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結婚の理想は恋愛の条件か

昨今のマッチングアプリのブームによって、さらに恋愛における格差が広がったように思う。

その一因は過剰なまでの「条件」にあると考えている。

こんな人だったら嬉しいな
結婚するならこれくらいのスペックは欲しいな
子供ができてから変わらず愛してくれるかな

といった「理想」はある。

だがこれはあくまで「理想」であり、これ通りでなければ結婚できないというわけではないだろう。

結婚している人が全員年収1000万を超えているわけではないし、結婚する女性はみな家事が得意でなければいけないのかと言われるとそんなことは決してない。女性の方が年収高くてもいいし、男性が家事を担当してもなんら問題ないはずだ。

これが問題ないのは「理想」という別枠で考えられていたからだ。実際付き合う人がそうでなければいけないとは、本気で思っている人はそうそういないはずだ。

だが、マッチングアプリが出会い方の主流になりつつある今、恋愛するには「条件」が必要になってきた。

それは昔からあるような「高収入、高学歴、高身長」というような実績で測られるものばかりではなくなりつつある。最近のマッチングアプリでは、人柄の良さという抽象的な概念すらも付き合う前に測られる。

写真ではおしゃれなところで撮られた料理やバッチリ決まった写真など、いかに自分と付き合うことにメリットがありますということを目に見えて証明できるかという部分が大切になっている。

これは昔からあったが、昔はそれを実際に会った人の様子や話で想像していたものであろう。今はそれを目に見える形にしていかなければならない。引きこもりには非常に難しい時代だ。お手軽に出会うためにはまず出会うにふさわしい人になる努力をしろとアプリに急かされている気持ちになった。

つまり「理想」を体現していたり、体現しそうな「条件」の人としか出会わないという現象が起きている。

そして出会う前にこれだけの苦労をして会ったとしても、結局は何かが合わないということで破局し、次の人に会いに行くことを繰り返す。

このような事態になるのは、会う前に相手を知りすぎているのが原因ではないか、というのが今回の言いたいことである。

そもそも好きになるかどうかは条件や意思では解決できない。そこには様々な要因があって、見た目や経済力はもちろん、言葉使い、所作、礼儀など目に見えない部分でも人を無意識に判断している。前もって地元が同じと知ってから会うよりもたまたま会話の流れで地元が同じことを知った方が気持ち嬉しい。

特に経済力は一見するとかなり重要そうだが、問題はその経済力の使い方である。仮に1億稼いでも2億使う人もいる。逆に300万でも200万しか使わない人もいるのだ。

表面的な数字にどこか安心感を覚えがちだが、それだけ稼ぐということはそれなりに何かを代償としていることの裏返しだ。年収は人間力の数字ではない。

私たちはお金をたくさん稼いでいる人が金銭で破綻しているかもしれないという部分を見過ごす傾向にある。本来見なければいけないのはお金の使い方であり、稼いだ数値ではない。

こうした人柄は作り出したプロフィールには絶対出てこない。だから結果として会わなければ何も分からないのである。

この「条件」の誕生の背景には、理想に恋した方々が実物に会う前に恋したいという欲求を叶える必要があったからだろう。要するに女性が得するためにはその人のスペックが見えることが必須なのである。

その多くは会ってから幻滅するので、会話が成立するならさっさと会ってから恋するか決めた方がいいということを強く勧める。

だが自分の「理想」を叶えた「条件」の相手に目が眩むように脳は設計されている。そして会う人のハードルが上がっていき、結果、お手軽に会うという本来の目的は形骸化している。出会いがない人のために作られたはずなのに、元から出会いやすい人でさえ出会いにくくなっているのだ。

まぁ私が個人的にできることは経済力を身につけるということだが、今以上の経済力を身につけたらきっと出会いは必要なくなるだろう。そんな一抹の不安を抱えて今日も足跡をつけにいく。

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