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ショートショート 第1話(ハートカクテル)

ラジオのチャンネルを回しては止め
そして、また回す

ザーザーザー
・・・過ぎた・・・求めて・・・ザー
・・・見つめる・・・ザー・・・
ザー・・・おやすみなさい。

前略、君へ

何度繰り返せば
一緒の朝に、
おはようを言えるだろう

あの頃の僕は、
好きとか嫌いとか愛してるとか

良く分からなかった

手を繋いで一緒に帰り
電車の窓から出を振り
遠ざかる君は愛おしく
明日までの時間が何を
神様からの戒めと恨む
そんな夜が辛かったよ

前略、君へ

もう世間は秋の色に染まり
帰り道の銀杏の色が眩しい
少し寒くなってきたので、
体には気をつけて下さいね

文化祭も近くなり出し物の
おっきな塔が貴方のクラス
から出来上がるのが楽しみ
夢中な貴方に少し焼き餅ね

あの頃の僕は、
どんな夢を描いていいのかすら見えずに、夢が夢と分からず、夢を描くことが与えられた目標なのか使命なのか、それが大人への歩む道なのかと、周りのクラスメートのせわしない塾とノートと目指す所に、僕をますます不安を感じていた。分からない自分、分からないことへの不安な気持ちに気付く自分。

隣を歩く君は終わることの無い微笑みに、僕はおどけたピエロのように、おどけて見ては君の笑顔を絶やすことが怖かった、本当は君の笑顔が僕を救って癒して、そして暖かった事を。たぶん、これが好きと思えた、あの日。

来る日も・・・来る・・・
ザー・・・そんな・・・
ザーザーザー

信じることは罪ですか。
信じた僕が罪ですか。
信じた事さえ罪ですか。

人は時にして人を恋し愛し焦がれ引き寄せあい痛めた胸に癒す思いは熱く燃えて君を抱く。。。
それは突然と思う自分は、突然は必然の始まりであり、必ず物語に始まりが有るように終わりも有ると、幼い頃に開いた絵本で知っていたのに。
そして、痛めた胸は目を閉じて、口は言葉を失う鳥に鳴き、手の力は足すら無に誘われた様。

こんにちは、あの日
なんとなく耳にした
つまらない噂は走り
きっと自分の空耳と

鳴るはずの携帯は、
僕の訪れを拒絶し、
その向こうの時は、
僕なんて居ない空

誰かと繋がる糸

ねえ、もしもし ツーツーツー
いま何してるの ツーツーツー
僕はそこに居ない

ねえ僕、
その時が来たら
クールに決めるって
いつも言ってたのに

そんなの
へっちゃらだって
いつも言ってたのに

走ったって
叫んだって
恨んだって

なにも変わらないのに。

もしもし、○○さん居ますか・・・
そうですか、携帯中ですか。
いいんです。さようなら。
ツーツーツー

前略、僕へ

夢を見た
僕はまだ幼くて
一歩歩く事さえ
悩んでる僕居た

寂しさと悲しさは
みんな全部辛くて
悲しくて涙しては
癒す事さえ忘れて

思い出に変える事に
もがき傷付く渡り鳥

あの日感じた事は
痛みでも悲しみでも
苦しみでも無いよ

愛かな

ザーザーザー
・・・あの日・・・僕へ・・・ザー
アディオス。

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