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『幼なじみのオカちゃん』vol.16

泊まりで出かけるのは好きなんだけど
寝床が変わるとまっったく寝付けない僕は
暗闇の中ボーッと天井を見つめてるしか
やることがなかった。
当時は今みたいに携帯でお遊びする事なんてなかった。

オカちゃんも起きていたみたいで
『ねぇ起きてる?』なんて言うから
本当にこんな会話が始まるんだーと感心した
「自分の家じゃないと寝にくいよね~」

『真っ暗なのが無理なんだ...少しくらい灯りがないと』

「怖いってこと?へー」
怖い と思うと
怖いものを更に思い出してしまうから厄介だ。
「うわっ 最悪俺も怖くなってきたんだけど」

『ちょっと やめて怖いとか言わないであんまり』
だんだんパニックになる2人
こういう時に冷静さを無くすと
見えないものに怯え妄想をして
更に自分を追い詰める事になる

「なつ ちょっと落ち着いて 一旦電気つけるから..(笑)」
田舎の静かな山の中
確かに怖い

『ねぇ今なつって呼んだ?』
やってしまった
中学生とは 繊細で
男子が女の子を下の名前で呼ぶことはタブーになっている

「ほらー大人になったのにオカちゃんは少しダサいと思ってさぁ~(笑)うんうん」

『たしかに(笑)』

普段と違う環境にいると
全てが解き放たれ
不思議な気分になる
これは俗に言う
"修学旅行で どの中学校でも 必ずワンペアは急にくっつくカップルいるよね!の法則"
である。
因みに僕のいた中学は 1組くっつき
2組別れ
1人ふろ場で怪我をした。
話を戻そう

「でもさー付き合うとさー別れたあと もう元の関係に戻れないじゃんか?例外があるにしても 結局付き合うまでが楽しいよなぁって思うよ」

『付き合ったことないくせにわかるの?』

「いや...ないけどわかるの!めちゃくちゃ好きな人とやっっとの思いで付き合えたのに 呆気なく別れて 最悪の関係になったら 嫌じゃない?だからみんな 2番手くらいの人と付き合ってるんじゃないかなーって あはは(笑)」

『なにそれ(笑)嫌だなぁ 男の子ってほんとそういう所あるよねーなんか 保身的っていうかさー度胸ないよねー』

全くその通りだ
結局は自分が傷つきたくないだけなのかも
相手のことを思ってるように見せかけて
自分を守っているのかもなぁ

「まぁ 人それぞれだよなぁ 」

『ほんとに好きな人と付き合わないのかー君は一体誰のことが1番好きなのかねー』

馬鹿め 言うはずがないだろ
そんなこと言えるわけないだろう!

「寝よう 明日も遊ぶし 寝よう」

それからすぐ寝たと思う
電気を付けたまま
そう言えば夏なのに凄く涼しかったかも

『幼なじみのオカちゃん』vol.16終
著者:れい
vol.17へ続く