星野廉

好きな言葉は「人それぞれ」です。https://puboo.jp/users/renh…

星野廉

好きな言葉は「人それぞれ」です。https://puboo.jp/users/renhoshino77

マガジン

  • 記事集・H

    私は蓮實重彥(蓮實重彦ではなく)の文章にうながされて書くことがよくあります。そうやって書いた連載記事や緩やかにつながる記事を集めました。

  • アクセスの多い記事

    全体ビュー(全期間)でアクセスの多い記事を集めました。アクセスの多い順に並べてあります。

  • 記事集・F

    古井由吉関連の連載記事、および緩やかにつながる記事を集めました。

  • 記事集・K

    川端康成関連の連載記事、および緩やかにつながる記事を集めました。

最近の記事

  • 固定された記事

目次(抜粋・要約付き)

このnoteの目次です。古い順に、記事のタイトルと抜粋または要約を並べてあります。 *夢のからくり *まばらにまだらに『杳子』を読む(01) *まばらにまだらに『杳子』を読む(02) *まばらにまだらに『杳子』を読む(03) *とりとめのなさと付きあう *まばらにまだらに『杳子』を読む(04) *まばらにまだらに『杳子』を読む(05) *まばらにまだらに『杳子』を読む(06) *立ち姿が美しい人 *まばらにまだらに『杳子』を読む(07) *【小説】……

    • 「ここには何もない」という「しるし」

      space・空間・空白、sense・方向・意味、order・順序・序列 *「空白・区切り・余白」の捏造  蓮實重彥『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』所収の「Ⅰ肖像画家の黒い欲望――ミシェル・フーコー『言葉と物』を読む」を読んでいて頭に浮ぶのは、英語の「space」と、その語義である「空間」と「空白」です。  簡単に言うと、 ・「空間」とは現実の立体に「ある」もの、または「感じられる」もの で、 ・「空白」とは平面上(たとえば紙面上や液晶の画面上)に「ある」と人が決めたもの

      • 読みやすさについて

         今回は、「読みにくさについて」に引き続き、執筆中の記事の一部を独立させて、先に投稿することにします。これは体調が良くないための措置で、全体を一気に書こうとして無理をしないようにとの配慮からです。  現在執筆している記事のタイトル(仮題)は「sense・意味・方向、order・順序・序列、space・空間・空白」です。前回の「読みにくさについて」では「sense・意味・方向、order・秩序・序列、space・空間・空白」としていましたが、「秩序」を「順序」に変更します。

        • 読みにくさについて

           ある記事を書こうとしていて、ある部分が長くなってきたので、そこだけを記事にすることにしました。以前なら多少長くなっても強引に記事にしたのですが、このところ体力が落ちているので、無理をせずに別の記事にします。 文章の特徴  蓮實重彥の文章を読んでいて感じる特徴はいくつかありますが、なかでも私が目を惹かれるのは以下の四つです。 1)音声化できない文章の要素である約物の使用。 ⇒「立体、平面、空白(薄っぺらいもの・05)」&「「「かける」と「かける」(かける、かかる・03)

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          あやしい動きをするもの

           今回は小話っぽい文章を二つ投稿します。そのうちの「抽象を体感する、具象を体感する」は「【小話集】似ている、そっくり、同じ」に収録したものです。少しだけ加筆しました。 「【小話集】似ている、そっくり、同じ」は、かなり盛りだくさんな記事なのですが、これまでのアクセス数(全期間・全体ビュー)がいちばん多かったものです。よろしければお読みください。  この記事は新顔の「人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』」に首位の座を奪われたばかりなので、応援してやりたいのです。 抽象を体感

          あやしい動きをするもの

          とりあえず仮面を裏返してみる(断片集)

           今回も断片集です。見出しのある各文章は連想でつないであります。緩やかなつながりはありますが、断章としてお読みください。今後の記事のメモとして書きました。 看板、サイン、しるし  街を歩くと看板がやたら目に付きます。目に付くと言うよりも、こちらが無意識に探しているのかもしれません。無意識に物色しているとも言えそうです。  たぶん、そのようにできているのでしょう。看板は人の目を惹いてなんぼだという気がします。  看板はほぼ垂直に、つまり地面に対して直角に立ててあったり、

          とりあえず仮面を裏返してみる(断片集)

          「みんなのおすすめの本」と「【小説】読書感想文」に追加されました

          「立体人間と平面人間」と「人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』」を、それぞれ「みんなのおすすめの本 記事まとめ 」と「【小説】読書感想文」の両方に追加していただきました。どうもありがとうございます。  後者の「人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』」は、一度書こうとして挫折した感想文なので、特に嬉しいです。放置していた下書きを思い切って記事にした甲斐があります。      *      *     *  いつもスキで応援してくださっているみなさん、どうもありがとうござ

          「みんなのおすすめの本」と「【小説】読書感想文」に追加されました

          表、目、面

           今回の記事は、「立体、平面、空白(薄っぺらいもの・05)」と「「タブロー、テーブル、タブラ(『檸檬』を読む・02)」」の続きです。  見出しのある文章は連想でつないであります。緩やかなつながりはありますが、断章としてお読みください。 表、表裏、裏表  表。ひょう。おもて。あらわす。あらわれる――。  表を分けてみると、このような言葉とイメージがあらわれてきます。  いま私が興味を持っているのは表裏(ひょうり)という時の「ひょう」であり、裏表という時の「おもて」です。

