ち寄っていただけたら嬉しいです.

それでは


1) イレウス

異物や炎症、腫瘍などにより腸管が塞がれた状態(機械的イレウス)、あるいは開腹手術などで腸管が麻痺(まひ)(拡張)して腸の蠕動運動が障害された状態(麻痺性イレウス)

おなかの健康ドットコム

2)腹腔ドレーン

腹腔ドレナージ
診断あるいは治療の目的で腹腔内にドレーンを挿入・留置して,貯留液を排除することをいう。

日本救急医学会



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