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尊敬している人に会う前に緊張したり下調べしちゃう人へ ~安心しろ、近著読んでなくても焦るな~

自分の打ちこんでいる分野(私なら小説、エッセイ、ネットでの文筆など)で尊敬している人に会う時、昔はよく、ビビってしまっていた。

その人に会えることが事前に分かっている場合、前もってその人の著作を見返し、手短で才の光る感想が上手く言えるように脳内リハーサルし、SNSで最近の動向を調べ、欠けている知識があれば補給し、それから自分がその分野でどんなことをやっていて将来どういうビジョンがあるのかをこれまたいつ聞かれても良いように手短で才ある感じにまとめて脳内リハーサルしておいた。
つまり就活生の面接準備みたいなことをしていた。

もし突発的に会ってしまった場合は、この面接準備作業をリアタイで超速で行い、でも間に合わず、あわあわしながら「◎◎、読みました……!」「面白かったです……!」しか言えなくて、会った後から「あーこういえば良かったー」という感想をどんどん思い出し、落ち込んでいた。

せっかく憧れの人に会えているのに、全然楽しくなかった。

でも、今はガラリと変わった。憧れの人に会ってもビビらなくなった。

脳内リハーサルもほとんどせずに「本番」に臨むことが多くなった。


なぜかというと、「ビビる必要が無い」「脳内リハーサルはくだらない」と思い知ったからである。

この「自分の打ちこんでいる分野の尊敬している人に会えると思うとビビってしまい、無駄に脳内リハしてしまう」現象で、現在進行形で悩んでいる人もいると思うので、私がこの「ビビり」「脳内リハ」の苦悩から解放された顛末を記しておきたいと思う。


あまりに長いので(8000字!)、目次をつけておこうと思う。

■脳内リハーサル中に考えていることは、片思いの童貞みたい
■東大卒と言うと目の前の会話相手がいきなり卑屈になる現象
■脳内リハーサルが無意味な理由 1 ~「作者に感想を伝えても割と自己満」問題
■脳内リハーサルが無意味な理由 2 ~いきなり自己PRしだす若者
■頭のいい人が、若くてバカな女とわざわざ喋る理由
■どうしたら、メラメラ、ビクビクを捨てられるか
■すごい人ほど偉ぶらないで、対等に喋ってくれる
■「モブキャラ」として役立とう
■憧れの人の最新著書の話題になって「ヤッベエ読んでねえ、話題に乗れねえ!」と焦る時の対処法
■「ヤッベエ読んでねえ、話題に乗れねえ!」と焦る時に言っちゃいがちなNGセリフ



■脳内リハーサルする時に考えていることは、片思いの童貞みたい


憧れの人に会える前夜の脳内リハーサル中、私が考えていることはと言えば


「あの人に好印象を残したい! あわよくば取り入りたい! 名前覚えられれば/ツイッターをフォローされたら/ネットで言及されたら/飲み会呼ばれたら/仕事ふられたら/弟子にしてもらえたら、超嬉しい!!! あわよくば、あわよくば、ね……!」


こんなものだった。

そしてもしそれが出来なかったら、

「チャンスを逃した……もしかしたら、名前覚えて/ツイッターをフォローして/ネットで言及して/飲み会呼んで/仕事ふって/弟子にしてもらえるチャンスだったかもしれないのに……」


と落ち込んで自尊心がガタ落ちするから、それをなんとかして避けたい、という気持ちだった。

もちろん、憧れの人と相対してる時もこんなことで頭がいっぱいだった。
つまり、自分の事しか考えていなかった。
「自分の自尊心を満たしたい! メラメラ!」と「傷つきたくない! ビクビク!」という思いでいっぱいだった。

目の前の会話相手が、自分自身のことしか考えてなくてメラメラ&ビクビクしてたら。ウザい。キモい
そんな、自尊心メラメラ&ビクビクなサブカルクソナイーヴ若者を何人もサバいてきた「憧れの人」ならなおさら食傷のはずである。


■東大卒と言うと目の前の会話相手がいきなり卑屈になる現象

このことに私が気付いたきっかけのひとつは、会話中に私が東大卒であることが知れると相手がやたらヘコヘコすることにうんざりし始めたことだった。

相手がいきなり「え、すごいですね……マジですごいっすね……! 俺なんか一浪してそこらへんの大学(早稲田とか慶応とかの場合もあるし、本当に「そこらへんの大学」のこともある)で、マジクズですよ笑」
と言って「卑屈」という名の自尊心防御に夢中になっている時、私の目は虚ろだった。


