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3冊目 「お金のいらない国 長島龍人」

僕たちは、なんのために働いているのだろう。いや、なんのために生きているのだろう。その答えに「優しく」気づかせてくれる本。それが「お金のいらない国 長島龍人」だと思う。

この本の著者の長島さんは、日本の広告業界のエリート集団が集まる電通の社員さんだった。この会社は、3年ほど前に過労死自殺でも有名になった。その長島さんが考える「働くとは何か、生きるとは何か」が短編小説として書かれている。

◆この本を読む前の心境

・「お金のいらない国」って、ベーシックインカム導入後のお話かな?

・お金が必要ないなら、何しようかなぁ

◆この本のポイント

・小説は主人公が、パラレルワールドに迷い込む設定から始まる

・その世界では、「お金」と言う概念がないが、人々は皆幸せそうに豊かに暮らしている

・その世界の住民は自ら誰かの役に立てそうなことを進んで実行する。しかも無償で

・企業のコンペは、参加企業全員で「クライアントにとって一番良い案」を選ぶ

・利益の追求に慣れていた主人公は、初めは困惑するが、徐々に「誰かのために、自分ができることを無償でする」生活に心地よさを感じる

・主人公の案内役のおじいさん(仕事は清掃員)の重要なセリフ「あなたの今されている仕事が、本当に価値のあるものかどうかを判断する、簡単な方法をお教えしましょう。仮に、社会からお金というものがなくなり、その仕事によって報酬を得られないとしても、自分がその仕事をすべきだと思うかどうかです」

◆感想とTO DO

【感想】

この本は、資本主義を批判し、原始的な暮らし、例えば約1万年間平和に続いたと言われる縄文人のような「必要最低限の資源で慎ましく生きよう」と訴えているわけではない。この本が本当に伝えたいことは「Taker(得る者)ではなく、Giver(与える者)になろう」というメッセージだ。

現代の資本主義社会は、「お金」と言う通貨を通して人々の「信頼」を保証している。この信頼の証である「お金」のおかげで、ここまで社会が発展してきた。お金は効率的に世界を発展させる上で、これ以上ない大発明だった。僕らの先祖が、一生懸命「お金」の世界で頑張ってきたからこそ、今の物質的に豊かな生活が送れている。

しかし、先進国の経済成長には限界がある。成熟しきった少子高齢化社会の日本なんかが良い例で、GDPの劇的な伸びはもう誰も期待していないだろう。それでも、資本主義は永遠に利益を追求し、成長し続けなくてはならない仕組み。本当は100年保証の電球を提供する技術があっても、それでは自分たちの利益にならないので、10年で壊れる電球を流通させる。こう言った話はどこの業界でもよくある話だ。

多くの人が先ず自分が利益を得ようと考えるから、「自分に得な方」を選んでしまう。でも、みんなが「相手にとって良い方」を選ぶと、その連鎖が最終的に社会を豊かにさせる。

お金のためだけに働く間は、一生豊かにはなれないし、幸せは遠のく一方だけれど、「相手のため、誰かのため」に行動した瞬間から、本当の豊かな生き方にシフトできるのだ。

【TO DO】

・自分の目標や、夢を掲げる時に「誰かのため」を必ず意識する

例)✖️有名なミュージシャンになって大金持ちになりたい

  ○悲しい思いをしている人に、元気を与えられる曲を作りたい


以上


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