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ファッション産業に変革をもたらす“サステナブルファッション”を紐解く

近年話題が絶えないサステナブルファッション。消費者にも徐々に馴染みのあるワードになってきたのではないでしょうか。

PRADAが再生ナイロン繊維の「ECONYL」を使用したバッグを販売したり、H&Mがオレンジやパイナップルからできた再生繊維の服の展示会をしたり、各社もサステナビリティを意識した取り組みが加速している様子です。

そんな中、再生素材を利用したものがサステナブルなのか、サステナブルファッションとは一体なにを示すのかという声も飛び交っているようです。そこで、ファッション産業の課題から解決策について触れながら紐解いてみます。

なぜサステナブルファッションが話題なのか

2000年前後に欧州では、すでにファッション産業が与える環境負荷について懸念されはじめ、サステナビリティを意識するブランドも少しずつ出てきました。そして2015年、国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の認知が高まるとともに、「サステナブル」という言葉も広まったようです。

ファッション産業の課題と「サステナブルファッション」が示すもの

「サステナブル」の認知拡大と同時にファッション産業の課題がより浮彫になりました。そして、産業を持続的に発展させるためにも、環境負荷を軽減する重要性が意識されはじめました。しかし、課題はすでに深刻化しています。

国連貿易開発会議によると、ファッション産業は毎年500万人のニーズを満たすのに十分な水を使用し、約50万トンものマイクロファイバーを海に投棄しています。また、エレンマッカーサー財団の統計によると、年間に世界全体で排出される二酸化炭素の10%はファッション産業によるもので、2030年までには50%まで増加すると予測されています。

これらの課題を、それぞれ多角的に解決していくことが必要です。焼却される服の廃棄の削減、生産に使用する水量や水質汚染の軽減、農薬使用による土壌汚染の抑制など、解決策は多岐に渡ります。こうして生産から廃棄までの過程で、環境負荷を軽減しながら流通される服を「サステナブルファッション」というのではないでしょうか。

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ファッションをサステナブルにするために

では、サステナビリティに配慮したファッションには、どのようなものがあるのか紹介していきます。廃棄を削減し服の流通を循環させていくアプローチから、生産過程から資源枯渇の抑制または水質汚染を軽減するなどの手段があります。

リセール
廃棄される服の余剰在庫を、値段を下げるなどして再度販売するリセール(二次流通)。市場に循環しつづけることで、廃棄を削減し環境負荷の軽減に繋がっています。また、このような二次流通のサービスが国内外でも普及しはじめています。

リメイク
消費者が廃棄しようとする服や古着などを活用し、新しくデザインを施すリメイクもサステナブルな方法です。長期的に着用できるようにすることで廃棄を減らすことができるからです。

アップサイクル
服の生地に限らず、廃棄となるテントやパラシュートの生地など異素材のものを利用して新たな服を作る手法です。サステナビリティを意識したデザイナーの間でも、アップサイクルを取り入れた服づくりが注目されているようです。

ファッションレンタル
服を頻繁に消耗するのではなく、借りて共有することで廃棄削減に繋がります。海外でのレンタル市場も拡大しており、服の消費の仕方がよりサステナブルな方向へ変化していくことに期待できそうです。

自然染色
化学物質ではなく植物性の染料を使用することで、水質汚染を抑制することができます。こうして環境に配慮した生産方法でつくられた服も、サステナブルなファッションの一つです。

再生素材の利用
プラスチックや植物性食品からの再生素材を利用し生産することで、資源の枯渇を抑制しています。最近ではコットンもリサイクルされたものを用いるなど、生産過程でも持続可能な方法が思考されているようです。

サステナブルファッションはまだ発展途上

サステナブルファッションと聞くと、オーガニックコットンやリサイクル素材などの繊維のみに焦点があてられる傾向がありますが、それだけではありません。環境汚染の抑制が目的であれば、さまざまな手法でファッションの持続可能性を高められるのではないでしょうか。

AIでのデータ分析で生産量をコントロールし余剰在庫を抑制したり、3Dプリンターでエネルギーや資源を削減し生産したり、さまざまな開発がまだまだ進められています。テクノロジーやバイオ技術なども活用し、今後はより経済合理的かつ環境負荷が軽減されるような、持続可能な産業への変革が起きるでしょう。

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執筆=流郷 裕子
編集=中原 愛海