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魂の灯 -100- #ppslgr

「レイヴンもさー、書けない時ってあんの?」
「あるぞ、しょっちゅう有る」

「マァジでぇ?全然そんなイメージないよ」
「ネタがない時、いい表現が思いつかない時、疲労が限界に達している時、そもそも創作に気が向かない時、書き出しがわからない時、いっぱいだ」
「ふぅん……そういう時どうしてんの?」
「無い中から絞りだして駄文になるのを覚悟で書くか、諦めて休みの看板ぶら下げてから温泉行きだな。後は意欲には呼び水がいるからインプットを優先するか。要するに最悪もうどうにもならない時は、諦めてふて寝するしかない」
「そっかぁ……」

バティが天井を仰ぐと、そこには西部劇のバーにありがちなプロペラめいた機械がのんべんだらりと回転していた。確かシーリングファンとかいう、その原始的な空気撹拌機と向き合っても特に何もアイデアは出てこない。

「楽しくやるのが一番だぞ、と」
「楽しく、楽しくかぁ~……」
「なぁに黄昏れてるの、よっ」

いつのまに忍び寄ったか、バティが見上げる視界に顔の良い少女が割って入った。切れ長の目の奥のカメラアイと視線が合う。

「……別に?」
「ふぅ~ん?まあ良いけどね」
「何だ、またサボりか」
「そ、おサボり」
「いいの?なんか今めっちゃ揺れてたけど」
「良いのよ、もとを辿れば私達の管轄でもなければやらかしでもないもの」
「それはそうと、最近スパムボットがまた激増している。ユーザーじゃ手に負えん量だ。そちらに対策してほしいんだが」
「ノート・スカウトに投げとくわー」

いかにもやる気なさげに職務要求に応じたノアは、さっさとそのことを忘れてバティの頬をむにむにとこねていく。

「ほうらぁ、あんだけ啖呵切ったんだからがんばんなさーい?」
「そうは言ったって出ないもんは出ないっての!」
「はー、ほら、アンタのライバルはちゃんと続き書いてるわよ」
「……ホントだ」

ノアが指さした先に空間描画されたホログラムには、バティもよく知っている相手のアカウントが表示されていた。最新の投稿。更新日付は、今日、今さっき。

「やるじゃん、アイツ。でも俺は俺のペースでやるよ」
「ふぅん、まあがんばりなさいな。見ててあげるから」
「さんきゅーな」

レイヴンは二人から視線を外すと、別席でCORONAをあおっているイシカワに視線を送った。イシカワが肩をすくめたのを確認すると、視線を戻して自らもCORONAを傾け、タイピングを再開する。

書く者、読む者、悩む者、そのすべてを包んで、この施設の一日は過ぎ去っていった。

【魂の灯 -100-:終わり|次回作へと続く|第一話リンクマガジンリンク

次回予告

関東一帯に、全裸中年男性が急増する異常事態が発生した。
のみならず、全裸化する発狂者は後をたたず社会的秩序の危機が訪れる。
事態を重く見た政府担当者は、パルプスリンガー二人に原因の調査を依頼。そして明らかな厄介事の貧乏くじを押し付けられた凶鳥と教授がたどり着いた街。それは胡乱者の間で語られる実在しないはずの街、暗黒胡乱低治安汚染痴態、ドブヶ丘であった……極限を越えた底なしの胡乱廃棄世界で二人が目にするものとは果たして……?

次回パルプスリンガーズ、『全裸の呼び声』。凶鳥も断るドブヶ丘のコーヒーは、ヤバい。

作者注記

本作はNoteに投稿しているパルプスリンガーをモチーフに小説を書く、という企画の15作目だ。参加者は27人?いるので後12本だ、ガンバレ俺。この一本で一年以上もかかってしまった。もっとがんばれ俺!

と言う訳で今回の主役はこちらの方。

バッティ=クンです。
彼の回を書く上で、どう書こうと考えた時、グレンラガンとかプロメアと言ったガイナックスからトリッガーの系譜を抑えてオマージュする形の演出に、創作者としてのジレンマ、葛藤を軸としてテーマ建てる形でプロットをイメージしました。

かなり弄り倒した形になり、長さも小説文庫本一本分となる12万文字超の大長編になってしまいました。本当はもっと短くまとめるつもりでしたよ、ほんとだよ。延々つき合わせてしまってもうしわけない!

バッティ君の機体は、大体忍者戦士飛影とグレンラガンを拾いつつエンタメ忍者がよくやるムーヴメントを詰め込んでチューニングしました。見た目は多分Figmaニンジャスレイヤーアニメ版を幻惑色にリペイントしたやつでしょう。スゲーメカメカしいんだよなあのフジキド。
そして忍者のライバルは騎士なので(わかるひとにはわかるやつ)逆算式に敵のイメージも固まったのでした。皆もダークパワーの取り過ぎには注意しよう!

そこからさらに、今回相方となったイシカワ(彼についてはまた別にエピソードを建てるかもしれないので控えめに)の機体とのグレート合体を経由し、秘匿建造された戦艦ドレッドノートとの積載合体!ウオオオウィーピピー!
商業版権として書き直す場合大分設定の変更が必要になるパートになってしまいました。ドット払い。

という訳で、今回のご参加、本当にありがとうございました。

ファンタジーミステリー小説も連載中!

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ロボットが出てきて戦うとか提供しているぞ!

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