僕は今日、二十年来の親友を亡くした。交通事故で、即死だった。 午前11時ごろ、彼の母親から電話がかかってきたときは、彼の最近の過ごし方を教えて欲しいのだろうと、…
夢を見ていた。 仄暗く広い、冷房のよく効いた空間。左手に、銀色の光の群れ。「お魚、綺麗だね!」誰かの声がする。ここはーそう、水族館だ。私にはそれがはっきりと…
私ー東浪華は、実に醜い人間だ。 負けず嫌いで、傲慢で、そのくせ弱虫で。同級生たちとうわべは仲良く付き合っているふうでも、内心見下していたりして。そんなだから…
西見伶
2024年3月11日 19:17
僕は今日、二十年来の親友を亡くした。交通事故で、即死だった。 午前11時ごろ、彼の母親から電話がかかってきたときは、彼の最近の過ごし方を教えて欲しいのだろうと、呑気なことを考えていた。 泣きながら訃報を告げられて、僕はただただ立ち尽くすばかりだった。 僕たちは、生まれる前から一緒だったのだ。母親どうしもまた親友であり、僕の半年後に彼が生まれてからというもの、小・中・高と連れ添ってきた仲だった
2024年2月27日 20:10
夢を見ていた。 仄暗く広い、冷房のよく効いた空間。左手に、銀色の光の群れ。「お魚、綺麗だね!」誰かの声がする。ここはーそう、水族館だ。私にはそれがはっきりと分かる。私は誰かと手を繋いでいる。誰かが言う。「浪華、こっちこっち!」左手を引っ張られる。手を繋いだまま走り出す。「走ったら危ないよ!」これはーそう、母の声。私たちは、笑っていた。 一転して、今度は明るい場所を歩いている。真夏の太陽が眩し
2024年2月22日 22:48
私ー東浪華は、実に醜い人間だ。 負けず嫌いで、傲慢で、そのくせ弱虫で。同級生たちとうわべは仲良く付き合っているふうでも、内心見下していたりして。そんなだから、相手との距離を一歩詰めることが怖くて、親友と呼べる友人は一人を除いてできた試しがない。 私は、毎朝鏡の前に立って、自分の顔を見ただけでも、嫌でたまらなくなる。 顔立ちは男受けする造りだし、見かけに気を遣っているだけあって、言っちゃなん