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「バイトやめる学校」に行ってきた ~2017/10/24「ワーグナー・プロジェクト」レポ

2017年10月24日に神奈川芸術劇場で行われた、「バイトやめる学校」の著者・山下陽光さんのトークイベントがあまりに面白かったので要約をアップします。ワークショップはKAAT ×高山明/Port B「ワーグナー・プロジェクト」の一環で行われました。

録音などはせずに、当日とったメモを書き起こしたものなので、多少のニュアンスの違いや分かりにくさはご了承ください。ご本人には承諾を頂いています!

なお、見出しは私が適当に付けています。

山下陽光さん! リメイクブランド「途中でやめる」 http://tochuyame.thebase.in/ というブランドをやっていて、このTシャツは通算300枚(?)売れたらしいよ。この日の即売会でもこのブランド、ギャンギャン売れてました。

ワーグナー・プロジェクトは、9日間、若手ラッパーをメインの対象にして、昼~夜にかけていろんなワークショップやライヴが行われるのですが、突如このこの「何者?」ってかんじのおじさんが現れ、謎な雰囲気になったところで山下さん、おもむろにコンビニの袋を取り出します。


以下レポ。


■グミの概念を変えたコロロと、20年前から出版の概念が変わってない人

・お腹空いた人―?(と言って、突如コンビニ袋からUHA味覚党のグミ「コロロ」出し、皆に配り始める)


・グミって最近食べましたか? 自分は「グミはかたくてまずい」と思ってここ数十年食べなかったが、UHA味覚糖の「コロロ」を食べてグミ観が激変した。すごくおいしいし、新感覚。
グミのみならず、数十年経てば多くのものは変わるのが当然


・自分の著書「バイトやめる学校」は3刷になったが、80年代(?)の感覚で「こんなに本が売れてるならめちゃめちゃ儲けてるでしょう」と言ってくる人もいるが、全然そんなことはない。超貧乏。


つまり、「本を売って印税で大儲け」という感覚は、もう古い。出版とかコンテンツ業界だって、グミと同様に激変している。


■客/売り手ではなく、双方が『うれしい! ありがとう! お金払います!』と思うような経済の流れだってあるはず


・事例1 先日、近所の庭清掃業者に、「要らない落ち葉をもらってくれると助かる。そしたら福岡市指定のゴミ袋を買うお金が浮くから、何かあげるよ」と言われた。そこで、落ち葉をもらい、家の庭にまいて肥料にした。この事例は、どっちが得したのか分からない。どっちもお金払いたいくらいうれしいはず!

・事例2 空港付近に一週間車を駐車すると14000円の駐車場代がかかる。しかし空港付近で一週間車を借りたくてお金を払う人もいるはず。もし両者を結び付けられたら、お互い「ありがとう! かかるはずのお金が浮いた。むしろ多少お金を払ってもいい」と思うはず。

・事例3 高齢者と子供を一緒に住まわせて、老人は孤独が癒えて幸せ、子供も世話してもらって幸せ…みたいなマンションがあるらしい。高齢者側も子供側も「ありがとう」と思っているはずだが、子どもも高齢者もお金がもらえるわけではない。むしろ払っている。そしてなぜかマンション業者だけが得をしてる現状。


■「まだ考えられていない考え方」があるはず

・(突然上着を脱ぎ、中に着てたダウンベスト?を脱ぎ、また上着を着る)


いま、めっちゃ着替えるの時間かかったじゃないですか。洋服って、二枚目を脱ぐのにこうするしかないんですよね。洋服って、めちゃめちゃ歴史あるのに、テクノロジーが進歩してないんですよ。みんな「おしゃれ」とか「安さ」に注目はするけど、技術に気が行かない。きっと小林製薬だったら2枚目だけ脱げる服を作ってくれるはず。でも、そういうことってあんまり考えられていない。

・「まだ考えられていない考え方」がたくさんあるはず!「音楽」だって、バズとか再生回数以外の何かまだ考えられていないものがあるはず。


■これからは「1対複数」でなく「1対1」

・講演会や、本(複製芸術)のような「1対複数」のメディアはもう終わりかけている。これからは「1対1」の時代。

・メルカリは、1対1のメディア。売りたい人と買いたい人が1対1で結びつく。これは革命的。本やDVDも、中古品が定価の8~10割で売れる。これにより、従来の10円で買って100円で売るようなブックオフなどの「1対複数」のメディアは大打撃を受けている。

・人間の「悩み」はお金になる。ハゲで悩む人はそのためにいくらでもお金を払う。ただし問題が解決するとは限らない。「悩みにお金を払う」こと自体で満足しちゃったりもする。

・悩みの広場のようなものを作りたい。梅干し余ってて困ってる人と、梅干しが欲しくて困ってる人を結びつけるような。


■東京ヘテロトピア、イングレス、ポケモンGO、食べログ

・高山さんの「東京ヘテロトピア」は、ラジオを持ってある場所に行くとその場所の物語が聴けるというもので、のちのイングレス、ポケモンGOにつながる発想のものだった(高山さんはそれらとは違うコンセプトでやっていただろうけど)。

