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65年前のSF小説『タイタンの妖女』がスゴかった

『タイタンの妖女』は、今から65年前の1959年に出版されたSF小説。
読了してからこの事実を知って、僕はとても驚きました。

国際宇宙ステーションが飛び、4,000個以上の人工衛星が地球の周りを回っている現代の人が考えた話ではなかったんだ、と。

なにしろ「地球は青かった」という有名な言葉を残した宇宙飛行士ガガーリンが、世界初の有人宇宙飛行を成功させたのは、なんと本が出版された2年後の1961年のことなのです。
この人は、なんて凄まじい想像力を持ってるんだろうとたまげました。



この本の著者は、アメリカのカート・ヴォネガット・ジュニア。

あらすじは、アメリカで一番の大富豪マラカイ・コンスタントが、宇宙のある何者かが仕組んだ壮大な計画に翻弄されていくというお話。

マラカイは、まあロクでもない人間ではあるものの、それにしてもあまりに過酷すぎる運命に次々と直面していく事になるため、読み進めるほどに胸が痛くなってきてしまいます。

登場人物はことごとく気の毒な方が多く、愛犬のカザックと共に自家用宇宙船で火星に向かったウィンストン・ナイルズ・ラムファードというおじさん(物語の最重要人物)は、太陽からベテルギウス星まで伸びる歪んだ“らせん”『時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)』に宇宙船ごと飛び込んだため、その“らせん”の中で、愛犬と共に波動現象として存在(空間的には太陽からベテルギウス星まで全身が散り散りになって伸び、その上、時間的にも太陽系の過去から未来のあらゆる点において同時に存在する、つまり“未来の出来事を全て知ることができる”ようになった)する事になってしまいます。

そしてもう一人、ラムファードの奥さんであるビアトリスも、とんでもない目に遭う事になります。

火星、水星、そして土星の衛星タイタンまで続く、長い長い旅の終わりには一体何が待っているのか。

全編が不思議なもの悲しさで包まれた魅力的なこのお話は、爆笑問題の太田さんも大好きなのだそうで、自分の事務所の名前を『タイタン』にしてしまったほど。

僕もとても素晴らしい物語だと思いました。

宇宙と哲学がお好きな方なら、きっと気に入ってもらえると思います。

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