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タッカー・カールソンがロシアのプーチン大統領にインタビュー#2:日本を含む西側コーポレート・メディアの偏向報道

写真:タッカー・カールソンがロシアのスーパーマーケットでお買い物。店内にスニッカーズなどの西側のお菓子が並んでいるのを見て、「ロシアは経済制裁されてるって言われてるけど、僕にはそう見えないな」とカールソン。写真クレジット:TCN

前回、「アメリカ人ジャーナリスト、タッカー・カールソンがロシアのプーチン大統領にインタビュー#1:この重大ニュースを伝えない日本のコーポレート・メディア」というタイトルで、私がタッカー・カールソンとプーチン大統領のインタビューに関心を持った経緯について書きました。そして、トルコ、インド、アルゼンチン、南アフリカのメディアの記事の日本語訳(自動翻訳)をつけました。

国の立場が違えば報道の内容も変わる

トルコ、インド、アルゼンチン、南アフリカのメディアを選んだのは、西側(アメリカ側)とそうではない国のメディアの報道を比べたかったからです。トルコは、ロシアとウクライナに停戦させるために仲介の労をとった国であり(それを邪魔したのがイギリスの元首相ボリス・ジョンソン)、インドと南アフリカはロシアと共にBRICSを形成している国です。アルゼンチンはBRICSに加盟することが決まっていましたが、今年になって新米路線に方向転換を図り、BRICS加盟をとりやめました。

私はカールソンとプーチン大統領のインタビューを全編視聴し、日本人の著述家や政治家の通訳や解説付きの動画も視聴しました。さらに、このインタビューに関する西側のメディアの記事や日本のテレビニュースなどもざっと視聴しました。その上で、トルコ、インド、アルゼンチン、南アフリカの記事を読んで感じたのは、トルコとインドのメディアの記事は、今回のインタビューの内容に忠実で、西側メディアの記事に比べて客観的に書かれているということでした。

一方、アルゼンチンのニュース記事では、「ミーム」、「ジョーク」、「仄めかし」などといった主観的なことばが散見されました。私が選んだメディアや翻訳ソフトの問題もあると思いますが、トルコやインドのメディアの記事に比べ、かなり主観が入った記事だと思いました。また、「プーチン大統領、とりとめのないインタビューで、タッカー・カールソン氏に一言もしゃべらせなかった」(ワシントン・ポスト紙の見出し)や、プーチン大統領がウクライナに関する自身の話を報道するために「タッカー・カールソン氏とのインタビューを利用した」(AP通信)と、西側メディアの記事を引用しています。太字にしたところは元の記事のままです。私には「とりとめのない」とか「インタビューを利用」という表現に客観性が感じられず、読者にそうしたネガティブな印象を与える記述だと思いましたが、皆さんはどのように感じますか。

南アフリカはBRICSの一翼を担う国ですが、この記事は西側メディアであるロイター通信社の配信記事なので、私には南アフリカ独自の視点のようなものは感じられませんでした。

西側メディアの報道に感じた違和感

前回も書いたように、私が読んだり視聴した限りでは、西側の主要なコーポレート・メディアの報道は、このインタビューにネガティブな印象を与えるものがほとんどでした。カールソンに極右のジャーナリストだとレッテルを貼ったり、インタビューのあちこちを切り取って自分たちの考えを滑り込ませるということをやっている記事もありました。

つい先日YouTubeを視聴していたら、アメリカ人の政治学者が、「去年の夏頃行われた世論調査によると、アメリカで『メディアは偏向報道を行なっている』と答えた人が67%ほどに上った」という内容のことを言っていました。それから半年以上経っているので、この数字はもっと大きくなっているでしょう。日本ではメディアに対して不信感を持っていてもそれを口にする人は少ないようで(SNS上にはたくさんいますが)、どのくらいの人がコーポレート・メディアの報道を信用しているのか、私には分かりません。

市民ジャーナリストに期待

日本のコーポレート・メディアが事実を伝えない、もしくは偏向報道を行うことに危機感を覚えて、自分たちが知りたい情報を自分たちで集めて発信しようとする人が増えています。これは私の肌感覚ですが。

今回のインタビューが公開されるとXでこのインタビュー動画に自動翻訳で日本語字幕をつけた人がいました。するとすぐ、その日本語訳はYouTubeやXで拡散されました。YouTubeででインタビューを通訳したり解説したりする人もいて、その人たちは「インタビューに日本語字幕をつけてくれている人たちがいるので、インタビューの翻訳はそちらをご覧ください」とコメントして、真実を知るためにできることをSNSで分業しあって、私たちに情報を共有してくれました。

私はこのような人たちを「市民ジャーナリスト」と呼びたいと思います。今はその気になれば個人でも多くの情報を入手できる時代で、市民ジャーナリズムのコミュニティがぼんやりと形成され始めたような(私の期待も込めて)印象を持ちました。コーポレート・メディアの報道に飽き足らなさ、もしくは不信感を持っている人たちが、バーチャルな”市民ジャーナリズムのコミュニティ”に集まってきているようでした。

コーポレート・メディアが私たちが知りたい情報を伝えなければ、市民ジャーナリストは増えていき、その活動を活発化していき、相対的にコーポレート・メディアは存在価値を失っていくかもしれません。それは、テレビの凋落傾向と相似形に見えます。

ちなみに、インタビューに自動翻訳で日本語の字幕をつけてくれた人のプロフィールには「不当なSNS検閲、政府による情報統制に反対。」と書いてありました。



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