まだ、
「わー東大生だー初めて見たー! 握手してー!」
とか
「すげー! 俺中卒ー! パネー!」
とか言ってくれる方がよっぽど良い。

そういう人たちが自尊心防御に夢中なっている間に、ふつうの、まともな人は、
「東大生かあ~人生で初めて会ったな~ 東大生ってレアなんですか?」
とか
「えー見えないー意外ー」
とか、思ったことを正直に話して、私に「ああ素直で正直で誠実な人だな」と思われていくのである(大体)。

そう、コミュニケーションは、思ったことを素直に言えば良い。それに尽きる。


■脳内リハーサルが無意味な理由 1 ~作者に感想を伝えても割と自己満問題

だいたい、いくら脳内リハーサルして「本番」に臨んだところで、そんな付け焼き刃は無意味なのである。
しかも、いくら憧れの人の著作に気の効いた感想を言って「こいつ、よく読めてるな」と思わせようと考えたところで、そもそも著作の感想なんて、作者の脳内では出尽くしている。
作品というのは、作者が練って練ってこねくり回し、あらゆる角度から脳内読者に眺めすがめつさせて、そうして世に出るわけで、感想の九割九分なんて脳内読者に言い尽くされた既出事項である。
作者に勝る読者なんてそう簡単にいない。

私がいくら脳内リハしてまとめあげた感想も、憧れの人からしたら「うん、知ってる」だ。

このことに私が気づいたのは逆の立場になった経験が数回あるからだ。


「渋澤さんの本、好きです! ~~の~~のシーンは、~~の伏線とあいまって、~~ってことが言いたいんですよね!」
とか言われても、「ハイハイそうそう合ってる」ってなっちゃう。まあ、「まあ、他者にちゃんと伝わってるんだな」という確認作業になるので、まったく嬉しくないわけではないが、なんかこう、私以上に私の作品をうまくプレゼンできる人っていないので、私にとっては既出情報のオンパレードになるので「いいからほかの話しようよ!」って思ってしまう。


あ、てか、そもそも私、過去の話が嫌いだし書いたもののことって片っ端から忘れていくので、「いいからさ、未来の話しよ! 私の次回作のネタ喋らしてよ!」とか言っちゃう。

※追記

これに関しては、真逆のケース(尊敬する人に真摯に感想を伝えたら「2chみたいな感想は見飽きたがこんなに読み込んだ感想はなかなかもらえない」と感激され、以後個人的なつながりまで得た!)を報告してくれた方があらわれました。たしかに、「感想自体は既出情報だが、その読者のパッションを直でぶつけてもらえるのは嬉しい」という作家は一定数いるかも。私の私見しか書いてなくてちょっとこの章のエビデンスは弱かった。反省。

結論先取りになりますが、「うまいこと言おうとしたり、作者に『ここわかってますよアピール』したり、背伸びしても、無意味」「パッションを伝えることこそ真摯なコミュニケーション」っていう良い事例かもです。

■脳内リハーサルが無意味な理由 2 ~いきなり自己PRしだす若者


というわけで、とにかく、憧れの人の前で著作を褒めようと無理して脳内リハーサルする行為は無意味である。

じゃあ、自己プレゼンの脳内リハーサルはどうか、

これもまた無意味だと思う。

というか、憧れの人に会った時に
「自分、こういう者です! 今は◎◎をテーマにこういう活動をしています!」
っていう自己プレゼンを繰り広げる人って、結構いるんだけど、すごく失礼だと思う。

(憧れの人があなたにアポを取って会ってくれているならともかく、大勢の飲み会とか交流会とかトークイベントの後のフロアとかでたまたま短期間喋れる……という時に、聞いてもないのに1分間自己PRしてくる人って、飛び込み営業並みに迷惑だからね)

もし、幸いにも
「君は何してる人? 何をしたい人?」
と話をふられたとしても、前もって準備してきた自己アピールを繰り出すっていう行為は、意味ないんだよな。だってそれで、自尊心メラメラ&ビクビクなサブカルクソナイーヴ若者の中で一頭身抜き出る見込みってある? 戦闘力100000の憧れの人の前で、100か150かの争いをしても意味ないし、脳内リハーサルして150を180にドーピングしても意味ない。

