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キャリコン的読書レビュー『ナッジ』

お疲れ様ですキャリアコンサルタントのタケシマです

今回ご紹介する本は『ナッジ』です、副題に「自由でおせっかいなリバタリアン・パターナリズム」とあります、、、どんな本でしょうか

ところで、キャリア相談においてはキャリコン側の押し付けではなくあくまでも相談者の

主体的な意思決定

を尊重します。それはカウンセリング理論の基礎であるロジャースの人間観からきています。ロジャースによれば人はより良く生きようという力を内在しているので、その力を出していただけるようなサポートをすることが我々キャリコンの仕事なのです。

一方で、主体的な意思決定を突き詰めて考えると一筋縄ではいかないことがわかります。認知心理学や行動経済学の分野では人間というものは誤った選択も結構することがわかっているからです。例えば身体に害があるとわかっているけどタバコをやめられないとか、肥満のリスクがあるのにファストフードを頻繁に食べてしまうなど、、、確かにそれらは主体的に意思決定をした結果なのですが最終的には本人のためにならない選択をしてしまうのです。

そんな人の誤った選択問題に対しアメリカの法学者のキャス・サンスティーンは「ナッジ」という考え方が有効なのではないかと提案します。「ナッジ」とは英語で行動を後押しするという意味です。人の行動をそっと後押しするような仕組み、、先ほどの例ではタバコのパッケージに肺がんの写真を印刷することでタバコを吸うのを減らしたりやめたりする、肥満を回避するような情報を食品パッケージに印刷したり、レストランで提供したりする。これらをサンスティーンは「アーキテクチャ」と呼びます。この「ナッジ」のアーキテクチャの利点はあくまでも選択権は本人に残しながら、さりげなく良い道を選ぶように後押ししている点です。特にアメリカは自己決定権を重視するリバタリアン社会です。したがって政府や行政からの上から目線の押し付けには嫌悪感があるのです。上から目線の押し付けをパナーナリズムと言います。
リバタリアンとパナーナリズムという相反する価値観、これをうまいことアーキテクチャによっていいとこ取りしようという「リバタリアン・パナーナリズム」がサンスティーンの提唱する「ナッジ」です

今や各国の公共政策に組み込まれ、消費者保護、環境、健康、労働、保険、金融、などなど、、、アメリカではオバマ大統領がサンスティーンを政策チームに招き入れています。

もちろん、「ナッジ」には批判もあります。その有効性に対する疑問やそもそも正しい道を誰が定義するのかどうか、また政府による市民の行動監視や都合のいいような誘導になるのではないか云々。本書はそのような批判ポイントも丁寧に解説しつつ、それでも「ナッジ」のが有効であるような条件を整理してくれています。

人間の主体的な意思決定というとても深い問題に対し「ナッジ」はある角度からの面白い提案だと思います。キャリアコンサルタントや心理カウンセラーなど対人支援職にとっても勉強しておいて損はない領域だと思います

ではでは









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