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【エッセイ】男の影響でタバコを吸う女になりたく無かった。

 女性がタバコを吸い始める理由は、彼氏のおかげだったりする。という話よく聞きませんか?彼氏と一緒に吸いたいから初めて見たって人、少なくない気がします。

だけど、私はそれだけには絶対になりたくないと思っていた。理由は自分でもよく分からないけど、意地だと思う。何となく、そんな事で流されるような女じゃないぞと思いたかったのかも知れない。

けど、そんな意思も簡単に打ち砕かれます。本当にいとも簡単に。

元々タバコに嫌悪感を抱くことは無かった。むしろ、人が通る時に少しだけ香るあの匂いが好きだったりする。
だから、初めてタバコを吸うまでストレートに辿り着いた。きっかけはもちろん男。

でも仕方ないよね、と言い聞かせている。
「好きな人がタバコ吸わないなら、俺が吸い方教えたいんだよね〜」
なんて言われたから、なんか悔しかった。貴方にとって私は「好きな人」なんかじゃないから、それなら自分で覚えてやろうって。

ベランダで、1人でタバコを吸う時間は妙に長く感じたのを覚えている。最初は何がいいのか分からないし、ただ煙が空に上がっていくだけ。何度もむせるし、上手く吐き出せない。

それなのに、家に帰っては1本ずつ消費してった。そしたらいつの間にか、むせることなく口から煙を吐き出してた。上手く吸えて、ちょっとだけタバコが癖になる理由も分かった。中毒性とはこういうことなのだろう。

ここまで上達して、皮肉なことに私が彼と肩を並べてタバコを吸うことは無かった。いつの間にか引き出しの奥に隠れている1ケースとライター。

この間、それらにお別れを告げた。残り掛けのタバコを見て少しだけ苦しくなった。

次また私がタバコを吸う時が訪れるのだろうか。その時はまた、あの日を思い出すのだろうか。

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