夢に狂えば New Album ”AUTO-MOD”に寄せて

最近、起こってる事を自分の母親と話したら。

「あんたのお父さん、確かに得体のしれない事をブツブツブツブツ、一晩中喋ってた。もう、それで一晩中寝かせてもらえないとかあって、辟易した事がある。」

ええ、分かってたんですよ。オヤジ眠れないのか知らんけど、夜中3時に1人で・・・

延々と酒飲んでるんだけど、それでも眠気が来ないのか、深夜のテレビ見ながら、ひたすら酒飲んでて。 近寄ろうものなら、捕まって、延々と話を始める。そのうち怒りだすので手が付けられなくなる。その血を自分が引いてるのは分かってた。大体、その時間に起きてる俺も俺ですからw

ただ一つ、そこで学んだこと。

「自分も何か、この壮絶に暴走する感情を発露する行先は、何がしかの形で持たないと持たん。」

というのと

「酒は、自分のオヤジにも全く役に立たないのだから、自分もどんだけ飲んでも無駄そうだ。」

毎晩3時まで飲んでも、顔色一つ変わってねぇんだもん。しかも、酔っぱらって楽しそうとかじゃなくて、酒飲んで瘴気が漂ってるとかなると、自分が酒飲むという事に警戒感を感じるのは当たり前だろう。

「酒飲まない奴は信用しない」とか言われたって、あんなもん見たら自重するに決まってる。

しかも、酔うに連れて、頭が冴えて口も達者になるから、自分と口論しても、必死に噛みついてくる。まあ、高校の時から、そんなオーバードライブ状態のオヤジさえ論破してやり込めてしまうのだから、泣いて暴れて灰皿が飛んできたのも一度ならず。

さぞかし可愛くないガキだっただろうな、と思う。

ま。

「だってあんたの息子だもん~。しかも俺の方がスペック上~。」

とか分かった上で、それでも相手する時は相手してたんだよ。

でないと、オフクロが、その暴走状態を一身に受け止めなきゃなんないから。 しかし、何があのオヤジをそこまで追い詰めてたのか。苦しめてたのか。一言も言わなかった。

一度、酒でも飲んで、トコトン付き合って話を聞こうと思ってたら、得体の知れない奇病で片足無くすとか。折角、必死になって永の住処と決めた家を、婆様の不始末で焼き払われて。さぞかし、自分の人生はままならぬ、と思いながら逝ったのだろう。

だからこそ、自分はあんたの生き方に学んだのだよ。

「弁護士になりたかった。その夢がかなわなかった。」

その事を散々子供の頃から聞かされたからこそ。自分の夢が叶わない事が、どれだけ人を狂わせ、苦しめるかを学んだのだよな。

そうですか。

では、自分は自分のやりたいことを達成するのに、どんなやり方でも達成するしかないんだろうなぁ。

ま。 さほど、そこまで欲が深くないので。

音楽好きだから、音楽で何かやり続ける事。
それも手段は選ばないw

俺の邪魔をする奴は排除してでも続ける。
でも、別にそれ、そこまで深く悩まなくても簡単にできるしw

楽器持って演奏するだけで、幸せになれるんだから、こんなに安いものはない・・・のだが、バンド音楽が好きになったとなると、実に成功率は低くなりましてなw

「バンドをうまく行かせるには、手段を選ばない」 かつ、穏便なやり方でとなって、もう、ザ・キュアーのロバート・スミスって人が、もう・・・エグすぎてw

別に有名になるとかそういうことじゃなくて、彼の考えは、えらく面白い考えなんだよな。

「十人と一つの事をやるより、一人と十の事をやるほうが、遥かにバンドは面白い」 とか。

要は、あちこちの人とジャズセッションだの、ブルースセッションするよりも、同じメンバーでジャズやブルースをやりたい。

あー、だから、同じバンドがコロコロジャンル変わるんだ、この人! ポストパンクから、ダークサイケ、テクノやってたと思ったら、ジャズっぽいのから、ネオアコから、何でもかんでも混ぜ混ぜしてたのはそういうこと?

オモロイ人だな、この人。

しかも、寧ろ、このバンドのメンバーのほうが、よく、その壮大なワガママに付き合ってるなぁ・・・。 あ、そこジャズっぽくやって、とか、あ、それテクノで処理してとか、あ、それネオアコっぽくとか。

