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なぜ”頭のいい人”はユーザー心理が理解できないのか?ユーザー理解からリブランディングに発展した話

#PMの仕事

「ユーザー心理を理解すること」はサービス運営・開発に関わる方にとって永遠のテーマだと思います。今回は、そのテーマに終止符を打つべく、マイナビ転職のリブランディングにまで発展した話を紹介したいと思います。

TERAってどんな人?と気になる方はプロフィールをご覧ください。


なぜ頭のいい人はユーザー心理が理解できないのか?

それは、頭のいい人は「考えてしまうから」です。

ユーザー心理を理解する(=ユーザーが答えを持っている)というゲームで、頭を使ってしまうからダメなのです。

頭のいい人は、効率的です。Webで調べた内容を自分の状況に当てはめ、打ち手に変えて成果をあげます。

例えば、SNSの投稿をスクレイピングして問題提起から打ち手を考えたり、アンケートを集計して統計的なアプローチで解決ストーリーを作成したり…。とにかく効率的で無駄がありません。また、根拠となるデータがあるため、企画にも「それらしさ」が漂います。

私も同じようなやり方で、数々の施策を行ってきました。

<施策の一例>
・GoogleAnalyticsで離脱ページからユーザー心理を作成し導線最適化
・主要機能の前後関係とリードタイムからユーザーストーリーを作成し機能改修
・ユーザーストーリーからセグメントを定義し、Web接客ツールを導入
・行動ログから機能ごとの相関関係を算出しレポート自動化

今になって思うのは、そのほとんどが私の憶測が入った問題提起であり、核心を捉えていなかった。そしてこんなことを1年くらいやってると「迷走ステージ」に入ります。

考えうる施策はやり尽くした。
それでも競合には追いつかない。
でも次の打ち手が思いつかない。
ん?そもそもユーザーの悩みって何なんだ?

業態は違えど、同じような境遇の人は結構多いんじゃないかなと思います。


ユーザー心理を理解するための核心に迫る出来事

そして切羽詰まった私は、行動します。

「これ以上考えても分からない。ユーザーに直接聞いてみよう。」

転職活動中のユーザー10名に、1人ずつインタビューを行いました。そして3人目くらいで気が付きます。

もしかして、我々は根本から間違えていたのではないか?

これまでのユーザー理解

・転職活動は3〜6ヶ月
・20代の転職はキャリアチェンジが8割というデータから今と違う仕事に就きたい人が多い
・働きながらの転職活動が6割というデータからスキマ時間で求人を検索するのはめんどくさい

インタビューで感じたこと

・転職のきっかけはコップの中にストレスの水が溜まるようなイメージ
・決意するまでの1〜2年くらいは転職サイトを見て気を紛らわしていた
・転職することを決意してからは、3〜6ヶ月で転職する
・今の会社じゃないことは分かっているが、やりたいことは分からない
・面接をしながらどんどんやりたいことが言語化されていく

データから見えるドライな感じではなく、迷いながら、でも勇気を振り絞って一歩ずつ前に進んでいる印象を受けました。

ユーザーが理解できれば、打ち手は自然と浮かんでくるものです。

<インタビュー後に行った施策>
・長期コミュニケーションを前提としたCRM設計
・転職軸の考え方が学べるオンラインセミナーを開催
・潜在層向けのオウンドメディアの立ち上げ
・潜在層向けの新規サービスの立ち上げ

スマホ一つで、全国どこからでも参加できる「オンライン型の転職ノウハウセミナー」は当時どこも行っておらず、参加者の満足度は常に95%を超えていました。

また、このインタビューで得たインサイトがきっかけでサービスはリブランディングをすることになります。これまでの「求人数No.1」という広告メッセージから「賛成!新しい生き方」という迷いを肯定するメッセージに生まれ変わるのです。

一次情報の「社内の人を動かす力」に驚きましたし、何より私自身が言い切れるようになったことが大きかったと思います。


さいごに

「一次情報に"直接"触れる」って、時間も、手間もかかってすごく面倒くさいことだと思います。

しかし、「ユーザーの雰囲気」「話し方」「間(ま)」。これらすべてが情報なのです。これはアンケートやデータからは取得できず、観察しながら感じることではじめて情報となります。

プロダクトの企画や開発に携わっている人は、ぜひ利用者に直接会ってみてください。 答えはユーザーが持っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は、ユーザーインタビューの考え方が180度変わった体験談をまとめたいと思います。ぜひフォローして更新通知を受け取ってください!


おまけ

私は現在、飲食店の口コミサイトを運営している会社で、新規事業責任者をしています。

プロダクトオーナーを兼務しているためエンジニアと会話することが業務の大半を占めますが、ユーザーからの問い合わせに対応していますし、企業に対するテレアポや商談現場、オンボーディングにも参加します。

これはあくまでも結果論ですが、事業のトップがこの動きをしていると一次情報に触れることがチームに浸透し、エンジニア・デザイナー・コールスタッフ…など全職種のメンバーが現場に出るように。すると、議論はファクトベースで憶測がなく、全メンバーから自然とアイデアが出る組織となりました。

チーム運営に悩んでいるマネージャーの方、まずは率先して一次情報に直接触れることをオススメします。

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