マガジンのカバー画像

自然

5
運営しているクリエイター

記事一覧

石垣島での夜

石垣島での夜

 生き物たちが待つ、石垣島での夜。

 初めて石垣島を訪れたのは学生の頃。初めて潜るサンゴの海は、冷たくなったり暖かくなったりする不思議な海で、そこには360°どこを見てもたくさんの魚がいる。興奮した覚えはあるけど、何を見たかは覚えていない。河口に生い茂るマングローブは、踏みしめた土壌からにじみ出る濁り水と、延々と鳴り続けるかパキパキ音が、普通の森でないことを感じさせる。毎日わずかにタイミングが変

もっとみる
警戒心を感じる

警戒心を感じる

生き物の警戒心を感じる、警戒心の強さを感じる、その警戒心を解いていく、ということが、生き物と「対峙する」ことの醍醐味の一つだと思っている。スキューバダイビングや野鳥観察を楽しいと感じる理由の一つは、間違いなく警戒心を感じられる点にある。

これまで出会った生き物を振り返りながら、その醍醐味について考えてみたい。

ただし、生き物を必要以上に警戒させると ストレスを感じさせてしまうだろうし、食事など

もっとみる
僕にとってのカニ

僕にとってのカニ

カニは思い入れのある生き物だ。

幼いころに生き物や自然と触れ合った経験は誰にでもある。僕の記憶に最も残っているのは、父に連れられて行ったサワガニ釣りだ。岸壁の端にしゃがみこみ、テトラポットの隙間を覗き込むとたくさんのサワガニが見える。割りばしに糸を結び、糸の先にスルメイカを結んだだけの簡単な釣り竿で、小一時間もあれば大量に獲れる。でも、大きなカニはとりわけ警戒心が強く、なかなか釣れない。怪しまれ

もっとみる
山へ鳥を観に妻と

山へ鳥を観に妻と

 電車で1時間ほどかけて、山に野鳥を観に行くことにした。いつも通り一人で行こうと
していると、妻もほんの少し興味をもってくれていたようで、一緒に来たいといってく
れた。もちろん。と返事をしつつも、わざわざ来てもらって、楽しんでもらえなかったらどうしよう、と勝手にツアーガイドになったような不安な気持ちになったりもした。でも
深く考えずに、純粋に野鳥観察やハイキングを二人で楽しみたいと思った。

 そ

もっとみる
自分のフィールドを見つける

自分のフィールドを見つける

 今年の春夏は、お気に入りのフィールドを見つけるために何度か出かけた。探していたのは、バードウォッチングに適したフィールドだ。

 野鳥を観に行くようになってから、まずはできるだけ色んな種類を観ようと、色んな所を訪れてきた。もちろんその点での成果はあった。どんな種類がどういう場所にいるのか。季節ごとにどんな渡り鳥が見られるのか。少しずつ分かってきた。はじめのうちは、こんな風に幅を広げていくのが良い

もっとみる