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ホッケと鯖のオーブン焼き お魚のジューシーな脂を包む樽発酵の甲州ブドウの滋味

最近の定番になりつつあるオーブン焼き。直近ではメカジキの香草オーブン焼き。

今回はホッケと鯖。ホッケは輸入もの。身がおおぶりで柔らか、脂が豊かに広がる。キュッとひきしまって味の濃い北海道産のものも好きで、気分によって食べ分けている。ニンジン、じゃがいも、レンコン、タマネギ、しめじをパラパラとバットに広げて彩り豊かに。

手前がホッケ、奥の上と右の白い身が鯖

合わせたのは日本ワイン2種。いずれも甲州品種で造られたもの。焼き魚には日本のブドウで造られたワインが間違いなかろう。一つは京都の丹波ワイン、もう一つは山梨県笛吹市のルミエールのもの。特に樽発酵による深みとブドウの滋味豊かな山梨のものがホッケのジューシーな脂、鯖の豊かなフレーバーに心地よく調和した。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。


丹波ワイン, てぐみワイン, 京都, 11%, 2,200円

京都の食文化の一端を担うワイン造りをミッションに掲げ、丹波で京都の食文化に根ざしたワインを造る丹波ワイン。1979年創業。大手電機メーカーの協力企業のクロイ電機が新しい事業として参入。
このワインは、”打倒!とりあえずビール”がコンセプトで最初の乾杯から楽しめるワインを目指す。山梨県産甲州を酸化防止剤無添加で醸造。
外観は白濁した肌色。キャップを回すと泡が勢いよく飛び出す。泡の元気はビール超え。
香りには白桃のシロップ漬け、白ブドウのエキス、ジンジャー。酵母の香り強く、ビスケットのニュアンス。微かに小豆も。
味わいはジューシーな果実味に穏やかな酸味、柔らかいチャーミングな甘味が広がる。余韻のほろ苦さが心地よくワインを締める。

ホッケのオーブン焼きにワインを合わせる。ワインの柔らかい甘さを含むフレッシュな果実味と少し荒々しさのある泡の刺激に、ほっけの柔らかい身の奥のジューシーな脂は負けてしまう。風味ボリュームは北海道産のものが釣り合いそう。相性: ★★★☆☆

鯖のオーブン焼きに。鮭の塩気と少しワイルドな磯の香りと脂が、ワインのフレッシュな果実味とやや反発してしまった。わずかに少し生臭みが立ちあがる。相性: ★★☆☆☆☆


シャトー・ルミエール, 光, 甲州 山梨, 2020, 3,658円

1885年創業。山梨県笛吹市一宮町南野呂。自社農園で栽培した甲州種を樽発酵した後、20ヵ月の樽熟成で仕上げる。
力強く濃い色調。香りには枇杷、大ぶりの和梨、カボスに微かに柚子、果皮のフェノールの複雑な香り、カモミールティーのほんのりスパイス香。
味わいにはジューシーで滋味溢れる染み込む果実味。ほろ苦さはゆるゆる続き、甲州品種とは思えないほどの非常に長くまったりとした余韻。甲州の魅力を引き出し尽くした名品。

ホッケのオーブン焼きに。柔らかくほぐれるほっけの身の奥のジューシーながら軽快な口当たりの脂を、樽発酵のワインのふくよかさと複雑なフレーバーが包む。相性: ★★★★☆

鯖のオーブン焼きに。鯖の身の力強いフレーバーに、ワインの樽発酵による力強いフレーバーが重なる。ただ、鯖の塩気とワイルドな磯の香りを含む脂には反発もあり、わずかながら生臭さが立ち上がる。相性: ★★★☆☆

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