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マン・ハンティング・ウィズ・ポスト・アポカリプス 13

 白金装甲ブッダガーディアンデーモンロボと中世城塞二足歩行ロボが数度の殴り合いを経て再度組み合った直後、それは起こった。

 膠着状態におちいっていたにも拘らず白金装甲ブッダガーディアンデーモンロボ「ディーヴァ」が不意に組み合った手を離して無防備になったのだ。その瞬間のスキを見逃さず、振りかぶった国会議事堂拳でもってディーヴァを薙ぎ払う中世城塞ロボ「ビスマルク」。

「……!?」

 幸いベクトルがずれていた為にエンジ達がいる自社ビル屋上がディーヴァの下敷きになる事こと避けられたものの、三人の視界の中荒野に転倒するブッダロボ。普段余裕たっぷりかつ厭世的にふるまうエンジが珍しく鬼気迫る表情でキーボードをたたく。

「コーデリア、UNIXは持ってきてるか。あるなら出せ」
「はい!」

 ただならぬ状況にその聡明さでもってすぐにエンジの意図を察し、自身の携帯UNIXを差し出す。差し出されたコーデリアのUNIXを片手で操作しディーヴァの通信ポートへと接続させる。

「ハッキングを受けた。あのでくの坊の中で悲鳴上げてるアホ共の中に一人肝の据わったタフなヤロウが居る」
「無線操作ですもんね」
「おう、アンだけシェイクされて冷静にハックかけてくるヤツだ。まだ完全に主導権を譲っちゃいないが俺は挙動操作で手が離せん。コーデリア、お前がハックをブロックしろ」
「わかりました」

 水が上流から下流に流れるようにスムーズな情報連携の後コーデリアもすぐさまディーヴァへのアクセスを開始し、敵対ハッカーからのアクセスを妨害し始める。そして発覚する新事実。

「すみません!この子のOS古すぎないでしょうか!?」
「ガワだけ作ってほったらかしだったっつったろ!ああまあエンジニア失格ではあるけどよ!」
「こんな巨大ロボットバトルが起きるなんて思いませんものねー……アクセスをはじいて危険な脆弱性から対策します!」
「任せるぞ!」

 ハッキングの影響で挙動制御が不安定になり酔っ払いめいてよろけていたディーヴァはコーデリアがハッキングを抑えだした途端に別神めいてファイティングポーズを構えなおし、追撃を見舞おうとしたビスマルクの拳を拳で迎撃した!蒼天見下ろす荒野に大質量の物体同士が激突する轟音が鳴り響く!

「こんな時に言う事じゃないですけど普段OSのアップデート制作している人達エライと思います!」
「そりゃ俺だってありがたいと思ってるさ!ブラックアウト不具合バグ乗っけたままアップデートをネットに流さなきゃな!」

 迫真の気迫で騒音にも似たタイピング音を響かせながら目の前の巨大人型兵器を必死に制御する二人。数度の取っ組み合いからの打撃戦を経てもビスマルクは今なおディーヴァの胴体に国会議事堂拳をたたき込んできた。宙高く舞う数百メートル級の人型兵器。

 エンジの立ち位置調整が神がかっているためか巻き添えを受けるような事こそないものの、ディーヴァが大地に墜落すると深々と荒野にクレーターが生じる。双方の機体ダメージは深刻な域へと推移していた。

【続く】

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