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わたしがドトールに通う理由

毎日近所のドトールに通っている。
最初は心を壊してしまって、一日一回、外出を医師から勧められたため、リハビリとして通っていた。
チェーン店のドトールは誰もわたしを気にしない絶好の隠れ家だった。
本を一冊持って、同じ時間帯にいつもの席に座ってコーヒーを飲む。
だいたい1時間くらいそこで本を読んだり、ネットを見たり、ボーっとしたりしている。

ドトールには色んな人がいる。
わたしみたいに同じ時間に来て、仕事をする人。
年配の仲良しグループ。一生懸命お客様相手に保険の説明をする人。モーニングを食べてすぐに帰る人。

みんながそれぞれの時間をコーヒーや紅茶と共に過ごす。
それぞれの人生がありながら、今は同じ時間を共有する。
最初は気にもとめてなかったのだが、だんだん感慨深くなってきた。
わたしにはわたしの事情があり、ここに通っているけど、みんなも色んな事情があり、ここにいるんだな。そして家族がいたりいなかったり、誰かが待っていたりいなかったり。

目の前の一杯の飲み物に癒され、ひとときこの時間を楽しむ。
こうゆう場所って必要だよな。決して広くはない普通のお店だけど。
止まり木みたいに羽を休める場所。
そんな時間を共有するためにわたしは通っているのかもしれない。みんな違う。みんな同じ。そんな事を感じるために。

もう心は回復したので通う必要はなくなったのだけど、毎日通わないと気持ちが済まなくなってしまった。
夫に、また行くの?何か意味があるの?って聞かれるけど、何と言っていいのかわからない。
意味はない。
行く必要もない。

でも今日もわたしはいつものドトールに行く。
自分は一人だけど一人じゃないと感じるために。



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