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外国人観光客目線でみる飲食店の多言語対応タッチパネルの使いやすさ

インバウンドの回復と共に、多くの飲食店で外国人観光客が増加し、それに伴う対応が進んでいます。対応の方法は多岐にわたりますが、急速に普及しつつあるタッチパネル(タブレット)を多言語対応することで、心理的・能力的にハードルの高い英語等での接客の必要性を減らしつつ、外国人観光客の利用のしやすさを高めている飲食店が増えているように思います。

最近、タッチパネル(タブレット)の多言語対応の質はお店によって大きく異なることに気が付いたので、東京駅周辺のあるラーメン屋と大手チェーンの大戸屋の事例を通じて、多言語対応の現状と課題についてみていきたいと思います。

ある東京駅周辺のラーメン屋の事例

東京駅周辺のあるラーメン屋では、タッチパネルのトップ画面は次のようなUIになっていました。見ての通り、初期設定は日本語になっています。

左下の「言語」を押下することで他の言語に切り替えることができます。しかし、「言語」という表記は日本語であり、それっぽいアイコンはあるものの、これが言語切り替えのボタンであることが分かりやすいとは言えません

英語に切り替えたところ、次のUIになりました。

画面下部は英語になっているものの、「ラーメン」「つけ麺」という文字は日本語のままです。ちなみに、ラーメンを押下した次の画面ではきちんと英語でメニューが表記されていました。

ここは東京駅のすぐ近くで、実際に店内にも外国人観光客と思われる方が多くいたので、日本人のみをターゲットにしているわけではなさそうです。にも関わらず、彼らにとって使いやすいにはなっていません。

IT屋目線で邪推すると、営業に進められるままタッチパネルを導入したが、特にユーザ視点でのテストは行っていなかったのでしょう。

大戸屋の事例

次に、アジアを中心に海外にも多くの店舗を出店している大戸屋のタッチパネルのUIを見てみます。

大戸屋では、タッチパネルをタップすると、まず言語選択を求められます。

言語選択を求めるメッセージや、選択する言語についても各国の言語で記載されています

日本語を選ぶと次の画面に遷移します。日本語の画面でも小さい文字ではありますが英語が併記されており、言語切り替えボタンも画面右下に英語で「Language」と表示されており、非日本語話者により親切な設計になっていることがわかります

おわりに

飲食店側の目線では、メニュー開発、原価管理、マーケティングなどより重要な検討事項が多くあるとは思います。これらに対する優先度は一つ劣るかもしれませんが、タッチパネル(タブレット)や配膳ロボットなどのテクノロジーを顧客にとって使いやすい形で導入することは、お店側のホスピタリティの表れとなり得る重要なものだと思います。

今回は言語切り替えのUIに焦点を当てましたが、言語を切り替えたときに、各国の言語でどのような表示をすべきか、という点についても「ローカライゼーション」という奥深い分野がありますので、導入として面白いサイボウズの公開研修資料を紹介しておきます。

以上です。

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