メンバーが、10バンド分のスキルねぇとできねぇことやってるやんけw
こんなの日本で見れねぇw

寧ろ、メンバーの度量の広さと柔軟さがないと。 しかも、そんな奴を5人集めるとか、このバンド半端ねぇw

そりゃ興味も持ちたくなりますよ。中学高校から興味持ったの当たり前だったな、と。 色んなバンド見るより、このバンド見てるだけでお得じゃんかw


でも、自分もこんなことやってみてぇなぁ、と思ったら、日本では壮絶なまでにハードル高いって事に気づくのはさほど時間もかからず・・・

「自分、メタルしか聞きません」
「自分、パンクしか聞きません」
「自分、いきものがかりしか聞きません」

まず、基本、そんな人たちしかおらんのですよw

第二のハードル。

「あー、自分、色んな音楽聞きますよー。」 と言いながら、「そこジャズのニュアンスで!」と言った後で、「次はボサノヴァみたくして!」と言っても。

聞いたことあるけど弾けない!みたいな人が、
次の壁として立ちはだかるw

セッションメンバーでもそこまで器用な人っていないのよね。

もしかして、俺・・・音楽でも壮絶に難易度の高すぎる事を好きになってしまったのでは・・・しかし、あの面白さを知ってしまった以上、今更、元に戻れるはずもない。

ザ・キュアー、あんたは何て罪深い・・・。
今更、元に帰る道がないw
あらあら、いったい、どうしましょうw


私、今回のGenetさんが新メンバーと共にやった事、凄く尊敬してるんだけどね。

だって、自分のやりたいこと、全部一つのバンドに混ぜたんだぜ?

ザ・キュアーが達成しようとしたことを、日本で達成してしまったんだよね。自分のやりたいこと全部詰め込んだ、宝箱みたいなサウンドを。

最初に自分とデモ作り出した時に

「ああ、なるほど。本当に大好きだったサウンドを、全部一つにコレクションしたいんだ。それも一つの箱の中に・・・」

その夢が膨らんで、私の打ち込みだけじゃ物足りなくなって、現在考え得る最強メンバーを揃え、バンド化して。

自分だけの究極の音楽作ったんだ。

そりゃ、毎日が楽しくて楽しくて、その事だけで頭がいっぱいになってしまうほど楽しいだろう。

あれは、音楽を志した人の究極の理想の境地なんだと思う。

その理想の実現のために集まったメンバーも含めて、日本で一番難しい行為に対して、とんでもない偉業を達成したと思って見つめている。

そうやって出来たサウンドを、色んな人は色んな立場から語るだろう。

だって、今までの何にも似ていない、究極合体変形ロボみたいな音楽なんだから。シャンソンとパンクを合体させたような人なんだから、そりゃ何だってありだと思う。

何よりも。

Genetさんという人の究極の音楽上のワガママと、狂おしき見果てぬ夢を、皆で実現しようぜ、って集まった、あのメンバーたちとスタッフたちを動かしてしまった力の正体。

何一つ欠けても、あの音楽は生まれなかったと思うんだよね。

一人が嫌だって言った瞬間に全てバラバラに崩れてしまう。凄いよね。

ザ・キュアーにも匹敵するほどの 「ある一人の人間が夢見た、音楽上の究極の理想」 を、この短期間に実現するのは、私も驚いたんだよな。

あれは、Genetさんの不思議な人徳と、メンバーやスタッフたちのパワーと何一つ欠けても存在しないものなんだもの。

そのドキュメンタリーを身近で見れて良かったよ。


羨ましいですよ。そんなものを目の前で見てるのは。 音楽人としての究極の理想を実現するんだもの。

個人的には、この曲にはこーだ、あーだといろんな思いが交錯するけど、ついつい何回も聞きたくなっちゃうんだよね。

あまりにも色んなものが詰まり過ぎてて。
確認するだけで時間が足りない。

音源を手にして、Genetさんに感想言わなきゃと思ってたんだけど、そりゃこれほどのものに軽々しい感想なんか言えるはず無し。

その日々を何気に横で見ていたからこそ、軽々しいことも、お世辞もいいたくもない。

でも「Ren、お前、これどうだ、スゲェべ!」と言われたら。
余計な事言わずに

「凄いっす」

まあ、ここまで来るのに、大分メンドクセェ回りくどい書き方するのは、私のスタイルなんでご容赦ください。

でも 「スゲェべ!」と言われて「スゲェ!」って感想だしても、一言で終わってしまうのも何だったので。

敢えて、Renらしいな、という感想を書かせて頂きました。

日本の音楽の歴史に、AUTO-MODがあった。
そんな人を囲む人たちの凄さも含めて。 全てに完敗w

その生きざまがしびれてしまう。

俺が何の論評がしたって、全てが嘘になってしまう。
黙って聞いとけ!好きとか嫌いとかでも語りたくない。

音楽を貫いた人に、最上級の敬意と尊敬を。

お世辞抜きで、最高にカッコいいことを目の前で見せて頂いた。
全員がカッコいいもの。

死んだオヤジと、Genet さんから、本当に大事な事を教わった。
夢を諦めて死ぬよりも、見果てぬ夢を見続ければ。

壮大な夢が、叶うかもしんないんだよな。

AUTO-MOD 新譜。 その名を冠して。
ある壮大な夢を叶えた、一人の音楽家の見果てぬ夢の結晶。


Genetさんに 「感想なげーよ!そんなもん、誰も読まねえ!」 と叱られそうだw

でも、私がこんな文章書きたくなるほど、素晴らしかったと言いたい。
遅ればせながら。

本当は、音聞いた後で、ニカって笑って

酒のグラスで乾杯して。

一時間位、黙って、その音を前にして酒飲んで。
がっしり握手して、頷いて、そのまま別れたい。

あまりにも、あまりにも、壮大すぎて。


言葉で飾れば飾る程、嘘になりそうで。


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