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これからは「対人力」より「対”変人”力」のほうが重要になるかもしれません

世の中の働いている人のほとんどは何らかの形で「他人」と関わっています。

会社員であれば上司、部下、同僚と一緒に仕事を進める必要があり、自営業であってもお客様や取引先とコミュケーションを取る必要があるため、一定の「対人力」が求められます。

私どものような研修会社でも社会人向けに「対人力」を身につける様々な研修プログラムを提供しておりますが、実際に研修の場で受講者の方にお話を伺うと「対人力」を身につけただけでは対応できない問題に悩んでいることがわかりました。

※「対人力」を身につけるプログラムの一例
・コミュニケーション
・ネゴシエーション(スキル)
・トレーニング
・コーチング
・リーダーシップ

これが何かというと、一般的なセオリーが当てはまらない「変わった人」が問題を引き起こしているというケースです。

例えばコミュケーションの基本は「話す(発信)」と「聴く(受信)」ですが、前提として「相手が自分の言葉に対して何らかの反応をしてくれる」必要があります。

ところが世の中にはごくまれにこちらの話に対して全く無反応の人がいます。

別にわざと無視しているわけでもなく、ただ「反応がない」というだけで、話を聞いていないと思ったら案外聞いていたりするということもあります。

ただ反応がないため、話すほうは自分の話が伝わっているのかどうか判断できず、途方に暮れてしまうというわけです。

研修の場で「職場に困った人はいませんか?」と尋ねると出てくるのがこのような「コミュケーションがまともに取れない人」の悩みです。

このような悩みに対して、研修で学ぶ対人力のセオリーは残念ながらほとんどお役に立てられません。

テキストにある学びのポイントを伝えても、「いや、それはもう何度も試しました。でもダメでした・・・」と返されるだけです。

さて、このような「やっかいな人の問題」に対してなぜ既存の「対人力」が役に立たないのか?

それは「対人力」の「人」が「標準的な人間」を前提にしていることが根底にあるのではないかと考えています。

というのも世の中の「セオリー」は人間の平均値から導き出されたものであるため、平均値から遠く離れたいわゆる「外れ値」の人間は「想定外」の存在になってしまいます。

そのため、コミュニケーションスキルでもネゴシエーションスキルでも、想定している相手は「多少個性的なところはあっても、最低限の話は通じる人間」であり、「何を話しても無反応な人」は想定外というわけです。

ところが、現場で問題を引き起こしているのは大抵「標準的な人」の範囲から大きく外れた「変わった人」だったりします。

これは決して「変わった人」が悪い、ということではありません。

あくまで両者の違いがあまりにも大きすぎて互いにわかり合うのがほぼ不可能というのがこの問題の本質だと考えています。

これからは「多様性」が尊重される時代になり、昔のように「変わった人」は組織から排除するわけにはいかなくなりました。

相手がいくら「変わった人」であっても一緒に仕事をしていくことが求められるので、「対人力」ならぬ「対”変人”力」が必要になるわけです。

ところで、この「対”変人”力」とは具体的に何か気になるところですが、如何せん相手は「オンリーワンの存在」であるため、残念ながら「変わった人」全体に当てはまる「共通のセオリー」はありません。

「個別対応」が大前提になるため、様々な接し方を試す中で「その人に合った接し方」を見つけるしかないと思います。

そういう意味で「対”変人”力」とは「自分の常識で決めつけない姿勢」「接し方の”引き出し”の多さ」がポイントではないかと考えています。


最後に余談ですが、従来の「対人力」は役に立たないかというとそんなこともありません。

というのも、「標準的な人」と「標準的な人」は普通にコミュニケーションが取れますが、「変わった人」が「標準的な人」とコミュニケーションを取ろうとするとうまくいきません。

実は私自身が「変わった人」の部類に入るのですが、学生時代は他人とのコミュニケーションにかなり苦労しました。(よく空気読めない人、一言多い人、と言われていました)

社会人になって「対人力」を身につけたことでようやく他人とのコミュニケーションができるようになったのです。

ということで、「標準的な人」には「対”変人”力」が必要になりますが、逆に「変わった人」こそ王道の「対人力」を身につけたほうが良いかもしれません。
(どうやって身につけさせるかは工夫の余地がありますが)


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