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読書記録 夜は短し歩けよ乙女、民王~シベリアの陰謀

夜は短し歩けよ乙女 10/10読了

前からオシャレな表紙が気になってたので購入。
なんとも不思議な小説だった。
天然っぽい美少女とその子に恋する冴えない青年が織り成すラブコメディ。どこでもありそうな設定だが、いきなり空を飛び出したり明らかに人外の登場人物が出てきたりと、ファンタジー要素も含んでいる。
何の前触れもなくファンタジックな展開になったりするので、正直先に何が起こるか読めなかった。登場人物同士のシュールなやり取りが面白い。舞台をやってるかのような独特な言い回しで会話が成立していく。本小説の作者は太宰治に影響を受けてるんじゃないかなあという印象。
また、シッチャカメッチャカな情景に想像を働かせるのも面白い。人によっては時間がかかるかもしれないが。
アニメ映画化もしてるらしいので機会があればチェックしておきたい。

民王~シベリアの陰謀 10/11読了

前作の民王が面白かったので迷わず新刊を購入。
ドラマのように息子翔のキャラが違ってたりもせず(あれはあれで良かったが)、前作そのままのキャラが引き継がれていた。
今回の池井戸作品もあらゆる逆境が描かれる。ピンチのスケール度でいえば、過去作ナンバーワンかもしれない。なんせ今回は国会での争いだけに留まらず、民衆全体を巻き込んだ争いへと発展していくからだ。
今回のテーマは「ウィルス」。
突如として発生した謎のウィルスが、国会をはじめ国全体を混乱の渦に巻き込んでいく。ウィルス×政治という、まさに現代社会を象ったテーマである。ウィルスに因んで、テロ、緊急事態宣言、デマ、果ては一部民衆から声高に叫ばれる陰謀論、印象操作などなど・・・・一つとっても大炎上を引き起こしそうなきな臭いキーワードも多く登場する。
テーマがテーマだけに、コメディ色の強かった前作よりは重い内容になっている。いつもの池井戸作品のスカッとする一発逆転というよりは、現代社会へ一石を投じるような感じか。
私自身、コロナウィルス陽性で苦しんだ時期があったので、より感情移入しながら読み入っていた。皮肉めいた感じで現代社会をも一刀両断するような部分も中々スカッとする。
今となっては、ウィルスに関しては誰しも他人事ではなくなった。ワクチンを打ってはい安心、薬を飲んではい治った、というわけにはいかない。私達はウィルスとどうやって向き合っていくかが問われている。
今回の民王を通して、今一度向き合い方を考え直してみるのも良いかもしれない。


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