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『きみの鳥はうたえる』を観た

好きな人から
「いい感じの映画だった」と予告のリンクが送られてきた

予告をみると
若者の友情と恋愛とせつない感じなのかな
と思ったけどどこかぼんやり暗い雰囲気もあって
興味が湧いた

映画配信のサブスクで調べると出てきたので
すぐに観てみた
書店でアルバイトするだらしがない「僕」と
同じように書店で働く「佐知子」
「僕」と同居する「静雄」

佐知子が男をあちこちする映画と言ってしまえば
それまでなのかもしれないけど
こういうのあるよなぁと思わされた

書店の店長と不倫関係にあって
店長は無断欠勤したり二日酔いで酒臭かったり
万引きを気にしなかったりする
だらしなく責任感の無い僕に対しても
怒るとか見捨てるとかなく
諭すように言い聞かせている
そんなとこからも垣間見えるように
きっと不倫相手としての店長も優しかったんじゃないかなぁと私の勝手な想像

でも所詮は不倫
店長は奥さんのもの
店長の優しさにももどかしさや寂しさを感じてた、のかなと推測

そんなところに
自由に生きている僕が目に入り
ほんの少しのきっかけを佐知子が作る
それを僕が気付けば何かが変わり
気付かなければ何も変わらないほんの些細なきっかけ

僕はそれをなんだ?と思い
そのまま何もなかったように過ぎようとするが
ふと思いとどまって数を数える
これが2人の縁というのか、糸が絡まるように
2人が個人的に繋がり始める

僕はなんとなくそうした、つもり

飲みに行こうと佐知子に誘われ
一旦帰ってまた集合ね
と僕は言い、アパートへ帰る
僕は寝てしまい佐知子との約束の店には行かなかった
同じ部屋に住む静雄と酒を飲み
ふらふらと歩き回り
何というわけでもなくいたずらをしたりして
静雄と2人、笑いながら飲んだくれ
二日酔いでアルバイトへ行く

佐知子とはメールのやりとりを始め
すぐにアパートへ連れていき
体の関係に
佐知子は「めんどくさいのは嫌」と言い
僕は「めんどくさくないよ」と答える
好きとか告白めいたことはなく
恋人というはっきりした関係ではないが
歩きながらキスをしたりと楽しそうに過ごす

同居人の静雄は独特の雰囲気で
穏やかなのか少し幼いのか
1人の世界がある
自然が好きだったり音楽をいつも聴いていたり
怒ったりすることなく
普段から微笑んでいるように見えるそんな表情をしている

佐知子は僕との関係が始まり
楽しいし刺激もあるから僕を好きになる
これも私の勝手な想像

でも僕は佐知子を束縛したりしない
静雄が酔っ払って
「佐知子、一緒に映画に行こう」と言い
佐知子が僕に
「静雄に映画に誘われちゃった」と言うと
「行ってきたらいい」
と普通に答える

それが女心なのかは分からないが
やきもちを焼いて欲しい
束縛して欲しい
と思っても僕はいたってフラット

3人で酒を飲みクラブで踊りビリヤードをしたり
と夜な夜な遊びに出かける
佐知子もアパートに泊まり
静雄が気を遣いアパートを離れることもある

僕と静雄は全然違う性格だが
お互いを認めていてお互いを大事にしているのが分かる
僕が静雄をないがしろにしていたり
軽くみているような印象は受けない

佐知子は優しすぎた店長と別れ
僕と関係があることも店長に話し
書店を辞める
店長はかなりショックを受けるが
そこでも大人の優しさなのか
僕に「佐知子を大事にしてやってくれ」と言い
妻とはもう離婚していることも僕に話す

僕の佐知子に対する温度は
アップダウンせずいたってフラットに見える
相変わらずいちゃいちゃはするが
佐知子がどうしてても特に気にならず
自分のしたいように行動している

人のものである大人で優しすぎた店長から
自由で裏表のない僕に惹かれるのもすごく分かる
めんどくさいのは嫌、と言いながら
嫉妬されなかったり束縛されなかったりすることに
寂しさや不満を感じるのも分かる
体の関係はありながら
自分って僕の何?とぐるぐるしてるところに
純粋で優しい静雄がいる

