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米国心理学者が作ったビジネス交流会(BNI)に行って合理的すぎるシステムに唸った話


こんにちは。ビジネス用語が大嫌いな渋澤怜です。
みなさん、ソーシャルなアソシエイトでニーズをリサーチしてアクチュアルにファシリテートしてますか?

ええと、「ビジネス交流会なんて、名刺バラまいて酒飲んで雑談して終わりの不毛な会じゃね?」と毛嫌いしていた私が、BNIというビジネス交流会に体験参加してきた話です。

結果からして、行ってみてめちゃ良かったです。入会は、たぶんしないけど笑!

・ビジネス交流会にマイナスイメージ持ってる(私みたいな)人
・現状、どん詰ってる人
・いつも同じメンツとつるんでてアイディアも人脈もマンネリしてる人
・グダらない仲間づくりの場に興味がある人

・プレゼンうまくなりたい人

は、ヒントになると思うので、下記レポをぜひ読んでみてくださーい!


■ビジネス用語嫌いの渋澤怜がビジネス交流会に参加した理由

……11/10に、BNIというビジネス交流会の会員である異色のピアニスト、チャック清水氏とツーマンライヴをすることになりまして。



チャック氏がハマっているというビジネス交流会の話を聞いてたら、ガゼンB興味が湧き始めまして。
というのも、BNIというビジネス交流会は……

・毎週1回 朝7~8時半(大体) 朝活! ノンアル!
・30人から100人程度の「村」ごとに開催され、ひとつの村には特定の専門家は一人しか入れない(1つの村に生命保険屋が二人、とかはありえない。よその村に入ることになる)
・アメリカの心理学者が作った、「人間がグダらないようにする仕組み」がマジすごい
例1)最低週1,2件は、村人同士or村人の友人で、ビジネス相手になりそうな人を紹介しないといけない(これを「紹介」という)
例2)遅刻早退禁止。かつ、半年間で4回休むと除名される(代理人を立てればセーフ)
・アメリカの心理学者が作った、「マルチっぽくならない仕組み」がすごい
例)何人勧誘しても、何件「紹介」しても、もらえるのは「名誉」だけ。報奨金とかは無い。よって、質の悪い人を勧誘したり、「紹介」の乱発などは起こりにくい
・なんかノリが変らしい(謎に明るい音楽がかかり、「紹介」が多い人がいると起立して「おー!!」とか言って拍手するらしい)

チャック氏はピアニスト兼ピアノ講師であるが、
・コンサートに来てもらえる
・ピアノ教室の生徒を紹介してもらえる
などの本業の紹介のみならず、
・中古ピアノの販売を始める
・モデルも始める(!)
など、新しい案件をバンバン依頼され、マジ仕事の幅が広がってるらしい。

「お試しなら2回まで、2000円で行けるよ! 勧誘、しつこくないよ!」とのことだったので、とりあえず名刺を30枚用意し、行ってみることにした。


■入場編 ~ちょっと宗教ぽくて怖い


会場は、五反田のオフィスビルの中の、でかめの貸会議室みたいなところ。

(これはネットから拾った画像です。怖くて写真とれなかった)

もうこの看板見ただけで割と、「マヂ無理……帰りたい……」ってなった。昔、偵察に行った新興宗教「サイエントロジー」と、なんか、こう、似てるのである。CGの感じとか、笑顔の完璧さとかが、こう……。

ビビりつつも会議室の中に入ると、「おはよーございまーす!!!」と、クソ元気な声がしていろんな人が寄って来た。居酒屋かホストクラブかと思った
あと、バックにうっすら、「NHK総合の「古代生物の進化の謎に迫る」みたいな番組で、古代生物の再現CGが流れてる時っぽい音楽」が流れてて、これまたサイエントロジーのDVDそっくりだと思った。発注元同じなんだろうか。

6時45分ごろ入室したが、7時までは名刺交換タイムらしく、ひたすら名刺をさばいた。「これ、意味あるん……?」って思っちゃう、いわゆるビジネス交流会ぽい、タダの紙片交換ではあった、が、みなさん開口一番
「どういった人との交流を求めてますか?」
と聞いてくるのが新鮮だった。相手のメリットになる人物を「紹介」するクセが付いてるんだと思う。よいクセ付けである。

あと、ビジター(私)のアテンド役の人が超親切だった。ホテルマンかと思った。

7時からいよいよオープン。二重コの字型に並んだ席に30名+ビジター6名が座る。

■本編 ~予想通りカタカナのオンパレードだ!!