          表、目、面

          人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』

           今回は「立体人間と平面人間」の続きです。それぞれが別の方向をむいた言いたいこと(断片)がたくさんあり、まとまりのない文章になっています。申し訳ありません。  お急ぎの方は最後にある「まとめ」だけをお読みください。 人間椅子から「人間椅子」へ  江戸川乱歩の『人間椅子』の文章は朗読に適していると思います。音読してすらすらと頭に入ってくる文体で書かれているのです。特に難しい漢語が使われているわけでもなく、和語中心の聞いてすんなりと理解できる言葉遣いの文章だと言えるでしょう。

          人間椅子、「人間椅子」、『人間椅子』

          立体人間と平面人間

           今回の記事は、「立体、平面、空白(薄っぺらいもの・05)」と「「タブロー、テーブル、タブラ(『檸檬』を読む・02)」」の続きです。 ◆立体と平面 自分には立体の時と平面の時があるような気がします。正確に言えば、自分を立体として意識している時と平面として意識している時があるのです。  入浴中なんかは自分が立体だとつくづく感じます。なにしろ自分の体を自分の手を使って洗っているのです。自分の手の皮膚で、自分の他の部分の皮膚を撫でているのです。  皮膚という面で皮膚という面を

          立体人間と平面人間

          音読不能文について

          「音読・黙読・速読」という連載(全三回)をしました。このシリーズをした理由の一つは「音読不能文」の存在を訴えたかったからです。 ・「音読・黙読・速読(その1)」 ・「音読・黙読・速読(その2)」 ・「音読・黙読・速読(その3)」 音読不能文  音読がしにくい文章から音読が不可能な文章までをひっくるめて、私は「音読不能文」と勝手に呼んでいるのですが、次のようなものをイメージしています。 ・センテンスがかなり長いために音読しにくい。または、センテンスが込み入っているために音

          音読不能文について

          音読・黙読・速読(その3)

           シリーズ「音読・黙読・速読」の最終回です。 ・「音読・黙読・速読(その1)」 ・「音読・黙読・速読(その2)」 ◆センテンスが長くて読みにくくて音読しにくいけど素晴らしい文章  まず、前回に取りあげた文章を再び引用します。なお、あえてお読みになるには及びません。ざっと目をとおすだけでかまいません。 (Ⅰ) (Ⅱ) *節のある竹のような文章  上で見た、井上究一郎訳によるマルセル・プルーストの文章である(Ⅰ)と(Ⅱ)のセンテンスを図式化してみましょう。 (Ⅰ) 

          音読・黙読・速読(その3)

          音読・黙読・速読(その2)

          「音読・黙読・速読(その1)」の続きです。  今回は長いセンテンスと込み入った作りのセンテンスを読んでみます。音読や速読に適しているとは言い難い文です。かといって黙読し易いわけでもなさそうです。 ◆読みやすい文章、読みにくい文章*井上究一郎訳のマルセル・プルーストの文章  次の文を読んでみてください。長めなので、読む前に気合いを入れてくださいね。 (Ⅰ)  めちゃくちゃ長いですね。『花咲く乙女たち』(花咲く乙女たちのかげに)はマルセル・プルースト作『失われた時を求め

          音読・黙読・速読(その2)

          音読・黙読・速読(その1)

           今回から三回に分けて「音読・黙読・速読」という連載をします。 黙読しやすい文章  漢字が適度に使われている文章は黙読しやすい気がします。読むというよりも、見て瞬間的に意味を取るのに漢字が適しているのは、もともとが象形文字だったからでしょうか。  形を音に変換してその意味を理解するのではなく、形で直接意味が理解される回路が頭の中にできているように思えます。  フォトリーディングという言葉を聞いたことがあります。その内容は知りませんが、写真のように文字を即理解するとすれば

          音読・黙読・速読(その1)

          見えないものを描く、見えないものが描く

           梶井基次郎の『交尾』は二部構成になっていますが、今回は「その一」について書きます。引用にさいして使用するのは、『梶井基次郎全集 全一巻』(ちくま文庫)です。 『交尾』は青空文庫でも読めます。 ◆写実的な俯瞰の難しさ 上の引用文から、「その一」は物干し場を定点とした俯瞰だと分かります。  語り手である「私」が物干し場から移動しない、しかも双眼鏡のたぐいを使うのでもないとすれば、「私」の目から「家の裏横手の露路を見通すことが出来」たとしても、見た物を写実的に描くことはきわ

          見えないものを描く、見えないものが描く

          交尾の出てこない『交尾』

           今回は、「共鳴、共振、呼応(薄っぺらいもの・06)」の続きです。      *  梶井基次郎の掌編『交尾』には交尾が出てきません。 「私は猫の交尾を見たことがあるがそれはこんなものではない。」とあるのですから、この作品で描かれている二匹の白猫のさまは交尾を描写したものではないと考えられます。 『交尾』は「その一」と「その二」に分かれていて、上の文章は「その一」から引用した段落です。      * 「その二」は次の文で始まります。  そして次の段落で終わるのです

          交尾の出てこない『交尾』