これは、「SNSで憧れの人の動向を知って知識を補給しておく」という行為についても同じことが言える。
付け焼刃したところで、「あなたの事興味ありますよ、好きですよ」「僕、その話題についていけますよ、興味ありますよ」アピールは出来るが、そんなの、周りの尊心メラメラ&ビクビクなサブカルクソナイーヴ若者は全員やるのだ。

つまり、「その土俵で戦っても意味ない」のだ。

……というか、もしこの土俵で勝てたとしても、「兵隊」にされるだけだったりする。

「兵隊」というのは、サブカルクソナイーヴ野郎の生態を事細かに描写した渋谷直角氏のマンガ「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」の登場人物である売れっ子ライター/編集者の案野丈氏が、タダで雑用をさせるために声をかけた、そこらへんで適当にミニコミ作ってるサブカル男女を指して言った言葉である。「案野さん最近お仕事忙しそうですよね~ゲンロンカフェとかニコ生も出てますし」「いや、最近割と楽になったよ、兵隊雇ったから笑」である。(漫画が手元にないのでウロ覚えだ、すまん)

つまり、土俵の上で「戦闘力180あります」と見せても、「こいつ、俺のことめっちゃ好きだな」「都合良いな」「タダで何か頼んでもやってくれそうだな」と思われるだけで、よいとこ兵隊にされるだけなのだ。

じゃあどうすればいいのか。


■頭のいい人が、若くてバカな女とわざわざ喋る理由

自尊心メラメラ&ビクビクなサブカルクソナイーヴ若者の同志諸君は、こう思ったことがないだろうか。

「なぜ、あの憧れの人は、俺みたいに知識もあってあの人の分野の話題についていけてあの人の著作を全部読んでる俺とは話さずに、あそこで若くてバカそうな女と喋ってるんだ?! あの女と言ったら、さっき聞いたらあの人の名前をうっすら知ってる程度で本も一冊も読んでないじゃないか、あの憧れの人も結局、若い女が好きなのか? ブスだけど?!」

私も、若い女のくせに若い女のメリットを享受できなかった長い時代、よくこう思っていた。

しかし、違うのだ。憧れの人が若い女と喋る理由は、若い女が好きだからじゃない。
メラメラビクビクしてこない人が好きだからだ。


憧れの人の周りには、同業者、編集者……様々な利権や闘争心や嫉妬やエゴを絡ませながら、いろんな関係者が、メラメラ、ビクビクさせながら近寄ってくる。
メラメラ、ビクビクしている限り、君も同じ穴のムジナになる。そういう人の前ではくつろげない。

憧れの人の域になれば、仕事の話は自室まで来てくれる信頼できる人がいるはず。
だからトークイベントとか飲み会とか、とにかくあなたや私が潜り込める程度の場所で仕事の話なんかしなくても良い。彼らはここに、「ファンサービス」か「息抜き」か、「頭の空気の入れ替え」のために来てるのだ。


「いや、違うよ! あの人はマジで若い女が好きなんだよ! 自分のこと知ってる(けど著作をいくつも読むほど詳しくは知らない程度の)女にちやほやされたいんだよ!」

と思うかもしれないけれど、こういう人、結構、子どもも好きだったりしませんか。子供は自意識が無いから一緒にいて楽で、息抜きになるのだ。

(もし「違う! あの人は子供にも興味が無い! マジ自分のこと知ってる若い女に尊敬されたりちやほやされたりしたいんだ!」とまだ言い張るのであれば、本当にそうかもしれない。ごめん。でもそう思って「俺も若い女だったらなあ…ぐぎぎぎ」と思って不可能な反実仮想をため込んで脳味噌の容量を無駄に食うより、「俺、若い女じゃない! じゃあ、どうしようかな?」と思って次の策を考えた方がよいと思うので、よかったらこのまま読み進めて欲しい)

