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修理できるもののLCC。

形あるものは、いつか壊れるが…。

 以前にお金持ちほど消耗品で、決して一生モノにはなり得ない靴にも、最初にそれなりの金額を掛けて、修理しながら長期間使用する傾向にあることを交えながら、時は金なりの消費性向について私が学べると思う部分を記してきた。

 昨今の不安定な世界情勢で、ブロック経済化して、サプライチェーンの混乱や原材料費の高騰に伴う、コストプッシュ型のインフレ圧力により、ありとあらゆるモノやサービスの値段が、現役世代がかつて経験したことのないレベルで上がっている。

 いち消費者としては、今は買い時ではないと感じていることから、今持っているものを極力長く使う方針にシフトしつつあり、最近になってモノのインフレに追従する形でサービス料金も値上げが頻発していることから、長く使うと決心したものに関しては、価格改定前の駆け込みで修理や部品交換を依頼している状況である。

 先日は23年3月から値上げになる、iPhoneのリペアサービスでバッテリー交換を申し込んだ。半年遅れで発売された、ジョブズのトリビュートモデル説のある、iPhone 12 miniのパープルを使用しており、ちょうど丸2年経過していることから、体感的にはバッテリーの消費が激しくなっている気がする頃合いであった。

 14シリーズでminiがなくなり、15以降での復活も期待できそうもない上、ここ数年は著しくスペックが向上している感覚もないことから、しばらく12 miniを使うつもりで正規店での有償修理を申し込んだ格好である。

 形あるものは、いつか壊れる。大量生産大量消費社会の洗礼を受けると、壊れたら買い替えるイメージが先行しがちだが、我々の先祖は、江戸時代という究極のサステナブル社会を生きていた。

 終戦を機に天皇陛下万歳からアメリカ万歳となって以降、アメリカ被れな文化がすっかり定着してしまったが、世界全体でSDGsを掲げている今こそ、祖先の暮らしぶりから学ぶべきものがあるのかも知れない。

革製の小物は修理できるものを選ぶ。

 最近は愛用している、abrAsusのiPhoneも入る財布の、ホックが沈んで閉まらなくなってしまったため、リペアセンターに修理を依頼した。往路はレターパックライト、復路は送料込みで1,100円と、ホックひとつの交換に対して、この価格をどう評価するかは人それぞれである。

 しかし、そもそも作って売れたらそれで終わりなメーカーがある中で、職人が長く使って貰いたい思いから、できる限り修理する姿勢は金額以上に評価しており、小さい小銭入れもキーケースとして愛用している。

 いくらキャッシュレス全盛期とはいえ、クレジットカードくらいは使うため、日常的に使用する財布の留め具が機能していないストレスは決して無視できず、使い勝手が悪く修理も出来ないとなれば、買い替えてしまう可能性がある。

 その持続的な小さなストレスが1,500円程度で解消されるならば、買い替えるものを選定する時間も大幅に節約できるため、レザーがボロボロになるまで使えそうである。

 因みにスリーブケース形式でiPhoneが入る点を売り文句にしているものの、設計時期的にiPhone 4〜5、SE(第1世代)が入るサイズであり、12 miniを使用しているのは、物理的にこれに収まるのがminiしかないからである。

 とはいえ、仮に入らなくても、ベロさえ気にしなければ、薄い財布と大差ない作りであるため、iPhone miniシリーズを使用していて、abrAsusの薄い財布が気になっている方であれば、執筆時点では700円の差なので、iPhoneも入る財布を試してみる価値はあると思う。

IC、RC、LCC。

 カードの集積回路っぽい略語が出たと思ったら、今度は鉄筋コンクリート、最後に格安航空…。一見するとワケガワカラナイ羅列だが、イニシャルコスト、ランニングコスト、ライフサイクルコストの頭字語と聞けば、多少は腑に落ちるだろうか。表題の伏線回収も兼ねている。

 モノを買う時、我々はイニシャルコストやランニングコストのいずれかを意識する傾向にあるが、ライフサイクルコストまで意識して購入する人は稀だろう。

 いやいや、イニシャルコスト+ランニングコスト=ライフサイクルコストでしょうに。と思われるかも知れない。しかし、処分費用は意外と盲点になりがちで、大型家電・家具であれば粗大料金や、家電リサイクル料金がそれに当たる。

 以前、場所を取らないペルチェ式のポータブル冷温庫を所有していたが、不燃ごみでは出すことができず、大型冷蔵庫と同額の家電リサイクル料金が必要と知って二束三文で手放した。もう買うことはないだろう。

 日頃から処分に困らないように、非力な自分が扱えるサイズ、重量のものを選んでいるものの、微妙に30cmを超え始めると実は粗大料金が発生するパターンは多く、下調べが不足していると、いざ手放す際に面倒なことが往々にして存在する。

 我々が生活するこの資本主義社会を根幹とする現代は、お金さえ払えば大体のものが手に入る、人類史の中でも恵まれた時代であるが、だからと言ってお金さえ払えば、限りある地球上の資源を無駄遣いしていいことにはならないだろう。

 次の世代に先代のせいで資源が枯渇したと恨まれないためにも、ライフサイクルコストを意識しつつ、必要最低限の消費に留め、直せるものは修理してできるだけ長く使おうとする心掛けは、サステナブルが意識される時代に大切なのかもしれない。


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