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題:表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 作:若林正恭

オードリー若林君を知ったのは、アメトークの読書芸人か、しくじり先生だった。その頃は、若手なんだろうという事のみで全然知らなかったのだが、オードリーが人気だという事は察することが出来た。

いつも日本に帰国すると、その時々のお笑い芸人がブームで世間を席巻していて、生き残るにはなかなか大変だろうと素人ながらも思えるほど、毎年ブームは変わりまくっていた。

でも、オードリーは違った気がする。爆発的にとは見なかったけれど、帰国するたびに様々な番組に顔を出していた。1年半前位にやっと私は、オードリーのオールナイトニッポンを知り、リトルトゥース(リスナーはこう呼ばれれる)となった。

そこで知る様々な事で先ず一番驚いたことは、オードリーの二人が私と同級生だった事だった。ANNでのキン肉マンのトークや、たけしの元気が出るテレビのテーマを歌ったり、私には小学校時代の同級生が喋っているような懐かしさだったのだ。二人にここで一気に愛着が湧いた。そしてアメフト体験者であり、NHLのファンである事。これもアメリカ在住20年の私には、エキストラプラス。私は、LAのヒップホップ世代なので、Raidersファンなのだが(まぁ、最近は成績が振るわない)、アメフトの事を話す芸人は、くりいむ以来だったので私はもっともっとオードリーにのめりこんでいった。

アメリカのキャピタリズムに疲弊しきっていた私は、数年前から南米ラテンアメリカに興味を持ち始めた。特に、海堂尊のゲバラシリーズを読んでからは、キューバに特に関心を寄せていた。そんな私が2018年にキューバ渡航を決めた時に友達が日本からのプレゼントとして持って帰ってきてくれた書籍がこの本だったのだ。「たしかオードリー好きって言ってたよね?」まさか若林くんにキューバ 渡航の先を越されていたとは思わなかった。

この本を読んでいくと若林くんも、私と同じ視点だった。興味深い‼︎アメリカの長きに渡る経済制裁後これから規制緩和が起こりキューバも解放されていくと言われていた頃は、資本主義(特にアメリカ企業)が介入し、キューバが変わってしまうと誰もが思っていた。だから、変わりゆく前に一度見ておきたい。と5日間のキューバ旅行をしたのが若林くんのこの本であり、旅行記はエッセイとなった。

生憎、オバマ大統領の意向を完全に白紙撤回して完全経済制裁の道をまた執ったのが現大統領のトランプで、キューバ人の淡き希望は一気に消え去ってしまった。そして、私が渡航する頃(2019年夏)には、アメリカ人は外交官と医師以外にはキューバへの渡航禁止令が下ってしまった。私は、幸いにも永住権保持者で国籍は未だ日本な為、一度メキシコに行き、そこからキューバに渡った。実に冷や冷やするアメリカ帰国だった。

私の感想でも、キューバは、60年代からほとんど変わっていない。Wi-Fiも制限があり、ほとんどインターネットとは無縁の一週間だったが、私は存分に楽しんだ。誰にも拘束されることなく、自由だった。何もない事で、日々当たり前に手にするモノや、受けられるサービスが如何に素晴らしいか感謝出来た。でも、無くても死なないし、生きていけることも同時に学んだ。

キューバ の人々は、優しいし、愛嬌があるし、日本も昔はああだったのかもしれない。

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路地を彷徨う犬

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オビスポ通りで見たダルメシアン

若林君が触れているように、キューバには、野良犬と野良猫がたくさんいた。路地裏で、ゴミをひっくり返して餌を漁っているところを見ると、切なくなってしまうが、彼らも生き抜いていたんだろうな。

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オビスポ通りでの野良猫

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一匹狼の仔猫


この本は、キューバに行く前に読んで行ったのだけれど、着いた頃にはこの本の内容をすっかり忘れてしまうくらいキューバは鮮烈に私を迎え入れてくれた。ねっとりとした南国独特の湿度に、海から吹く風が、塩のにおいを運んでくれるハバナでは、必ずブエナビスタ・ソーシャルクラブのジャズの生演奏が街角の至る所で聞こえ、サルサを踊りたくなる。そんな街に恋に落ちた作家ヘミングウェイ。私も、若林君も、同じ街の同じ場所を歩き、葉巻にモヒートを飲んで、半世紀変わらない街を楽しんだのだ。


何故か、私の若林愛が止まらない。


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私のキューバ(ハバナ)の写真はここからどうぞ。

出会った人々の写真はこちら

また絶対にキューバに行きたい!!!


以下はアマゾンの記事になります。

オードリー若林、東京から楽園キューバへ逃亡を図る!

読者の共感を呼んだ前作「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を出発点に、新たな思考へと旅立ったオードリー若林の新境地!

累計20万部に迫る前作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』。
そこで吐き出された社会への違和感、悩みは普遍的なものだと思っていたけれど、
「あれ? これって人が作ったシステム上の悩みに過ぎなかったのか?」
と気づいてしまった著者。
「俺が競争したい訳じゃなかった! 競争しなきゃ生きていけないシステムだった!」
新しい発見に意識がいったところで、
「別のシステムで生きる人々を見てみたい」
と、猛然とキューバへ旅立った。

キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない、間違いなく若林節を楽しんでもらえる、そして最後はホロリと泣ける、待望の書き下ろしエッセイです。
本当にプライベートで若林さんが撮ったキューバ旅行の写真も多数掲載予定。



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