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卒業制作で土偶を作った話 作品小ネタ編②

ごあいさつ

こんにちは!卒業制作で土偶を作ったお話を投稿したところ、たくさんのいいねを頂くことが出来てめっちゃ嬉しかった!(正直)ので、せっかくなので残りの作品も解説してみようかなと思います。

そのめっちゃ嬉しかった記事はこちら⤵︎ ︎

牛乳を注ぐ土偶

ヨハネス・フェルメールの描写は非常に丁寧で写実的だ。
そういった点で、縄文後期東北地方の写実性との共通点を見出した。
翻訳元の牛乳を注ぐ女に描かれる女性は、
集中しているように見えるが、
どうやら土偶になってしまった彼女は
少しぼんやりして牛乳をこぼしてしまったようだ。

こちらの土偶のお顔は東北後期の土偶をモチーフにしています。
コーヒー豆みたいなおめめとお口はちょっとマヌケで可愛いですよね。
穏やかな表情をしている牛乳を注ぐ女が、土偶になった時にはちょっぴりボケ〜っとしていたらクスッとなるかな、と思いながら作っていました。

体まで板状にしてしまうと展示上問題があるので、体は中期土偶であるラヴィちゃんを参考にしています。

南アルプス文化伝承館所蔵 ラヴィちゃん(愛称)

フェルメールの絵画に出てくる女性たちの洋服感を出すのもちょっと頑張りました。縫い目とか。

後ろ姿
撮影:父

例えば、上半身と下半身の縫い目となっている文様は、山形土偶などに見られる鋸歯文を参考にしていたりします。

山形土偶の例

いい感じの写真が無かったので、私の絵で失礼します。
足部分に鋸の歯の形をした文様がありますね、それが鋸歯文と言います。

山形土偶は東北地方の土偶か?と言われると、いや……違うっ……すね……と答えるしかないので、牛乳を注ぐ土偶さんは縄文中期、後期の東北から関東、そして山梨県までの様々な土偶が融合したハイブリッド土偶さんだったりします。

結構人気度の高い土偶さんで嬉しかった記憶。

接吻土偶

グスタフ・クリムトの「接吻」は豪華絢爛で、装飾的。
そんな接吻の纏う雰囲気と縄文中期の土器群との共通点を見出した。
縄文中期土偶の特徴的なアーモンドアイは、
目を瞑っている表現だったのかもしれない。

これもうちょっとやりようがあったと思います(開幕反省会)

こちらはとにかく中期中期中期!という感じの造形ですね。

横から
撮影:父
後ろから
撮影:父

土偶と言うよりかは土器の方を主に参考にしながら作っていました。

釈迦堂遺跡博物館蔵
同上
同上

クリムトの接吻の幾何学的だけど、有機的な…雰囲気を壊さないように、文様をつけていました。

山梨県立美術館 縄文展より

顔の表現は中期の長野山梨県にみられる顔面把手や土偶のお顔を参考にしています。
アーモンドアイ、と呼ばれることもあるのですが、これって実は目瞑ってるだけじゃね?というのがこの土偶を作る1番最初の発想の元です。

ちなみに、腕がビョーンと伸びている肩の部分は神像筒形土器を参考にしています。一番大好きな土器です。

山梨県立美術館 縄文展より

本物は井戸尻考古館が所蔵してます。本物は撮影禁止のため、山梨県美術館で展示していた写真を。

ポーズ土偶(東京国立博物館蔵)のレプリカ
撮影は釈迦堂遺跡博物館

この肩の形をしている子、結構いるんですよね〜 ムキムキで好きです。

見返り美土偶

菱川師宣が描いた見返り美人図は、見返るという所作を含めて非常に美しい作品だ。

土偶という翻訳機にかけた時、
そのフォルムは着物と帯、脚は全て一体化し
「見返る」という概念として表現されていただろう。
ひょっとしたら、頭上には蛇がとぐろを巻いていたかもしれない。


