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人は「他人の痛みなどわからない」という現実を素直に受け入れてみる

先日の記事で「人は自分が経験していない他人の辛さなどわからない」ということを書きましたが、ではどうすれば良いのか考えてみたいと思います。

まず初めに「他人には自分の痛みをわかってほしい」、「自分は他人の痛みをわかってあげたい」と思うのは人間として自然な感情だと思いますので、それ自体を否定する必要はないと思います。

ただそれが行き過ぎてしまうと「自分の痛みをわかってくれない相手が悪い」と相手を責めてしまい、「相手の痛みをわからない自分ってダメだ」と自分を責めてしまうことになります。こうなると誰も幸せになりません。

こうなってしまう背景には「他人の痛みはわかるものだ、頑張ってわかってあげるべきだ」という前提が心の中に潜んでいるのかもしれません。

しかし、「女性が出産するときの痛み」を男性がわかるかと問われると、「出産」を体験できない男性が正確に理解するのは不可能です(痛みを疑似体験できる装置はあるみたいですが)。同じように女性の生理の辛さも男性にはわかりません。

現実的には「いくら頑張ってもわからない他人の痛み」というのは存在していますが、それを無理にわかろうとすると自分の中で勝手に「わかったつもり」になってしまう恐れがあります。

実はこれが一番厄介なことで、相手の痛みなどわからないのに勝手にわかったつもりになると、「あなたの痛みってこれぐらい大変だよね」という決めつけになってしまいます。

人は他人から「あなたはこうだ」と決めつけられてしまうと反発したくなりますので、「痛みをわかったつもり」は相手との関係は悪くします。

例えば花粉症じゃない人に「花粉症の辛さはわかるよ~、薬を飲めばいいよ」とか「花粉が多い日は辛いよね~、外出を控えるしかないね~」なんて言われると、「いやいや、薬なんかじゃダメなんです!」、「家の中にいても辛いんだよ!」と言い返したくなります。(もちろんそこは言わずにグッと耐えますが)

むしろ素直に「ごめん、花粉症の辛さは全くわからん、何でそんなに苦しいのか理解できない」と言ってもらった方が、たとえ相手が一切配慮してくれなくても「この人にはわからないから仕方ない」と受け止められるのかもしれません。

他人の痛みがわからないことで自分の行動が相手を不快にすることもありますが、自分が経験したことがない、もしくは経験できない他人の痛みや辛さは素直に「わからない」と認め、相手にも「申し訳ないけどわからない」と正直に伝えた方が人間関係はうまくいくのではないかと思います。

自分にとっては何でもないことが他人にとっては物凄い苦痛であることもあれば、逆のケースもあります。そこは無理に理解しようとするよりも「自分にはわからない痛みがある」と思ったほうが、結果的に自分と他人の行動を許せるようになるかもしれません。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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