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レンタルモールだけではなく、自社でも「試してから買える」お試しサービスを導入した理由とは。

筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏が代表を務め、2023年7月にアメリカNASDAQに上場したことで大きな話題にもなったピクシーダストテクノロジーズ株式会社が、2022年11月から販売している、日本初の”超音波研究”から生まれたホームケア用のスカルプデバイス「SonoRepro」。(超音波で頭皮を刺激する先進の機器です。)

「手軽に手に取ってもらいたい」という思いから、2023年2月より、自社のECサイトで「試してから購入できる」お試しサービスを開始しました。この機能が、自社のマーケティング施策と相まって大ヒットし、現在も非常に多くのご注文をいただいています。

なぜ通常の販売だけでなく、お試しの機能を自社のECサイトに実装したのか。レンタルモールだけではなく、自社で実施する理由とは何か。同社のSonoRepro事業部長を務める小野川氏に話を聞きました。

ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
SonoRepro事業部 事業部長 小野川舞氏
Free Standard株式会社
荒井実希


ーー本日はよろしくお願いします。まず最初に「SonoRepro」を発売してから、リテーラー(お試しサービス)の導入を決めるまでの経緯を教えてください。

「SonoRepro」は新しい技術を用いた商品です。まずは多くのお客様に知って頂くため、家電量販店さんなど販売チャネルの開拓に始まり、自社販売を促進するための基本的なwebマーケティングなど、ベーシックな取り組みを一通り実施していきました。

とはいえ、お客様に新しい技術を用いた商品の価値を分かっていただくこと、買っていただくことは簡単ではありません。品質に自信があるからこそ高価格(23年12月現在、税込み137,500円)である一方で、お客様からは「自分には合うのか」と不安に思われてしまう部分があったと思います。

『販売』という選択肢のみの場合は「購入まで踏み切れない」お客様でも、『一度お試しできる』という選択肢も提示できれば、使ってくださる方がいるのではないか。一度使って頂ければ、「SonoRepro」にご満足頂けて購入につながるはず、という思いから、自社でお試しサービスを始めることにしました。



ーーなるほど。確かに「高価格帯かつ使ってみなければ機能性が分からない」という特徴を持つ製品はレンタルスキームとの相性がいいかもしれないですね。実際にサービスを導入頂いて、貴社として得られた成果はありますか?

まずは、想定以上に注文が入ったので、正直驚きました。2023年の4月に全国的にTV CMを放映したのですが、その受け皿として、想像をはるかに上回る数「お試し」の注文が入り、社内では「本当に?」という反応が多く寄せられるほどでした(笑)

ー(笑)

注文数自体も驚きでしたし、その後も継続されているお客様が多かったのも印象的でした。

よくあるwebのサブスクリプションサービスの場合、60%くらいが初回の期間でやめてしまって、40%程度しか継続しない印象だったのですが、実際お試し後の継続率が80%あり、その後45%の方が購入に至っています。「お試し」継続利用とそこからの「購入」の確率が高いことで、収益的にも大きくなりました

初期の注文数に加えて、3ヶ月後の継続率の高さで、もう一回社内でも「すごい!」という反応が多く出るなど、大反響でしたね(笑)



ーー 4月の注文ラッシュは弊社でも驚きの声が多かったです!
今回SonoReproのテクノロジーを実感していただくのに必要な使用期間をお試し期間として設定したのも、延長率の高さや購入率に影響しているかもしれないですね。
※お試し期間を、45日間と90日間の2パターンで設定

そうなんですよね。余談ですが、4月に「30日間ご使用いただいて、ご満足いただけなかった場合、全額返金させていただく」というキャンペーンも弊社でやっていまして。キャンペーン終了後、リテーラーで「45日お試し頂いた後は延長率が高い」というデータが出たことから使用期間を30日間から45日間に変更して再開したところ、返品されてくる数が明らかに減ったんです。30日間と45日間でこんなにも体感に違いがあるのか驚きました。

製品にご納得いただけるタイミングは1ヶ月では少し短いのかもしれないということにも気づけたのは実はとても貴重なことで、製品使用上の情報発信にも活かせるデータを得ることができました。



ーー ちなみに、家電の領域はレンタルモールも広がってきています。貴社も実際にレンタルモールやサブスクリプション関連のモールにも出品されていますが、なぜブランド公式でもお試しサービスを実施したのでしょうか?