つまり、メラメラ、ビクビクしてるしてる人間は、好かれない。

「女子供」になれば良い。

■どうしたら、メラメラ、ビクビクを捨てられるか

メラメラ、ビクビクしないためにはどうしたら良いのか。
自分に自信を持つしかない。

……でも、私この手のアドバイス大嫌いなんですよね。

「もっと自分に自信をもって!」とか「自分を大事にして!」とか「自分を好きになって!」とか「ポジティブになって!」とか「好きなことをして人生楽しんで!」とか、それ単品じゃあ、何の中身も無いクソバイスだ。「じゃあどうしたらいいんだよおお!?」と、余計に悩める人を路頭に迷わせることになると思う。

この世には魅力的なゴールフラッグが沢山ある。でもそこを目指そうにもルートが不明確過ぎる。そういうことが多すぎる。
ゴールを示すだけでは、全部クソバイスだ。不誠実だ。
しかしこの「ルート」というものがマジで「人による」ため、明確なセオリーを示せないのも事実だ。

だから、私はせめてもの誠意として、今回は一応スモールゴールというか、セーヴポイントくらいを提示しておこうと思って、書いている。すなわち私がメラメラ、ビクビクを辞めて、脳内リハーサルの無意味さに気付いたきっかけだ。

■すごい人ほど偉ぶらないで、対等に喋ってくれる


だいたい、憧れの人に限らず、私のことを知らない人、初対面の人と喋ってる時は
「こいつと喋っても無価値だ、他の人のところ行こう、と思われないようにしなきゃ」
と、150の戦闘能力を180に見せようとして無理してメラメラ、ビクビクして自滅する……というのが以前の私だった。

しかし、ある時ふと気付いたのだ、実は、憧れの人の側では、「こいつと喋っても無価値だな、さっさと他の人のところ行こう」なんて考えていない。

すごい人ほど相手を値踏みしない。

例その1.
私は文響社で在宅バイトをしているので社長の山本さんと会ったことがある。
文響社と言えば、今をときめく「うんこドリル」とか、「人生はニャンとかなる!」シリーズなど、出版不況の中異例のヒットを繰り出すすごい会社だ。(「ニャンとかなる」シリーズの奥付のいくつかには、私の名前が載っている)

だから山本さんにとっては私なんてヒラバイトなんだけど、以前、社員を集めたごくろうさんランチ会みたいな15人くらいの集まりに呼んでもらった時の事だった。
バイトは私一人で、在宅のため、社長、社員さんたちに会うのはほぼ面接以来だったのだが、山本さんは、他の社員さんをさしおいて「いいの?!」ってレベルで、すごく私に話しかけてくれたし、目線も対等だった。

そこから超展開的に話が転がって、私が紹介した友達のベンチャー社長君と山本さんが商談をすることになり、私はベンチャー君に超感謝されるに至るんだけど、
「あの時の山本さんが私にあんなに気さくに話しかけてくれなければこうはならなかったな…」と思っている。

後から考えると、いつも同じ環境にいる社員さんより、他の発想や情報や人脈を持っている(可能性がある)外部の私に、積極的に話しかけてくれたのだろう、と思う。

もちろん、山本さんが人格者で、私が食事会でひとり浮かないように気遣ってくれたというのもある。


例その2.
もうひとつ例をあげると、水野敬也さん。「ニャンとかなるシリーズ」や、「ウケる技術」「夢をかなえるゾウ」の著者だ。

給料をもらいに水野さんのオフィスに行ったら、文字組やフォントが違うふたつのゲラを見せて「これとこれ、どっちが良いと思う?」と聞いてきた。
水野さんの本は、何百万部も売ることを想定している、つまり日本のあらゆる読者層に届けることを想定している、だから、万人の意見を参考にする、という水野さんのスタンスを私はよく分かっているので、何も考えず直感で「こっちがいい」と意見した。水野さんはそれを選んだ理由を丁寧に聞いて、納得したようだった。

例その3.
更にもう一つ例を挙げると、上記のベンチャー君(私の知り合いの中でダントツで一番頭が良い)とLINEしてた時、
「『こんな趣味もってるやつ、俺以外にいないだろうな…』っていう、一見マニアックだと思われがちな趣味が、意外とみんなも好きで、ヒットコンテンツになったりもするんだよな。例えばゲーム実況。今はメジャーなコンテンツだけど、広まる前は誰もこんなもの皆好きだとは思わなかった」
と言われたので、私は
「ふーん、私のマニアックな趣味って何かなあ~」
と考え、
「私、SUUMO見るのめちゃめちゃ好きだよ。何時間でも見てられるよ」
と答えた。そしたら彼は
「ありがとう。すごく役に立った」
と行った。何か新しいビジネスプランを思いついたようであった。


