【エッセイ】マスク

マスクをする時間が増えたことでわかったことがある。

それは自分の口元のだらしなさだ。
例えば、無意識に口元に手を持っていくことも多いし、無意味に口を開けたままになっていることも多い。他には何かあごのかみ合わせを確認していたりする。

マスクをすることで、そんな行為を意識するようになったが、普段はきっと無意識にやっていたのだろう。
マスクをすると口を開けづらいし、開けるとマスクがずれたりするので、口を開けなくなる。これがかなりストレスになる。
無意識にやっていたことが出来なくなるので、何か微妙に居心地が悪い感じがするのだ。

こんなに無意識のうちに口を開けていたりするなんて思っていもいなかったし、他の人にはアホみたいに見られているんだろうなと痛感した。自分でも自らのことをうすうす変な人だと感じていたが、周りからもそう思われているのだろうな。

逆に、変人がマスクをしていることで、メリットもある。

それは、普通の人がおかしいと感じない瞬間に笑ってしまうのを隠せるというものだ。普通の人から見ると何も起こっていないときでも、頭の中で変なことを考えてしまったりして、一人だけ笑ってしまうことがよくあるのだ。そのようなときにマスクをしていることで、異様なにやにやを隠すことが出来る。

また、マスクをしていることで、町中で急な変顔をすることもできる。
何かふとした瞬間に変顔をしたくなることがあるのだ。
マスクをしていないと、一人で男が変な顔押していると通報される危険性があるが、マスクをしていることで、それを防ぐことが出来る。
目さえ普通にしていれば、口元は多少変な形にしてもばれない。

こんな生活を数年間も続けていたら、顔の形が変になってしまうような気がする。なので、早くマスクをしなくても町中を歩けるような社会になってほしいと切に願う。


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