・昔は「リアル→ネット」だったが、イングレス、ポケモンGO、そして食べログは「ネット→リアル」のものだ。バーチャルな場にあった情報や架空のモンスターが、現実の場所にひきずりおろされてくる感じ。

・食べログの有料会員になると、街の見え方がかわる。ちょうどポケモンGOをインストールしたら街の見え方が変わったのと同じように。

・有料会員になると、現在地付近のおいしい店がすぐわかるようになる。(それはいわゆる「食べログ受けする店」という一定のバイアスはかかるけど)。ネットの集合知が現実に引きずりおろされてる感じは面白い。

・昔の若者が感じていた「レコードをたくさん所有したい」「知識をたくさんン蓄えたい」という欲求は、グーグルによって無効なものになってしまった。どんなに覚えてもグーグルにはかなわないから。

・ss_tapeさんという人が久留米の大峰ラーメンに残したコメントが面白い
https://tabelog.com/rvwr/000779263/rvwdtl/B194201292/

・ジュリアススージーさんが食べログに6万字の長編小説を書いているらしい。https://tabelog.com/rvwr/000436613/

・瀧川鯉八さんの落語が面白いらしい。


■仕事は自分で作らないと無いけど、すぐに作ることが出来る

・仕事は自分でいくらでも作れる。今すぐ始められることはいくらでもあるのに、みんなやらない。

・例1 コンビニでのバイト経験があれば、仕事内容はどのコンビニも大体同じだから、近所のコンビニ50軒に「シフトの穴が開いたら時給2000円で入ります」という名刺をばらまき、時給2000円で働くこともできる。

・例2 買い物代行 老人や、病人に入院中で外出できない人の代わりに買い物をする。2chに買い物代行をしている人のスレがあるらしい。

・例3 「自分の好きなもの+不便」で検索してみよう。例えば「プログレ 不便」で検索すると、プログレの楽譜が無くて不便な人が結構見つかる。次に
「楽譜起こし」で検索すると、30分のプログレの曲の楽譜起こしは相場6万円だとわかる。でもプログレが大好きだったら、4万でも引き受けられるかもしれい。自分がやってもいいし、プログレ大好きで楽譜起こしできる人と、プログレの楽譜が無くて困ってる人を結びつけて、両方から少額の紹介料をもらうことだってできる。

・(おもむろにコンビニの袋から「あたりめ」と「糸ようじ」をとりだして)この2つが合体して売られてたら最高じゃない?! 買う側の気持ちを考えよう。


■ウェブ

・今、カルチャーが下火っぽいのは、面白い人がみなネットに流れているから。昔なら音楽やっただろう人が、ネットに流れている。

・新しいウェブサービスが出た時に、その流れにすぐ乗ることが大事。たとえば今からyoutuberを目指しても結構キツい

・新しいウェブサービスが出たらまず乗ってみるのが大事。

・普段から自分に合うウェブサービスを探しておくのが大事。


■アーティストで食うのは難しい

・自分が好き・得意なことのなかでも「ちょっと、そんなにやりたくないな~」ということがお金になる。「この私を見て! この私すごいでしょ!」ということでお金を取りたい気持ちはわかるが、今はアーティストが多すぎるので食えない。

今は本や映画などがタダで楽しめる世の中になってるから、そこらへんで稼ごうとするのはかなり難しい。


■世の中の仕組みの話

・ハイファッションブランドも、ユニクロも、バイトの時給は1000円で大体同じ。なんでだろう?
・例えば15万円のコートを1000着作り、400着しか売れず、セールなどで安売りし無理やり帳尻をあわせているのが現行のハイファッション業界。おかしい。売れる分だけ作れよ。適正な値段で売れよ。


・モノの値段は、大体、「手間賃」できまっているが、本当は買い手が買いたい値段をつけるのが妥当なのでは?


・200万円のコートが載ってる雑誌がコンビニで売ってる時点でおかしいし、そこの問い合わせページに載ってるのはいまだに電話番号。

今時、「◎ページに載ってたあのコートまだ在庫ありますか?」って電話するやついるか? ファッション業界は何かとおかしい。


・SIMフリー携帯に移行されるのが怖いから、auやsoftbankはドーナツとか唐揚げを配っている。


・東京の家賃の高さは異常。福岡で家賃20000で暮らして、月1回上京して用事を済ますことだって可能なのに東京に住む必然性はあるだろうか?


■世の中の仕組みと稼ぎ方


・昔ホームレスについていったら、拾った本を適切な本屋(マンガはまんだらけに、小説は古本屋等)に流していた。適切な場所に適切なものを持っていくと、儲かる。フリマのおわりかけに値下げしたものをたくさん買い、次回のフリマの初めで高く売ることでも儲けられる。


・TV番組をYouTubeに流したり、メルカリで1万円を出品したり、家電製品の裏技的な高ポイント還元など、「初めはグレーゾーンだったけれどのちのち取り締られる(た)こと」はたくさんある。そのグレーの淡いで稼ぐことは可能。


■以上です!

「バイトやめる学校」という本は激オシ爆面白い本なので、上記のレポが面白かった人はぜひ読んでみてね。もっといろんな話が読めます。渋澤のレビューはこちら↓


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