見返り美人土偶てwwwwwwwとたくさんの人に大笑いされた題名です。
出オチ感ありますよね。私は好きです。

私は勢いだけで生きてるので、勢いがある題名の方がオモロいと思うからです。

土偶は洋服らしき表現はあるものの、服なのか刺青なのかわかんね〜みたいなものが多くて、着物のように何枚も重ね着してガッツリ服着てるぜ〜‼️みたいな表現をどうするか悩みどころでした。
結論としては、服を着ている事が重要なのではなく、服を着たことによって生まれるフォルム、そこに見返るという動作が加わった時、その形がどのように変化していくのか…というところに着目して、着物は和柄に似た土器文様探そう❗️になりました

山梨県立考古博物館蔵

「見返り美人の着物って、菊の花とか…和柄が結構重要だと思うんだよね〜」
という友人のアドバイスにより、菊の花みたいな縄文土器文様を探して参考にしました。

わかりやすい写真を撮るのを完全に忘れていたのですが、頭部には蛇さんがとぐろを巻いていらっしゃいます。

井戸尻考古館には同じ頭の形をした土偶さんがいたりして……

考える土偶

オーギュスト・ロダンの考える人は、地獄を見つめていると推察されている。
それを土偶という翻訳機にかけた時、
じっと見つめすぎたせいだろうか、
目が巨大化してしまっているかもしれない。
まるで、遮光器土偶のように。
地獄の業火は火焔文で表現され、
今日も彼はそこにじっと座り込み、考え続けるのだ。

もはや説明不要

遮光器土偶が考えてます

あまりにも直接的すぎて正直展示に出すか悩みました。

直接的すぎるなあとは思いますが、私のやりたいことって結局「土偶をもっとポップに表現してみたい」という側面が大きいので、ぱっと見でめちゃくちゃ分かりやすくて楽しい作品があっても良いんじゃないかな、と思って展示に出してみました。

ちなみに「考える土偶が一番好きです」と言ってくださる方がたくさんいて、嬉しかったです。

イヤリングにして売りたい

真珠の耳飾りの土偶

真珠の耳飾りの少女が土偶になっても、
耳飾りは付けているだろう。
仮面土偶の様相をしながら頭部と繋がったように表現すれば、ターバンが表現できるのではないかと考えた。

これは割と初期に作った土偶ですね……
仮面の女神に似せて作ってます。
前回解説したムンクより前から構想していたものなので造形がかなり土偶寄りですね。

実はフェルメール元ネタが2つあるんですよね〜……私が好きだからなんですが……

フェルメール土偶達は肩がふっくらしてます。かわいい。

まとめと、これからのこと

土偶の解説は以上になります。
ここまでご覧いただきありがとうございました!

こうやって見ると、土偶にクオリティの差があるのがお恥ずかしいですが、「土偶のことが好きじゃない人も楽しい《土偶の展示》を作る」という目標を少しは達成出来たのではないでしょうか……

これからも私のだ〜いすきな縄文土器や土偶の造形を借りて、やりたいことをやっていきたいと思ってます。
このシリーズも実はまだラフスケッチがいくつかあったりするので、続けたいな!

そのために今は少しだけ休憩兼お勉強期間です。
考古学的知見をきちんと持ちながらも、ラフに、ポップに、自由に作品を作るのが1番かっこいいと思っているので……

これを見ている考古学関連のお仕事されてる方‼️‼️どうですか‼️イラストもスケッチもレイアウトのデザインも立体も出来ます‼️‼️😂
インスタグラムのDMやメールお待ちしてます‼️‼️‼️😂😂😂😂

実は考古学関連のお仕事を頂くのが夢だったりするので、そのためにも頑張らなくてはと思います。

では、またどこかでお会い出来たら、幸。

イラストもスケッチもレイアウトのデザインも立体も出来る私のインスタグラムはこちらから。

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