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子供ができれば自由がなくなると思い込んでいた日々のこと| 『FAMILY TAIWAN TRIP #子連れ台湾』 出版によせて

ようやくこの日が来た!
初めての自著となる『FAMILY TAIWAN TRIP #子連れ台湾』の出版。一年以上かけて魂込めて作り上げてきた本が全国の書店に並ぶなんて、想像しただけで背筋がピッとなる。

本の内容や見どころはプレスリリースやAmazonの内容紹介などでまとめてきたけれど、noteに残しておきたいのはもっと内側のこと。その企画を立ち上げたときの裏話や初めての校了を終えた震える喜びについては過去のnoteにも書いていたけれど、そもそも私がどうして #子連れ台湾 の本を出したいと思ったのか。

それはこの本の「はじめに」で書きたかったけれど、文字数の(そしてあまりに赤裸々に書くのもどうかと躊躇した)関係で書けなかったことだ。

2016年の秋。自分の妊娠が分かったとき、嬉しさの次に来たのは「どうしよう」という気持ちだった。「どうしよう」のあとに来るのは「もうこれまでみたいに台湾に行けない」だ。いつか子供ができたらとは思っていたけれど、その頃の私は会社から華々しく独立して夢だった台湾情報メディア(Howto Taiwan)を立ち上げた直後。気合も十分に、さあこれからは毎月台湾取材に行けるぞー!と意気込んでいた。(もともとそんなに妊娠しやすい身体ではないと思っていたので)メディアの立ち上げとほぼ同時期に分かった妊娠に正直ちょっと戸惑い、実家の家族にそのことを伝えるよりも先に、運営メンバーに報告した。これからは今ほど自由に活動できなくなるかも、と。

「子供が生まれたら自由がなくなる」と強く強く信じ込んでいた私は、妊娠が分かってからというもの、まるで最後の抵抗のように何度も台湾へ行っていた。「つわりが落ち着いたから大丈夫!」「まだ行ける!」「これが最後!」「次こそが最後!」… と、自分にも周りにも言い聞かせ、出産予定日の前のカレンダーを台湾旅行で埋めた。飛行機、海外滞在、大きな荷物、時間と身体をめいっぱい使う台湾旅行や取材はリスクもある。だけどそうせずにはいられなかった。妊娠8ヵ月で台湾の最南端を一人旅していたときは、さすがに周りからも妊婦と分かるお腹の大きさだったので見知らぬ台湾人にも「旦那さんナシで来たの?そのお腹で!?」と驚かれた。ホテルの予約時に妊娠中だと伝えていたので、てっきりハネムーンだと思い込んだオーナーさんが部屋をタオルの白鳥と薔薇の花びらで飾り、ノンアルコールのシャンパンを用意してくれていたこともあった。そして今だから言えるけど(家族も知らない)、タクシーがどうしてもつかまらなくてそこらへんを走っていたバイクのお兄ちゃんに声をかけて大きなお腹で二人乗りさせてもらったことも。本当にもう、今思えば危なっかしくてお話にならない。もちろん妊婦の一人旅は旦那も反対していたが、基本的に自分がやりたいと思ったことはなんとしてでもやりたい性格なので「生まれたらもうどこにも行けないのに!」「行かなきゃ絶対後悔する」の一点張りで押し切った… 記憶がある。

それから2ヵ月後、そんな危なっかしい私のお腹の中で無事に成長したパワフルな息子が誕生する。ふにゃふにゃの顔を見ながら「ああ、一緒に台湾の最南端に行ったねえ(知らないお兄ちゃんのバイクに乗せてもらったね)」と二人の秘密をさっそく心の中で共有したりした。

そして、息子が5ヵ月を迎えた頃に「家族で台湾旅行へ行こう」という話が持ち上がる。旦那のお母さんも前々から行きたいと話していたこともあり、大人3人+息子1人の万全の体制。初台湾の旦那とお義母さんに台湾を好きになってもらわなければ!という重大ミッションも抱えていたのでヒリヒリしたけれど、そんな中、コロコロとした息子は現地で出会ったたくさんの台湾人たちに抱っこしてもらったり、声を掛けられたり、見知らぬ景色に目をキラキラさせていた。そして私も母親目線で台湾を旅して、そこで初めて台湾が子供たちにとって天国のような場所だと感じたのだ。日本にはない面白い景色、子供や母親に温かい台湾の人々、町中にいくつもある遊具付きの公園、駅の構内にかなりの確率で設置されている授乳室、夜市のゲーム屋台に夢中になる子供たちの姿。日本語が通じる病院もあるのでいざと言うときも安心だし、フレッシュな果物を使ったジュースがあちこちに売られていたり、子供たちが大好きな小籠包や麺が安く手軽に食べられたり、どこを切り取っても楽しい。何より時差も一時間、日本から約3時間半と近くて過ごしやすいのも良い。

妊婦時代に「子供が産まれたら台湾旅行はおあずけ」と思っていた私は、実際に子連れで台湾へ行ってみて初めて「子連れでも台湾行けるやん!」ということに気がつく。というか「一人で行くよりずっと楽しいやん!」と。子供がいることで話しかけてくれる人が必然的に増えるので、お店の人などを始め、現地の人との交流がめちゃくちゃ増えるのだ。”子連れ” という新たなレンズで台湾を見ることで、今まで知らなかった台湾の魅力を発見することになった。子供は、私と台湾の距離を遠ざける存在ではなく、これまでよりもっと近く親密にしてくれる存在だったのだと。そうと分かったなら、ウカウカしている暇はない!このことを皆に伝えなければ!とスイッチが入った。

