柴田 祐介

限界バンドマン(27) https://lit.link/recapituradio

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最近の記事

ニセモノの逆襲

ここ最近精神的な不調がしばらく続いている。これというきっかけがあるわけではないが、一月に仕事や予定を詰め込みすぎたことや、二月頭にライブが終わり一段落ついたタイミングで今まで溜まっていた膿が溢れ出てきたのだろう。 先日映画を見に行った。「笑いのカイブツ」。 伝説的なハガキ職人であるツチヤタカユキの私小説を元にしたノンフィクションで、笑いの才能と熱量に溢れながらそれ以外の能力はまるでなく、周りと衝突を繰り返しながらも不器用に生きる人間ドラマだ。 誰に蔑まれようと妬まれようと

    • 「残ってる」こと、忘れたこと

      YouTubeに動画をアップロードしていれば、どの動画がどれくらい再生されているのかを確認出来る。 ふと空き時間にそれを見るのが癖なのだが、普段あまり再生されない動画が見られていたことに気が付く。 吉澤嘉代子の「残ってる」をピアノで弾き語りした動画だ。 最近はピアノに触る機会といえば作曲のために和音やメロディなどを確認するくらいで、まともに演奏することは無くなっていた。もともと小さい頃からピアノを習っていた人間ではないし、人前で見せられる腕前でもないと思っていた。 動

      • [Behind The Scenes]ある日のこと

        あれは好き合ってはじめてのデートのとき。 「付き合って」ではないのは大変情けない理由だ。 大学二年の夏休み、ドライブデートの帰り道、相手の気持ちに気がついていた僕は、同じ気持ちだと打ち明けた。しかし僕はその二ヶ月前まで付き合っていた元恋人のことをまだ完全には忘れられていなかった。だから切り替える時間をください、それから正式に付き合ってください、そうお願いしたのだった。 そもそも切り替えられていないのなら、そんな話しをしなければいいのに。最低で、ずるい男だ。 JR町田駅

        • 時計の針は止まったままで

          今年で僕は27歳になる。すなわち生まれて27年。でも僕の感覚的には本当の僕の人生が始まったのは3年前の3月から。いや、きっと正確にはあのとき、僕は死んだのだ。そのくらい、僕の全てを変える出来事が3年前に起きた。 ’’生まれて’’からの僕は、就職したり実家をでたり、楽曲投稿を始めたりライブ活動を始めたり、さまざまな変化をしてきた。新しい挑戦と言えることも少なからず取り組んだ。 それでも、3年前から根本的には何も変わっていないように思える時がある。 知らない景色をたくさん見

        ニセモノの逆襲

          ラジオドライブ

          趣味と呼べることは少ないけれど、しいてあげるとすればラジオドライブだ。 「あぁ『ラジオ』と『ドライブ』ね」 と思ったそこのあなた、そうではない。 「ラジオドライブ」である。 んん? 乗馬ビリヤード…? フルート生花…? そう思ったあなたは同志だ。抱き合おう。 まず僕はラジオが好きである。と言ってももっぱら聴くのは芸人深夜ラジオばかりで、一時期は週に7番組ぐらい聴いていた。ただ流石に毎週追い切れなかったので、こそいでこそいで今は『オードリーのオールナイトニッポン』

          ラジオドライブ

          [自己紹介]迷子の皆さん、出口はあちらです

          自己紹介というタイトルのくせに真面目に自己紹介する気はさらさらなくて、ここにどういったルートでかは知らないが行き着いてしまった、というか迷い込んでしまったあなたへ、 「別に読んだってなんにも面白くないですよ」 「時間を無駄にしますよ」 という注意書きのようなものである。 まあそんなことを言っていても仕方が無いので多少自分のことを言えば、ふだんの僕はミュージシャンだ。 「どんな音楽やってんの」 と思ってくれた稀有なあなたへ2曲ほど。 活動歴はどこを始点にするかによるが

          [自己紹介]迷子の皆さん、出口はあちらです

          [Behind The Scenes]黒胡椒 +‪α

          喧嘩の原因がなんだったかは忘れた。 いや厳密に言えば僕が一方的に謝っていた気がするから、僕がまた何かしでかしたのだろう。 どちらにせよ原因はよく覚えていない。 駅で彼女を拾い近くの家電量販店の駐車場に車を停めた。 店舗の一階部分の駐車場は、売り物のLEDの実力を証明するように夜でも目が痛くなるほど明るい。 平日のこの時間は停まっている車はまばらだ。 「ごめん」と謝って少し話をして、僕は頃合いを見計らって自分のバックからあるものを取り出した。 ハンカチに包まれたタ

          [Behind The Scenes]黒胡椒 +‪α

          [Behind The Scenes]渇望

          高校生のころはMr.Childrenばかり聴いていた。 いやそれしか聴いていなかったと言っても過言では無い。 高校2年の時に「靴ひも」と言う曲にハマっていた。 若干の憂鬱を帯びた片思いの歌詞やメロディーの雰囲気、そしてベースラインがとてもかっこいい。 こんな曲を作りたいと思って、 高2の僕は曲を書いた。 はじめはありふれた遠距離恋愛の歌だった。 タイトルは「君の遠くの笑顔」で、冒頭の歌詞は「君と電話しながら充電が切れかかった携帯を握りしめて帰り道を急ぐ」みたいな感じだ

          [Behind The Scenes]渇望

          奢るとか奢らないとかの話

          先日地元のマック時代の後輩が「ボウリング行きませんか!」と誘ってくれたので、同期と後輩と3人で数年ぶりにボウリングをした。 3人だと当然1レーンしか借りられないわけで、どんなグループと隣り合うかの「グループガチャ」が大切になってくる。 その日は週末の夕方、しかも駅近のラウンドワンとあって非常に混みあっていたから、マナーの悪いグループと当たったら嫌だなぁと一抹の不安を抱えていたが、隣へ来たのは高校生くらいのカップルだった。 雰囲気から察するに彼氏が良いところを見せたくて来

          奢るとか奢らないとかの話

          フロランタン

          「チョコ貰えるかなぁ」 なんてことはこの歳になると考えなくなる。 学生時代ならばバレンタインデーに満を持して想いを伝える、みたいな大層なイベントは物珍しいものではなかったし、自分がその当事者となることに一抹の、いや莫大な期待を持っていた。 (ついぞ叶うことは無かったが。) しかしアラサーにもなってそんな博打みたいな恋愛の仕方をする人はいないし、もし僕に想いを寄せる人がいたのならとっくのとうに何かしらのアプローチがあって然るべきである。 (今のところ何ひとつ無いわけだが

          フロランタン