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面倒くさがりはつらいよ

Facebookがつまらなくなったのはいつからだろう。学生時代に留学していたこともあり、海外の友人と繋がるためのツールとして、全盛期だったmixiから飛び出してサインアップしたのが2009年頃。それから数年で、国内の友人もメインのSNSはFacebookになり、仕事もプライベートも連絡ツールはすべてメッセンジャーに移る。携帯キャリアのメールアドレスは不要になった。ここ数年で親しくなった友人に至っては、LINEもメールも知らないけれど、メッセンジャーで毎日のようにやり取りをするということも多い。

自分の名前で仕事をしてきた私にとって、基本的にプライベートにもビジネスにも垣根はない。交流会で一度だけ会って名刺交換した人や登壇したイベントに足を運んでくれた人、知り合い経由で2、3度メッセージを交わした人など「別に拒否する理由もないし」とノールックで友人追加しまくった結果、当たり前だがFacebookは「あれ、この人誰だっけ?」レベルの知り合いたちの個人的ニュースが行き交う場所になった。タイムラインに蔓延するエアポートなんて、かわいいかわいい。

そんなわけで、仕事の都合で毎日Facebookは開くものの、友人たちのタイムラインをじっくりスクロールすることはほとんどなくなった。顔と名前が一致しない人たちの個人的ニュースよりも、Twitterでフォローしている刺激的な見知らぬ人たちの140文字のつぶやきの方がよほど興味がある。Facebookはいつしか自分の心地よい空間ではなくなっていた。

さて、どうしよう。
関係値の薄い知り合いたちの投稿を静かにミュートにする日々が続いたが、自分のリアルな友好関係に戻すのにそれでは全く追いつかない。Facebookのアルゴリズムに乗って興味のない投稿は毎日規則正しく目に入り、ミュートする時間さえも無駄に思えた。友人リストを削除して整理しようか?なんて思うものの、どこからどこまでがつながるべき友人なのか明確な判断基準もなくて余計に面倒くさく感じた。新たにアカウント作ろうか? とも思ったけれど、それはそれでまた面倒くさい。

…とここまで考えて、結局自分にとって居心地の悪い空間を作り出したのは、すべて自分の「面倒くさがり」が原因だったのだと気付く!(遅)

友達に追加すべきか否かジャッジする面倒くささ、リクエストを拒否する面倒くささ、削除する面倒くささ、薄い関係をつづける面倒くささ。B型山羊座の女は、面倒くさがりな上に「自分の世界」みたいなものにやたらこだわる。

Facebookだけではない。数年前から、とにかくDMが届き続けるメールアカウントがある。メールがたまり続けるのは嫌だし、重要な情報が(ほんの時折)混ざっていることもあるのでなんやかんや週に一度はメールボックスを開き、ポチポチとDMを削除しているのだ。自分の誕生日にいつものようにこの作業をしていて、ふとこの状況に嫌気がさした。

重い腰を上げて「ゴミ箱」フォルダにたまったDMを一つずつ開き、配信停止作業をちまちまと行った。それはもう面倒くさかった。メールアドレスを入力して”メルマガ停止”ボタンを押せば良いものは親切な方で、ほとんどの場合は一度DMを配信しているサービスにログインし、マイページから通知解除などの設定を行う必要がある。しかしアカウントを作ったかどうかさえ怪しいサービスにスムーズにログインできるはずもなく、改めてパスワードを再発行、やっとの思いでログインをして通知解除のページを探す(これまたすぐには見つからない)。”配信するDMは少なくとも1つ選んでください” なんてエラーが出るサービスには狂気を感じ、容赦なくアカウントを削除した。大学入学のタイミングでカーテンを買ったきりのオンラインショップのDMがまだ届き続けているのに気がついたときにはさすがに自分に嫌気がさした。作業しているとあっという間に1時間以上経っていた。

そうしてあらゆるDMの配信を解除した翌日、また何食わぬ顔で同じ配信元のDMが届いている。腹が立ってページを開くと「解除されるまでに10日ほどかかります」と小さく書いてあるのを見つけ、メルマガ担当は10日間なにしとんねん!と心の中で関西弁が炸裂した。

もっと早くできたはずなのに、なんでやらなかったのか。

解除するのに一時間以上かかったと書いたけれど、DMを削除する日々は少なくとも5年以上は続いていた気がする。面倒くさがりが災いして、自分の心地悪い空間と、さらなる面倒な習慣をつくっていたのだ。

10日後には私のメールボックスも多少はスッキリしていることを心から願う。Facebookに関しては…… もう開かないことにする。

31歳の私はメール通知や配信停止の文字にしっかりと目を光らせ、ぬかりなく、チェックボックスからチェックを外すのだ。それが自分の心地よい空間を作ってくれると信じて。

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