台湾に限らず、大好きなものがあって、妊娠や出産を機に諦めてきた(もしくは諦めなければいけないと思っている)人はきっと沢山いるはず。そんな人たちに「大丈夫!」と教えてあげたい。冷静に、根拠を持って、大丈夫だと思えるだけの安心材料を集めなければ。心配性な家族を相手にこの一冊を差し出すだけで「台湾旅行の企画プレゼン」を通過できる内容にしなければ。私のお節介心が炸裂した。

そんな想いで、約一年かけてこの本を書き上げた。
本の「はじめに」には本当はこういうことを書きたかったけれど、共感する人ばかりではないだろうと思って自粛した。ママになって長年経つうちに忘れてしまうかもしれない。だけど数年前までは確かに謳歌していた、旅の楽しさ、ワクワク、新たな出会いと五感で味わう刺激的な経験。

この本の一番大事なテーマは「子供と一緒に台湾へいきたいけれどちょっと不安」という人の背中を押すことなんだけど、もう一つ、大切にしたかったテーマがある。それは数年前の私と同じく「子供が生まれたら自由がなくなる」と思っている人に「そんなことないよ」と伝えること。これまでの自由とはもちろん少し違うけれど、もしかしたらそれ以上に面白い出会いや発見があるかもしれない、と本を通じて伝えること。自分の趣味や楽しみと出産との間でモヤモヤを抱えている人の心を少しだけすっきりさせられたら、それ以上に嬉しいことはないなと思う。この本の出版にあたって情報や写真提供に協力してくれた先輩ママたちは、きっとみんな同じ気持ちだったのかもしれないな。

長々と書いてしまったけれど、最後に。
色々な想いを込めまくったこの本の「はじめに」を全文公開しようと思う。本を出版する人の「 #note全文公開 」に昔からちょっと憧れていたからというミーハーな気持ちもあるのだけれど、この「はじめに」を読んで、たった一人でも読者の人が増えれば素直にとても嬉しい。

“子供と一緒に出会う、あたらしい台湾。“

おいしくて、あたたかくて、楽しくて。
台湾が大好きで、その魅力をたくさんの人に知ってほしくてメディアまで立ち上げてしまった私が、妊娠して母になった。そうして初めて子連れで行った台湾は、これまでの旅とはちょっぴり違う景色の連続でした。

子供が喜ぶグルメに、搾りたてのフルーツドリンク、公園で見かける野生のリス、眠らない夜市のゲーム屋台。そしてのびのびと楽しむ子と親を、あたたかく親切に迎えてくれる台湾の人々。地下鉄の親子優先車両や、子供を遊ばせながらゆっくり食事ができる ”親子レストラン” の存在を知ったときは感動ものでした。台湾がこんなにキッズフレンドリーだったなんて、どうして誰も教えてくれなかったの!?と。

この本は「子連れで台湾へ行ってみたいけれど、ちょっと不安」というママさん・パパさんの背中を押すための一冊。レストランのキッズチェアや授乳室の有無、子連れだからこそ楽しめるスポットや旅のコツなど、私自身が旅行前に「こういう情報が知りたかった!」と思っていたことをありったけ詰め込みました。

あっという間に成長してしまう子供たちと長く楽しんでもらえるように、幅広い年齢のお子さんをもつ台湾好きママさんたちのおすすめ情報も載せています。なかには、子連れで海外旅行というと少しハードルが高いけれど、台湾なら大丈夫かも?と思わせてくれる体験談もたくさん。

さあ、子供の手を取って。
スーツケースの中身は変わっても、旅の楽しさは同じ。
お役立ち情報と知恵を携えて、子供たちと台湾の景色に会いに行きましょう!

See you in Taiwan!

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今日もがんばれそう!ありがとー!
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田中 伶

台湾がもっと好きになるウェブメディアHowtoTaiwan(http://howto-taiwan.com )編集長。台湾まわりやIT企業のPR/ライター/翻訳などのお仕事してます。台湾とビジネス書と映画をこよなく愛する一児の母。

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コメント6件

パワフルママ、感心します。あたしも子連れで旅行行ってみたくなりました。もう諦めてたから。というか、材料集めることに面倒くささを感じていたから。
共感!私も娘が6ヶ月の頃から海外に連れてまわっています。もちろん制限はあるし安全についての準備は必要だけれど、まさに子どもをきっかけにたくさんのコミニュケーションが生まれてステキな出会いをたくさん経験しています。ヨーロッパやアメリカなどは時差で大変なので、それがないところも台湾の魅力かもしれませんね!ご著書を連れてあらためて台湾に行きたくなりました!
所で子供って親が育てる事が正しいのだろうか??私は最近の事件ですっかり懐疑的に成りhttps://note.mu/michizane/n/na21aa0ec83b7
と考えています!
このnoteを読んで、本を買って読みました。子連れ台湾、行ってみます!
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