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あえてオーナーチェンジ物件を狙うスターマイカの戦略

黒澤友貴さんのマーケターにとっての筋トレは何かという疑問から生まれたマーケティングトレース。この考え方にとても共感しました。はじめの一歩ということでとにかくやってみます。

企業の選定には迷いました。この3点(①儲かっている② マーケティング戦略がユニークである③自分が感動するサービスを提供している)が肝とのことなので、まずこれを満たしている企業ってなんだろうというところから考えました。かつ、どうせなら自分が働く業界(リノベーション)に近い業界でやってみようと。そこで、スター・マイカという会社を選びました。ここはリノベーション会社の中では唯一、一人当たり売上高ランキング100位以内にランクインしており、個人的に注目しておりました。
早速マーケティングトレースのフレームに沿ってまとめていきます。

①概要を把握する

企業理念:“作る”から“活かす”社会を実現します
事業内容:リノベーション中古マンションの企画・販売

②マクロ・ミクロ環境に分類する

マクロ環境(PEST分析)
政治的要因・・・民泊新法
経済的要因・・・新築マンション価格高騰、中古マンションストック増加
社会的要因・・・人口減少
技術的要因・・・不動産テックの台頭(VR、AI、ディープラーニング)         
ミクロ環境(3C分析)
市場・・・リノベーションマンションへのニーズの多様化
競合・・・買取再販型もしくはワンストップ型リノベ
自社・・・すぐに売却可能な“空室”ではなく、あえて売却時期を予測できない“賃貸中”マンションを取得するビジネスモデル

SWOT分析
強み:賃貸中物件取得で競合他社より割安での仕入れ
弱み:売却時期を予測できないという不確実性
機会:新築の価格高騰、リノベマンションへのニーズの多様化、期待拡大
脅威:個別物件で生じるリスク(事故・自然災害、価格変動、退去期間等)

③「より詳細に分析する」

Product:製品
リノベーション済み中古マンション

Price:価格
平均仕入れ価格:2,031万円
販売用不動産の含み益想定:123億円
※オーナーチェンジ物件に絞った仕入れにより、割安での仕入れ。

Place:流通
仕入:WEBを通じた買い取りマッチング
販売:VRでの内覧、首都圏を中心に地方都市へリアル店舗の配置(計8店舗)。 

Promotion:宣伝
エンド向けサイトにて在庫物件情報の発信

④「戦略との連動性を分析する」

VRIO分析
1. 経済価値(Value)

「日本一」となる約2,100室・440億円超えの中古マンションを保有
競合他社に大きく差をつけており、経済的価値は大きい。

2. 希少性(Rarity)
すぐに売却可能な“空室”ではなく、あえて売却時期を予測できない“賃貸中”マンションを取得するというビジネスモデルでポーター賞を受賞しており、希少性が高い。

3. 模倣困難性(Inimitability)
累計8000戸のデータの活用。
AIの研究、業務への活用により、模倣困難性は高い。

4. 組織(Organization)
「誰もやらない、誰もやれない」煩雑な業務を、『迅速に』実施する仕組み。
オペレーション体制は、独自システムの導入や、全役職員パソコンのデュアルモニター化をはじめとして、普通の不動産会社にはない(金融機関のような)、様々な工夫が凝らされている。

⑤「言語化し、成功要因を整理する」

成功要因の一つとして、賃貸中の物件に絞って仕入れをするという点が大きい。競合他社は仕入れではなく、どんなリノベーションをするかというところで差別化を図っている企業が多い中、スター・マイカは仕入れ段階での差別化を行っている。賃貸中のため、引越し時期が読めないが、その場合も賃料は入ってくるので、リスクを抑えられている。しかも一番のメリットは割安で仕入れができるということである。特に首都圏では中古マンション価格の高騰が進んでいるので、仕入れ段階で割安で手に入れられるということは大きなメリット。ターゲットが希少ゆえ、専門性が必要そうではあるが、データを活用して、効率的な仕組みを構築しようとしていることから他社がこのビジネスモデルを模倣するということは難しい。それゆえ、日本一の物件保有数を維持しているのだと思われる。

⑥「仮説をつくる力を磨く」~自分がもしCMOなら~

もし自分がCMOなら、請負型のリノベーションに力を入れる。賃貸中の物件を仕入れるということは次の特徴がある。一つは割安であること、もう一つはリフォーム前である可能性が多いということ。近年、エンドユーザーがリノベーションに求めるニーズが多様化しており、リノベ済みではなく、中古マンションを購入して、自分でリノベをしたいという層が増えている。そういった顧客に対してスター・マイカの独特の仕入れ力は受ける可能性が高い。これについては自社で完結せずとも、請負型のリノベーションを行っている企業とのコラボなどにより、相乗効果を生むことも可能性としてはありえる。自分なら、得意分野の仕入れに特化して、設計デザインなどは得意な会社との提携を進めていく。これにより、仕入れから販売のサイクルの短縮化が見込める。そうすれば、より仕入れ力に磨きがかかり、圧倒的なシェアを取ることができる。

図解を取り入れたマーケティングトレースはこちら。


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