キャンプに行こうよと静雄が提案し
僕は断る
時間に捉われずのんびり過ごして
星を見たり本を読んだり
朝起きたらコーヒーを淹れて
昼間は眠くなったら昼寝をするんだ
と楽しそうに話す静雄に
「俺はいーや」と答える
静雄は
「佐知子と2人で行くよ」と伝える

2人のキャンプの様子は一切出てこない

キャンプに行っている間
僕は書店店員のモブにぼこぼこにされる
それも
もともとはこのモブがいけすかない感じの男で
トイレで僕が殴ったことに対しての
復讐で襲われている

全身棒のようなもので殴られ傷だらけで
一人アパートで過ごしている僕のところに
静雄の母が訪ねてくる
静雄の母はダメ母で無職の息子に
金を借りにきたりする
普段から飲んだくれの母

キャンプから帰ってきた静雄に
兄から母が倒れたと連絡が入る
その夜も実家には帰らず3人で飲み
朝を迎える
3人でお母さんに会いに行こうと佐知子は提案するが
静雄は、自分一人で行くよと
身支度をし僕と佐知子に見送られ実家に帰る

佐知子は帰り道
「静雄と恋人として付き合うことにしたよ」
と僕に告げる
これはきっと佐知子の賭けで僕を試しているのだ
僕は
「いいんじゃない、そうなればいいと思ってた」
と答える
僕はほんとにその場でそう思った
静雄を通して見る佐知子はまた良いだろうなとさえ

佐知子は引き止めて欲しかったんだろうなと思う
けどそんな佐知子の思いとは違い
いたって普通にそう答える僕に
もういいや、と佐知子は思ったはず
向きを変え道路の向こうに歩き出すその瞬間に

佐知子が最初に作ったほんの少しのきっかけを
もう一度佐知子がする

きっと最後の望みなのか佐知子の願いなのか
好きの未練なのかは分からないが
気づいて欲しいというきっかけ
これもほんとに突き刺さる

そこで僕は気づく

これは女にしてみれば
なんて都合の良い!!と腹の立つ瞬間でもあるが

僕は走り出し佐知子を引き止める

佐知子は泣きそうな顔をし
「やめてよ」と言う

僕は「佐知子が好きなんだ!」と初めて言葉にする

それで映画は終わり

あーーーーーね

男と女をうまいこと描いてる

優しい不倫相手の大人の男、所詮人のもの
どうあがいても人のもの
身近な真反対の自由な男
ちょっと粉かけたら乗ってきて
不倫相手のこともあるから
めんどくさいのは嫌と言いつつ
新しい男にはまり
不倫相手とは別れる

新しい男は一緒にいて楽しいしやれるし
女を側に置いておく
全く悪気はない
楽しければいいじゃんとさえ思う
自分の友達と女が近づいていっても
それはそれでいいんじゃない?くらいのスタンス

女は自由な男がほんとに自由で
嫉妬もせず
やることやって楽しいは楽しいけど自分って何なの?
とか思っちゃう
そんな時いつも3人で過ごしてる穏やかで優しい男の友達と気を紛らわせたりもしてみるが
きっと本心は男にもっと本気になって欲しいと思ってる
それでもどうにもならない男に
好きだけど見切りをつけようとする女

もしかしたら、と最後の賭けで
友達と付き合うことにする、と言う

分かるなー
分かる
そこで男はやっと気づくのか
やっぱり惜しいと思うのかは分からないが
女を引き止める

男の狡さと女の狡さそして弱さがうまいこと表現されてたように思う

あと
ほんの些細なきっかけで男と女になる
それもあるあるだよなって
あの時のあれが無かったら
今こんな風になってなかった
あの時のあれがあったから
今繋がってる
そういうのってある

映画は匂わせで終わってる

一人のヤリマンに男3人が振り回されてる映画と
評してる人もいて
そう言っちゃったらそれまでだけど

分かるなぁと思いながら最後まで観た

弁当屋で待ちながら
佐知子が若いアルバイトの子に
「それでどうでした?セックス」と聞かれ
「ぴったりくるって感じかなぁ」と答えてるのとか
なんとも言えず身につまされた 笑

純粋におもしろかったけど
そんな映画私に紹介しないでよ
複雑な気持ちになりまくる

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