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鮭の塩焼き 鳥取北条ワインの滋味豊かな果実味とよく馴染んだ樽香

山陰の温泉旅館で蟹づくしコースに合わせたのは鳥取県中部の北条ワインの甲州品種。

以前、北条ワインのスパークリングワインをスシローの寿司に合わせていた。煮あさり軍艦との相性が非常に良かった。

列車で移動中にかに寿司を食べながら、もう少し鳥取のワインを試してみよう、と考えつく。
かに寿司はビールで頂いたが、ワインならば南仏のフラワリーなものを蟹のフレーバーに合わせたいなどとも考えているとあっという間に目的地に。

列車を降りて駅近くの酒屋さんで北条ワインの砂丘白(シャルドネ品種)、兎っ兎(とっと)ワイン シャルドネを購入した。この2本を夕食のサーモンとブリの刺身、鮭の塩焼に合わせる。

とっとワイン, シャルドネ, 3,630円

2007年創業。鳥取県鳥取市国府町のワイナリー。
シャルドネに加え、白ブドウはヤマブラン、モンドブリエ(シャルドネとカユガホワイトの交配品種)、アルバリーニョ、サンセミヨン、甲斐ブラン、黒ブドウはヤマソービニオン、シラー、グルナッシュ、メルロ、甲斐ノワールと幅広い品種を地元で栽培している。
香りには青リンゴの香りを微かに、白い花のフレーバーも。樽香はなくフレッシュで非常に軽い香り。
風味の果実味に凝縮感はほとんどなく非常に軽快で爽やか。樹齢の非常に若いブドウによるものと想像される。クリーンな果実味は魅力あり、樹齢が高まる今後の発展に期待したい。
サーモンの刺身に合わせる。ワインの軽快な果実味は料理を邪魔しないが組み合わせて高めるにも至らず。相性: ★★★☆☆
ブリの刺身に。ワインの軽快な果実味はブリの脂に押され、微かに生臭みが立ちあがってしまった。相性: ★★☆☆☆
鮭の塩焼に。サーモンの刺身との組み合わせ同様、ワインの軽快な果実味は料理を邪魔しないが組み合わせて高めるにも至らず。相性: ★★★☆☆

北条ワイン, 砂丘 白, 3,300円

1944年創業の老舗。軍需品の酒石酸製造工場として創業。ワイン造りの過程で出来る副産物、酒石酸の結晶体を醸造するため。
日本海沿いの北条砂丘は古くから砂丘農業が盛んで、葡萄、長芋、西瓜など多くの農作物が栽培される。葡萄栽培の歴史は江戸時代末期までさかのぼる。砂丘地のため水はけが良く、強い照り返し、また昼夜の温度差が大きいため、良質な葡萄を栽培するには最適。
シャルドネ品種で造られるワイン。
香りにはリンゴのコンポート、リンゴジャムなど非常に濃密な果実味に強めの、ただしっかりと馴染んだ樽香が絡みまったりとしたフレーバー。
風味には凝縮感の強い野太い無骨な果実味、穏やかながら的確に存在する酸味、熟成感も入り交じり滋味や旨味が広がり非常に力強く長い余韻。
サーモンの刺身に合わせる。ワインの強めの果実味、樽香が生魚に反発するかと思いきや、ワインの滋味が包容力を示す。相性: ★★★☆☆
ブリの刺身に。サーモン以上に手ごわい相手。個性的な脂と血合いはワインと喧嘩しやすいが、こちらもワインの滋味がしっかりと包容力を示した。★★★☆☆
鮭の塩焼に。塩焼きの塩味と焦げ目の香ばしさに、ワインの滋味溢れる果実味と樽香が絶妙に調和。相性: ★★★★☆

老舗の北条ワインの安定感は刺身に合わせてもゆるぎなく、新興の兎っ兎ワインも刺身との相性はさておき、ワインとして将来性を十分に感じさせる一本だった。

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