まずは、ビジター向けに、「BNIとは?」という概要が、流麗なパワポと超早口で説明された。

「BNIは、1985年にアイヴァン・マイズナー博士により創立された世界最大級のビジネス・リファーラル組織です。BNIでは、経営者や事業者がお互いにリファーラルを提供しあうための、仕組みと環境を用意しています。
BNIのメンバーは、数十人の経営者や事業者で構成される「チャプター」と呼ばれるグループで信頼関係を築き、お互いにリファーラルを提供します。」
「BNIは「Givers Gain®」(ギバーズ・ゲイン)という理念に基づいて活動しています。これは、他の人の為に行動すれば、その恩恵は巡り巡って自分に返ってくるという意味です。BNIのチャプターでは、メンバー同士がお互いのビジネスの売上を伸ばす手助けをすることで、メンバー全員が良い結果を得ることができます。」

……これはBNIのサイトからコピペしましたが、こういうのをめっちゃ早口で浴びます。

まあ、わかんないよね。

ちなみにBNIでは、この記事で私が「村」と言ってる30人の集まりを「チャプター」と言います。
それから、30人の村には、それぞれまあ学級委員会みたく、委員長、書記、会計、新人担当、ビジターのアテンド役……などの役柄があるのですが、こういうやつをまたバーッて早口で説明されました。
しかもまあこれがカタカナのオンパレードで、ディレクターとかビジネスファシリテーターとかビジターコーディネーターとかオーガナイザーとかそんな名前のが10個くらいあるん。

「何でこんなに早口なんだろ?? これって、30人の村人にとっちゃ耳タコな内容なわけで、私たちビジターのために説明してるんだよね? じゃあうちらに分かるように説明しないと意味なくない?」
と思ったのですが、
これには理由がありまして。

タイテが分刻みなんすよ。


しかも、会場後方にタイムキーパーがいて、壇上の人に見えるようにアイパッドで秒刻みで残り時間伝えてるんですよwww
なんの競技だよwwww
こりゃ登壇者にとっちゃプレッシャーだよなーって感じ。
でも、後々この「厳しすぎるタイムキープ」の重要性が分かってくることに......


ちなみに、BNIでカタカナ語が多用されるは、アメリカ発祥だからでもあると思うのだが、
なんかそれにとどまらず、全体的にノリがアメリカンだった。
まず、アイスブレイキングで両隣の人と握手&ハイタッチした(!)し、
誰かのプレゼン中のリアクションも皆アメリカン。
「●●でお困りの事ありますか?」という投げかけに対する「う~む」とか「ああ~(わかる~)」とか。
お昼のテレビショッピング番組のようだったね。

これも、「笑うと楽しくなる」式の、心理学的な裏付けのある行為なんだと思う。たぶん…………

■厳しすぎるタイムキープの意味

・新人研修(?)に沢山行った人に「リボン」をプレゼントするコーナー(BNI会員が会合時に必ず付ける名札に、軍人の勲章みたいに付け足していくよ! 下記は「BNI リボン」でググった図)


を経て、いよいよ次は中心イベント、メンバーのプレゼンタイム。

30の異なる業種(同じ業種の人は一人もいない)の村人がそれぞれ40秒ずつ「僕の仕事はこれです! こんな人探してます! 紹介してね」とプレゼンします。
そう、この会、30人が毎回プレゼンするから、タイテがグダるととんでもないことになっちゃうんですよね。
あと、皆さまビジネスマンだから、取引先で限られた時間でプレゼンすることもあろう、その練習もかねて時間を厳しくとってるんだと思います。

この村は30人だから一人40秒だったけど、100人規模の村ではひとりのプレゼンは7秒(!!!!)らしい…

ちなみにこの村では数秒の超過ならおとがめなし、という雰囲気でした。

余談ですが、この分刻みのタイテはBNI世界共通らしく、何故かというと「外国のBNIに行ってもいつ何をしてるかわかるから」だそうです。マジかよ。


■30人×40秒のプレゼンを聞いて ~記憶に残るプレゼンはこれだ!!~

知らない人のプレゼンを30人分きいたわけですが、既に正直めっちゃしんどかったです。ぶっちゃけ、半分くらいは聞いてなかったと思う。
その中でも、プレゼンがうまい人と、下手な人では、顕著な差があるなと感じました。