この3つの例で何が言いたいかというと、
「圧倒的戦闘力の差がある、すごい人の前でも、雑魚は役立つ」ということである。

それを熟知しているから、すごい人ほど、雑魚を値踏みしない。

むしろ多分、雑魚と会話してもたくさんの事に気付けるようなフィルターの網目の細かい人が、すごい人になっていくんだと思う。

■「雑魚」として役立とう

もしあなたが、メラメラ、ビクビクを捨てて、150から180にドーピングするのに躍起になるのをやめて、潔く憧れの人の前に「雑魚」として現れたら、逆説的に、憧れの人に何かを与えられる可能性がある。

それは、自我の薄い若い女や子供のように、「癒し」や「息抜き」かもしれない。
その分野の専門家には思いつかない、「新しい発想」かもしれない。
年齢が全然違うとすれば、言葉遣いによって「へえ若い人はこんな言葉遣いをするんだ~」と面白がられるかもしれない。
普通の人としての、普通の感覚かもしれない。


■憧れの人の最新著書の話題になって「ヤッベエ読んでねえ、話題に乗れねえ!」と焦る時の対処法

例えば、憧れの人の最新著書の話題になった時も、
「ヤッベ読んでねえ、話題に乗れねえ!」と焦るのではなく、

買った上で積ん読してるなら
「◎◎さんがツイートで『この本は◎◎な点が優れている!』と言っていたので買いました」

買ってないけど書影が分かるなら
「装丁がめちゃめちゃ目を惹きますね。あれはどういうコンセプトですか?」
「どこどこの本屋では平置きすらされてなかったけど、どこどこの本屋では平置きポップ付きでした」

装丁も分からない場合は
「タイトル、素敵だけど、今までの著作とちょっと方向性が違うかも! ◎◎さんの本って思わなかったら興味もたなかったかもなー。タイトルは今回ご自身で考えたんですか? 編集者さん? どの購買層がターゲット?」

と、読んでなくても無限に話題はある。話題について思ったことを、素直に言えば良い。

内容については、作者の中の脳内読者が一通りツッコミを入れ尽くしてるものだが、流通、購買動機は、作者が知らない情報が多い。
そこは、読者であるあなたの方が、憧れの人よりたくさん情報を持っている点だ。

「◎◎さんの書評の◎◎という一文がひっかかり、その後たまたま本屋で見かけ、装丁にもぐっと来て、購入した」という物語はあなたオリジナルの情報であり、どっかで拾った付け焼刃よりはるかに価値がある。

ていうか、もっと言うと、ぶっちゃけ、情報なんか与えなくても良い。価値なんかなくてよい。役立たなくて良い。

極論、話さなくても良い。
「憧れの人、新刊について話してる時、すっげえ子供みたいに嬉しそうだなあ……かわいいなあ……」
と思いながら、ニコニコしてるだけでも良い。
「何か与えなきゃ」「役立たなきゃ」と焦ってるとウザくなるから。


■「ヤッベエ読んでねえ、話題に乗れねえ!」と焦る時に言っちゃいがちなNGセリフ


今までは、
「あ、その本買ったけど積ん読してて……」
「その本、ネットで見て気になってたけどまだポチってなくて……すいません……」
「え、新刊出たんですか、すいません……信者名乗ってるのにチェック遅くて……」
と卑屈になっていたかもしれない。でも、言ってみたらこれこそ、無価値だ。

「読んでねえヤベエ」と思っているとこういってしまいがちだけど、「読んでねえヤベエ」と思うのは、自尊心を守りたいがためだ。それはウザい。「そんなことないですよ」と相手に言わせてしまう態度は等しくウザい。

(まだ、「うっわー読んでねー!! 読んでたら話題について行けたのにクソー!」と明るく本音を叫ぶ方がマシ)

■というわけで

私なりのスモールゴールというか、セーヴポイントとして、
・雑魚でも役立てる
・いやむしろ役立とうとしなくてよい(役立とうとするとウザくなるから)

という話をした。「じゃあどうしたらいいの?」という点を、もう少し別な角度から書いたブログを、続編として書きたいと思う。


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