[Behind The Scenes]渇望
高校生のころはMr.Childrenばかり聴いていた。
いやそれしか聴いていなかったと言っても過言では無い。
高校2年の時に「靴ひも」と言う曲にハマっていた。
若干の憂鬱を帯びた片思いの歌詞やメロディーの雰囲気、そしてベースラインがとてもかっこいい。
こんな曲を作りたいと思って、
高2の僕は曲を書いた。
はじめはありふれた遠距離恋愛の歌だった。
タイトルは「君の遠くの笑顔」で、冒頭の歌詞は「君と電話しながら充電が切れかかった携帯を握りしめて帰り道を急ぐ」みたいな感じだった気がする。
実際当時使っていたLGのアンドロイドは充電の減りがとにかく早かった。ガラケーから初めて乗り換えたスマホだったからこんなもんかと思っていたけど、朝フル充電して家を出ても、帰るまでもたなかったのはどうかしていたと思う。
2013年頃のスマホなんて、どれもそんな感じだったかもしれないけれど。
まあそのとき好きだった女の子がたまたま僕の後に同じ機種に変えた、という嬉しい出来事もあったけどね。
その人とはそののち付き合うことになり、「君の遠くの笑顔」が書き上がってすぐ歌詞を見せると、二人のエピソード的なものも盛り込まれていたから「この歌詞Twitterに載せても良い?」と聞かれたけれど恥ずかしくて断った。
制作時期がはっきりしているのはこのやりとりを覚えているからだ。
しかし書き上がった歌詞はずっと腑に落ちなくて、結局書き換えた。
サビなどは変わっていないが1番2番のAメロは全部違うし、Bメロもすこしいじった。
そして「渇望」が完成した。
盛り込まれたエピソードは消え、遠距離恋愛感もなくなったけれど、その初稿の名残は終わりのAメロに残っている。
自分の中では特別好きな曲では無かった。20歳ではじめてライブハウスに立った時に弾き語りで披露すると、聴きに来てくれていた友人Kがとても気に入ってくれて、以来あらためて好きな曲のひとつになった。
ちなみにこのライブ本当はキーボードと二人で出る予定だったのが、本番一ヶ月前くらいに解散して結局一人で出ることになった。一年弱前にも似たようなことがあったから、僕はキーボーディストとは相性が悪いのかもしれない。
キーボード、大好きなんだけどなあ。
友人Kがあのとき「渇望良いね」と言ってくれなければきっと今も歌ってはいないだろう。
ひょっとすると昔作って今は全くやっていない曲の中にも、そんな掘り出しものがあるのかもしれない。
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