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イワシの香草オーブン焼き インド産ソーヴィニョン・ブランのハーブ香

最近定番のオーブン焼き。イワシをバットに載せて見えなくなるまでパン粉を振り、半分にはさらに香草(ディル)を散らしてオーブン焼きに。オリーブオイルをさらっとかけると中までしっかりと火が通りやすい。付け合わせのお野菜はアスパラガス、キャベツ、レンコン、シメジ。表面のパン粉がこんがりと焼き上がったら取り出し、熱々をいただく。そして白ワインで熱を癒す。

ちなみに国内に流通しているイワシとその旬の時期は、マイワシ: 5~10月、ほぼ旬を重ねるようにカタクチイワシ6~10月、そしてマイワシとカタクチイワシの旬の間を縫ってウルメイワシ: 10~2月。ということで何らかのイワシにより一年中が旬でカバーされている。3、4月を除いて。このオーブン焼きは2月末だったのでウルメイワシだろうか。

セラーを覗き、香草のハーブ感につなげようと、ソーヴィニョン・ブラン品種のものを探す。あったあった、インド産のもの(一般的な愛好家のセラーにインド産ワインはないですよねw)。常夏のイメージが先行するインドではあるが、国土の西側、海岸沿いを走る西ガーツ山脈沿いは標高が高く(全長1,600kmにわたって標高1,000〜2,700m級の山々が連なる)、比較的涼しい地域もある。今回のワインはインドの最大手ワイナリー、スーラのもの。太陽に髭マークのこのワインが造られるナシックもそうした比較的冷涼な環境。ちなみにインドではシュナン・ブラン品種が圧倒的に多く栽培されていて、それに続くのがソーヴィニョン・ブラン。シャルドネ、ヴィオニエなども栽培される。黒ブドウは圧倒的にシラーズ(インドではシラーではなく、オーストラリア式にシラーズと呼称される)。それに続くのがカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー。ピノ・ノワール単一品種のものはほとんど見かけない。

過去には、同じスーラ社のワインをスパイス豊かなカレーに合わせていた。

スーラのシュナン・ブラン品種のもの。

スーラのシラーズ品種のもの。

インド産ソーヴィニョン・ブランに加えて、リスクヘッジにシーフードとの安定感抜群、サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種も合わせる。実食の結果、インドのソーヴィニョン・ブランと香草との繋がりは期待通り。が、イワシの脂との繋がりはサルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種が勝る。

さて、イワシの香草オーブン焼きとそれぞれのワインの相性について。


スーラ・ヴィンヤーズ ソーヴィニヨン・ブラン, インド, ナシック, 2022, 12.5% 1,828円
Sula Vineyards, Sauvignon Blanc, Nashik, India, 2022

香りにはライムの柑橘香、明瞭にグリーンペッパー、青いトマト、ハーブ。渋く酸のある柑橘果皮。刈りたての芝(ゴルフ場)が鮮烈に、干しわらも。微かに白胡椒のスパイス。
味わいには期待していた南国果実味はなく、少し緊張感を残す心地よい酸味とやや明瞭なビターネス。意図的にかなり収穫を早めて柑橘香、酸味を強く押し出したよう。

イワシの香草オーブン焼きに。ディルの爽やかな香りにワインの鮮烈な芝、ハーブ香が安定感抜群の繋がり。期待通り。一方、イワシのクライマックス、熱々の脂に、ワインのグリーンなノートは重なりを見せない。相性: ★★★☆☆


パーラ, ソプラソーレ, ヴェルメンティーノ, イタリア, サルディーニャ, 2021, 13.5%, 2,376円
Pala, Soprasole, Vermentino di Sardegna DOC

1950年創業。1990年に全てのブドウ樹をサルデーニャの地ブドウ品種に植え替え。このワインには標高150~180mに位置する畑から、樹齢平均35年のブドウを使用。ステンレスタンク発酵。
香りにはフレッシュな青リンゴ、グレープフルーツに微かにライチと白桃、セルフィーユのハーブ香やフラワー香。海岸の潮風や貝殻の香り。フレッシュで軽快ながら個性が凝縮。
味わいには瑞々しくもグリップのある果実味が伸びやか。こぎみよい酸味と塩味、中盤からほろ苦さ。余韻はフレッシュで爽やかながらヴェルメンティーノ品種の楽しみが凝縮。

イワシの香草オーブン焼きに。ワインのハーブ香がディルの爽やかな香りに、そしてワインの潮香はイワシのジューシーな脂に絶妙に調和。口内でパン粉の香ばしさを纏ったイワシの旨味が遊泳。五つ星をつけるか迷うほどの相性の良さ。相性: ★★★★☆

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