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感謝の気持ちは"お金"で!?~イギリスのチップ文化について考える~

日本に住んでいるとなかなかなじみがないのが「チップを払う」という文化。

私は今、ワーキングホリデー(YMS)制度を利用し、イギリスにあるホテルで働いています。

最近、仕事に慣れてきたせいなのか、それともたまたまなのか、お客様から直接チップをいただく場面が増えてきました。

イギリスでのチップの習慣はそれほど厳しいものではなく、ほとんどの場面で払わなくても問題はありません。


私自身、初めてチップを受け取ったのはアメリカ人のお客様からで、チェックイン後にお部屋へ案内しただけで、流れるように機械的に£5いただきました。
日本人らしい遠慮から、断りたい気持ちがかすかにあったものの、「海外はこういうものか」と思い、素直に受け取りました。

何の感動もありませんでした。

別のアメリカ人のお客さんには、ルームサービスでサンドイッチを提供した際、サンドイッチよりはるかに高い£20紙幣を手渡されて、

「これは多すぎますよ!」

と言ったところ、

「構わん、君にやる」

と言われ、個人的には嬉しさよりも、そのお客さんに高慢さを感じてしまい、嫌悪感を抱いたこともあります。(私は、ひねくれてるのかもしれません?笑)

アメリカではおそらく、チップ文化が厳しく、サービスを受けたらチップを払うことは「義務」という感覚なのかもしれません。
アメリカに住んだことも、行ったこともないのでわかりませんが…。


他方、ここイギリスでは、「義務」というより「感謝(あるいは満足)のしるし」という感覚でしょうか。

受けたサービスに満足したら、そのお礼としてチップをくださる方が多い印象です。


私の中で一番嬉しかったチップは、フェリーの遅延により、夜中の3時頃にチェックインをされた初老のイギリス人ご夫婦のお客さんからいただいたものです。

ご夫婦が車でホテルのエントランスに到着し、チェックインを済ませた後、いつも通り、私はお二人をお部屋に案内し、車から荷物をお部屋まで運びました。

この時は「おやすみなさい」と軽く挨拶を交わしただけでしたが、翌日のシフトに入った際、ヘッドレセプショニストから、

「Mr.&Mrs. ○○から、あなたによ。」

と言って、封筒に入った£5紙幣を手渡されました。

どうやらこちらのご夫婦は、チェックアウトをした際、ホテルのヘッドコンシェルジュに「あの日本人のポーターに渡してくれ」といって、わざわざチップを私宛に置いていってくださったのだそうです。

おそらく、夜は長旅で疲れてへとへとだったので、伝えられなかった「お礼の気持ち」をチップにして置いていってくれたのだと思います。

アメリカ人のお客さんからもらった£20よりも、私の中ではこのご夫婦からいただいた£5の方が圧倒的に価値のあるもので、本当に嬉しかったのです。


この経験以降、私もサービスに満足を感じた際には、積極的にチップを払うようにしています。

以前、ロンドンを訪れた際、ヒースロー空港からロンドン市内へ行く予約制のバス(いわゆるコーチ)を利用した時のことです。

私の乗る予定だったバスは、ヒースロー空港のバスターミナルに到着後、降りるお客さんだけ降ろして、乗る予定のお客さんを乗せずにさっさと搭乗口のドアを閉めて出発してしまったのです。

イギリスに来た当初の私だったら、おそらくパニックに陥っていたでしょうが、既にイギリスに来てこういう事態にもすっかり馴染んでしまった私。

次の便のバスの運転手さんに直接交渉します。

「前の便を逃してしまったのだけど、このバスに乗せてもらえますか?」

とたずねた私。

すると運転手さんは、乗客の状況をチェックし、バスに空きがあることを確認すると、

「大丈夫、乗っていきな!」

とすかさず、快く応じてくれたのです。

この時点で既に感謝の気持ちでいっぱいだったのですが、なんとこの運転手さん、イギリスのバスの運転手には珍しく、運転もかなり丁寧で、揺れが少なく、乗り心地もよかったのです!

すっかりこの運転手さんのことを大好きになってしまった私は、終点のロンドン・ヴィクトリアに着いたあと、バスから最後に降りて、「乗せてくれてありがとう」という言葉とともに、財布の中の£5紙幣を「感謝のきもち」として運転手さんに手渡しました。

運転手さんは、ちょっと驚いた様子で、でもすかさず

「Thank you!!」

と、ウィンクとサムアップで返してくれました!

ほんの一瞬の些細なやりとりではありましたが、私自身がお礼を伝えられて大いに満足できた、「チップ」の思い出です。


このようにチップ文化は、チップを受け取る側も、チップを渡す側も、嬉しい気持ちになれるとてもハッピーな文化なのです!

本当にサービスに満足してチップをいただくと、受け取る側としては仕事やサービス向上へのモチベーションになりますし、渡す側としては言葉にできないお礼の気持ちを手軽に伝えられる手段として利用でき、いいことづくめ!

みなさんも、イギリスで何かサービスに満足したり、お礼を伝えたいときには、是非、お礼の言葉とともにチップを渡してあげてください!

あなたも満足しますし、受け取った相手も間違いなく嬉しいですよ!

社会に善意を循環させましょー!!!


最後までお読みいただきありがとうございました!



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