下手な人の例
「なんちゃらコーディネーターのなんとかです。私の仕事は、~~に携わる~~と~~をつなぐ手続きの仲介です(~~は全部カタカナ)。~~の~~でお悩みの方がいましたら、ぜひ僕にご紹介をお願いいたします」

上手い人の例
「あなたのパソコン、大丈夫?! パソコンのお医者さん、◎◎です。※1
最近僕が探しているのは、◎人以下の製造業の中小企業の社長さんです!※2
もしあなたの近くにいましたら、『最近、パソコンで~~なトラブルない?』と聞いてみて、『ある』と言っていたら、『エキスパートがいるよ』と言って、ぜひ僕に紹介してください! ※3」

※1 アイドルみたいなキャッチフレーズで自己紹介
※2 「紹介してほしい人材」が具体的で狭い
※3 「●●という質問に、イエスと答えたらぜひ僕に」と、声かけ法まで具体的に指導

特に※2ですね。
例えば不動産売買の人って、ある意味「家買いたい」人だったら誰でも紹介してほしいわけですが、
「誰か家買いたい人いたら僕に紹介して」
よりも、
「〇〇線沿線の40代以上の男性で、家買いたい人いたら僕に紹介して」
と投げかける方が、効果的なんですよね。

一見、ターゲットが狭くなってるから悪く働きそうですが、
受け手の頭の中でターゲット像が具体的になったほうが、検索しやすい。
また、紹介のミスマッチを防ぐこともできます。

そのほか感心したことは、中小企業診断士の方が白衣を着たり、整体師の方は仕事着を着たり、見た目でも工夫されてたことです。


■渋澤怜が30秒でプレゼンしてみた

さて、我々ビジターも、プレゼンのチャンスが与えられます(30秒)。
私のところにもマイクが回ってきて、「よし、これは、30秒のライヴだ」と考えました。

想像していただきたいんですが、ビジネス用語嫌いの私が、致死量の早口のカタカナ浴びて、もう頭パンパンなんですよね。
で、私の事は誰も知らない(チャック清水氏以外)。

「ふだん小説書いてて、でも、小説を読む人は限られてるし、読者の反応も見られないから、ライヴはじめて~」
とかモニョモニョ言ってると30秒はすぐ終了です。そんなことイチから説明してる暇はない。しかも皆早口だから、同じことしてたら埋もれちゃう。

そんな中で私はどうしたか。マイクがわたってきて、しばし黙る私。注目する皆。

「え~~……、


……みなさん……




…………しゃべるの、早いっすね」


なんか、異様にウケました。間違いなく今日イチの笑いだった。

「えっとー、あと、カタカナ多いっすね。なんかー、難しかった!」

これもまあウケ。

「私は、言葉屋さんなので、言葉をぶっ刺すことを、なりわいにしています!」

と、ライヴみたいな構えで発声。この時点であと5秒。

「今度チャック清水とコンサートします! 大事なことはチラシに書いたんでチラシもらってください!!」

とまくし立てて終了しました。実は名前も言ってない(!!!)

なんとか、チャック氏の面目を潰さない範囲でキャラ濃いめの「ライヴ」が出来て、良かったです。異色だったのでキャラ立ち半端なく、皆さんにもガッツリ覚えてもらえた。

■学級会みたいなやつ

あとは、村人達の「紹介」報告がありました。
A「今週の紹介は2件です! Bさん(美容師)に、パーマをかけたい友人を紹介しました」
という報告を順次行う。週5件以上貢献した人には皆が起立して拍手します、30人分、立ったり座ったりしましたが、わりとスピーディに10分程度で終わった気がする。
みなさん少なくとも週2件以上紹介してて本当にすごい。ちなみに、紹介が無くても特にペナルティはないらしいです。でも週14件とか言ってる人の隣で「今週はゼロです」とかいうのはかなり気まずいよね。
ちなみにこの「紹介」というのは、直接的な顧客じゃなくとも、「ゆくゆくビジネス相手になりそうな人を紹介する」でも良いそうです。まあそれでも週14件て本当すごいけどね……

ちなみにチャック氏いわく、他の村との交流もさかんで、他の村のメンバーを紹介するのも勿論アリだそうです。そりゃあ、BNIに入っただけで鬼のように仕事増えるわけだ。みんな、誰かに「紹介」したくてうずうずしてるわけだからね。


■いかがでしたか?