まず一つ目は、マーケティングをした分だけ自社サイトに返ってくるからです。

他社のレンタルモールですと、注文の前にまずそのモールの会員になる必要があります。つまり、私達のお客様というよりも、モールのお客様という側面が強く、それが続くとマーケティングとしても、その会社さん頼みになってしまう可能性があります。

その意味では、リテーラーが自社に埋め込めることは大きかったです。リテーラーはあくまでも公式サイト上でお試しサービスを提供する形なので、自社でプロモーションした分、しっかり積み上がる。これはブランドが自ら公式で実施する大きな理由になると思います。実際、マーケティングに力を入れた結果、自社のお試しの注文数が多く、売上にもつながることを実感しています。

二つ目は、ユーザー体験をより良くできる点です。自社ECに着地して、そこで買うかレンタルするか選べるのはUXとしても良いと思います。公式サイトで「借りて」「試して」「そのまま買える」ことや、製品の「保証も新品購入と同等」につけられることなど、最初の入口から一貫してブランドとしてサポートできることが、お客様にとって一番安心です。また、ブランドとしても責任をもって高いサービス品質を提供し続けられますよね。これは公式で実施してないと実現できないことだと思います。



ーー 実際にサービスを導入頂いてしばらく時間も経過しました。事前の期待とのズレや、逆に良かった点などはありますか?

まず設置がすごく簡単でした。自社サイトに一行のタグを埋め込むだけである、と説明はいただいていたのですが、本当にそれだけで完了したので、とても助かりました。弊社はECサイトをShopify(ECサイトを簡単に制作できるサービス)で作っているのですが、リテーラーはボタンのデザインや文言まですり合わせた上で追加開発することなく反映できるので、外部パートナーをはさんでも、非常にスムーズかつ低コストで導入できました。

良いことだけ言っていると怪しいかもしれないですが(笑)期待のズレや不満などは本当に無いんです。


ーー ありがとうございます(笑)ご満足いただけていて良かったです。では、最後にリテーラーへの今後の期待を教えてください。

初めてサービスの説明を聞いた時、素直に「面白いことを考える会社だな」と思ったんです。「どう売るか」というだけでなく、「最初はライトに製品を試せる」という事自体新しい購入体験ですし、「在庫の有効活用」を含めて一連のサービスを考えられているというのは、よほどブランド側の視点に立っていないと生まれないことだと思います。

だからこそ、今後も私たちの視点にないようなところから新しいサービスをご提案いただきたいなと思っています。

私たちも、今後「アピアランスケア」と呼ばれる領域(ガン治療などの病気で発生してしまう抜け毛や、産後の抜け毛など)にも貢献していきたいと思っているんです。これは社会課題の一つで、誰かに相談できる機会も少ないまま悩まれている方も多くいらっしゃいます。特に産後ケアなどは、短期間だけ使いたいという方もいらっしゃるので、そういう方へのサポートプランなども一緒に考えていけたら嬉しいですね。


ーー ありがとうございます。弊社としても公式だからこそできる柔軟なサービスのあり方や、消費者の人生、生活に沿った新たな購入体験を広げていきたいと思っております。今後も引き続き、よろしくお願いいたします!


■Free Standardについて
Free Standardは、ブランド、メーカーが自社リコマースを立ち上げることを支援するサービス『Retailor(リテーラー)』を提供しています。リコマースを本格的に立ち上げる上で必要なスキームの設計からオペレーションの運営に至るまで、シンプルでローリスクな形で実現可能です。

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