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生活のステージ

日曜日、死ぬほど服を買った。私はアウトレットでないと服を買えない貧乏性なので、日曜日はタガが外れたかのように買い物をした。

私の実家からは車で30分も走ればいけるようなところにアウトレットがある。そして2時間も走ればもう1件アウトレットがある。比較的近距離だし、そもそも私がシーズンに1回程度まとめて買い物ができれば十分なタイプであるので、買い物はいつからか、いつものアウトレットに行くようになった。
しかし、日曜日は初めて多摩南大沢のアウトレットに行った。初めて降りる駅、そもそもアウトレットが駅に近いのは珍しいのではないか。郊外ではあるものの自然の中に商業施設もちゃんとあって、コンセプトのもとで作り上げられた街という感じがする。東京の駅というのは見捨てられた駅がなくて、どんなに小さい駅でも駅を中心に独立した小さな都市が広がっている感じが好きである。

アウトレットに入って、一回少し気になった服を買ってから、すっかり財布の紐が緩んでしまい、あれもこれもと気になったものは買ってしまった。就職してから初めてのアウトレットで以前よりお金があったからか、つい弾んでしまった。今まで私はアウトレットに行くとすごく気に入った服を買うというより、まあ悪くないかなと思う、元々安い上にセールで70%オフの服をとりあえず買ってしまうという傾向があり、だからか服を買ってしばらく経つとなんで私はこんなダサい服しか持ってないんだろう、これからは安売りにつられるのはやめよう、と思うことになる。最近は、元々安い服を買うというより、元が万単位だけど半額以下になっているある程度上質に見える服を買うことが増えたけど、今回の私はテンションが上がっていたのか、結局値下げしてないそこそこ高い服と、元値が安い上に70%オフになっている服を買いあさってしまった。後悔するかもしれないけど、今は金があるからまた買い直せばいいか、なんて思ってしまい、私は何者になったのだろう。確かにシーズンごとに服を買い換えるおしゃれな人もいるから私の行動は間違ってるわけじゃないんだけど、元々貧乏性なのに私は何をやっているんだろう、なんて思ってしまった。ま、今はまだハイになってて、家に戻ったら一通り鏡の前で着て一人ファッションショーをやろうなんて思ってるわけだけど。

生活のステージが変わり、自分の行動も変わってくることは当然のはずなのに、どこか寂しさが残ってしまう。もうアウトレットといえば都内のアウトレットになってしまうのかなとか、そもそもアウトレットに行く機会もこの先減っちゃうのかなとか。日曜はアウトレットに行った後実家に帰っていて、今日は写真を載せた海鮮丼を家族と食べたり色々喋ったりして、今は実家から都内の一人暮らしの家に戻るところだけど、そもそも真っ暗闇の中東京行きの電車に行くということにも何か引っかかりを感じてしまう。夜の電車というのは東京から家に帰る電車であり、家から東京に行く電車というのは明るかったはずなのに。暗い中東京に行ったのは、中学生のときに都内にある塾の模試を受けるために、始発に近い電車に乗って池袋に向かったときの白い息と緊張感、その後合格できた都内の高校に向かうときの夜明け前の冬の朝。そういう情景が思い浮かび、少し気が張り詰める。真っ暗な中で実家を出るときはいつも、自分はここを出なければならないのだという思いがある。いつでも帰れる、なんならここから都心まで通う人だって多いような地元だけど、ここにはもう自分の住民票もなくて、本来長居すべき場所ではないのだと思うと、胸がきゅっと締め付けられる。

#日記 #エッセイ #ショッピング #アウトレット #一人暮らし #帰省 #東京

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