というわけで、BNIはクールで合理的なシステムとあたたかい人の交流をベースにした大変有意義なビジネス組織であることを実感しました。

BNIには、日本で約280の村、都内だけでも70の村が存在します。
みなさんもぜひ、お近くの村を探して、BNIに入ってみませんか?



…と、web記事ぽく締めてもいいんですが。


■渋澤怜はBNIに入らないのか

これだけ褒めたにもかかわらず、私が入会を渋ってる理由を、明らかにしておこうと思います。ここまで読んで「入会してみようかな?」と思った人の参考になれば。

まあ渋る理由としては

・ノリが基本リア充なのでつらい
・会費が高い(確か初年度は入会金と月会費を合わせて年間20万近くかかるようだった)

などもありますが、一番は

・芸術家にはBNIは壊滅的に合わない

と思ったためです。

BNIって、「信頼できる、近くにいる人を紹介し合う」互助組織みたいなもんなんですが、私は「たまたま渋澤さんが近くにいて、信頼できるから」という理由で、文章を読んでいない/ライヴを観てない人から仕事を貰っても、あんまし意味ないんですよね。ミスマッチの可能性が非常に高い。
実際、BNIの方の一人が、ありがたいことに「写真をやってる知り合いが写真絵本を作りたいそうで、物語書ける人を探してる」と声をかけてくれましたが、私は名刺と本を渡して「私の文章読んで「ぜひ私に書いてほしい」ってことだったら紹介して! 無理だったら返事なしでいいよ! 無理の可能性の方が高いからあんまし期待しないどいて!」と答えました。

というのも、芸術家の場合、「信頼できるから/近くにいるから」じゃなくて、「あなたの作ってるものが良いと思ったから」っていう理由で仕事もらわないと意味ないんですよね。なぜかというと、芸術家は、自分のテイストが曲げられないから。

例えばフローリングの張替え屋さんだったら、「ピンクのフローリング以外張らない! 茶色のフローリングを張り替えたい人は紹介しないで!」という人はあんまりいないし、むしろ虹色のフローリングを張りたい人を紹介されても「喜んで! 前例無いですが頑張ってみます!」と言うと思うのですが、

芸術家の場合、「めちゃめちゃ最高のピンクのフローリング張るから、張られたい奴を紹介しやがれ」でOKなんですよね。

私は、小説とライヴに関しては「書きたいものしか書かないし、書けない」ので、上記のような返答をしたわけです。

というわけで、ライヴが出来る小説家・渋澤怜が仕事をとるためのミッションは、BNIのような互助組織に入ることではなく、「とにかく名前と作品を露出しまくり、『渋澤怜と仕事をしたい』という人からの返答を待つ」というスタイルになります。「たまたま近くにいるから」じゃなくて、「たとえ遠くにいても」コンタクトくれる人を待つわけです。実際、ライヴは営業を全くしてないのに月3件くらい入る。

というわけで、「ライヴが出来る小説家」としては、上記の通りBNIは不向き。

ただし、私はライター業もできるっちゃできます。(でも、「何でも書きます系ライター」は無理だし、自分の得意分野に合わせたものならいくつか書けるかも…という感じです。)

ピアニストであるチャック清水氏も、BNIのおかげで「ピアノ教室の生徒が増えた」「中古ピアノ販売を始めた」などのメリットもあったわけですから、
私が「ライター」として本腰入れる覚悟が定まった場合は、BNI的なものってすごく効果あると思います。「タイテが厳しくてグダらない雰囲気」「朝」も、せっかちで朝型の私には向いてると思った。

渋澤怜は、芸術だけで食えないのは百も承知なので、そこらへんをこれからよく考えていきたいと思っている!!!!!!


■さいごに!!

というわけで、こういう感じのイベントレポ記事が、私はめちゃめちゃ得意(だと自分では思ってます!)
もし「くだけてて、率直で、リーダブルで、ステマっぽくないイベントレポを書いてほしい」というご依頼ありましたら連絡くださーい! info@rayshibusawa.her.jp それかfbかtwitterでも! ちなみにこの記事は誰からもお金もらわずただの趣味で書いてます笑

参考 他のレポ

あ、あと、もし「BNIに参加してみたいかも」と思った人は、私の行ってきた会を紹介できますので、ご連絡ください 木曜7時から五反田です! 1回2000円で、2回まで見学できます(2回目にちがう村を見に行くことも可能)勧誘はほんとしつこくなかったです笑


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