新作「ZERO GRAVITY」20首と、文学フリマでフリーペーパーとして(その前後の期間にネットプリントとしても)配布した「OVER」20首を併せて公開します。A面B面みたいなイメージです。よろしくお願いします！


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ZERO GRAVITY    芒川良


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ZERO GRAVITY  それは歌にも作用して
わ
　か
　　　　　　ら
な
　　　　く
　　な
　　　　　　る

く
　　　　ち
　び
　　　る
　　　　　　　の
あ
　じ


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いつから錯覚していた？月にまつわる言説じゃ愛も言葉もたりないだろうね

地球から遠く離れた惑星に重力が季語として伝わる

天使みたいにバイト先で浮いているので望めば誰か救えたはずで

立っているというよりは地面に刺さっているようなイメージ　薔薇に青い血

舞い落ちる桜の花びらを見ていて私もニュートンになれるかも

抽象的すぎるのでもう少しだけキスとかしてもらっていいですか？

無重力マッサージ機に凭れかかるあなたを見ていた どこか間抜けで

まさか自室で撃たれるとは思わなかった　スローの紙吹雪に蝋燭も

飛び降りてわずかな時間に鮮やかな夢を見せられている　飛び降りる

ゼロ・グラビティ　遮るものが何もなく、それでよかった　　　きみは二度死ぬ

二度死ぬというのは嘘で教えると千度であれど一度ではない

どこか痛む程度の嘘だよ　嘘だよ　嘘だよ　なにが　ほんとか　わかる？

分離する火のきらきらを見ていたら見落とす愛のかたちの全て

ふわふわとしている会話　宇宙では具体の意味がとれないだろう

変な夢のはなし　あなたは私がその夢を見ることを知っていて　その顔

私たちは別々の何かに引かれて離れていった　本当だよ

あなたから重力さえも奪いたい　から　(のは)　嘘じゃありません

夢の中の夢にいるとき目が覚める感覚がない　殺してほしい

生まれ変われるならそうしたい　羊水の中にいるとき幾らか無重力


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OVER    芒川良


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情報過多で頭が痛い 忘れたりあなたの前髪が崩れたり

オーバーな反応を見せたその先に破局が待っていると知ってて

光の特急が光の停車駅にとまり光の勢力図が入れ変わる

深夜帯アルバイト中の腹痛をゼロオペで乗り切った話　した？

何かしらが終わりそうな兆しを見てもそれが自身とはまさかおもうまい

有線で流行りの曲が流れたらふたりの壊れそうな鼻唄

白熱灯みたいな夜だ　愛もまた緩やかなひかりのそばにある

いつかくるその時　僕は備えているその時のためのいくつかの月

走馬灯がモノクロームで夢みたい　今まで気づけなくってごめんね

喪失の半分くらいは君のせい 言葉にしたくないからこれでおわりでいい？

Supernatural 速すぎる光の中の遅すぎる何かを捉えたい

無がこんなにリリカルなのは裏切りだ   魔法少女リリカルなのは

籠城のさなかに君は洋菓子の苺の周りばかりを食べた

何度かの失恋を経て何度かの失恋がくる　エンター・ブレイン

帰り道の途中で羽ばたく蝶を見て想起せられたのは密室論

陽の当たる場所を生きてきたからいつもGAMEOVERの画面は暗い

雨の音がきこえる 僕は完璧な林檎の歌を雨音として

いつかあなたを看取る人が現れたとして、その時までに、なく、なく、亡くなる

美しい公転軌道 愛がまた理解できなくなったらおいで

※ Twitter、ブログ等での無許可でのオーバードーズなど歓迎です


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文学フリマで本やフリーペーパーを手に取ってくださった方、またコンビニで印刷してくださった方、本当にありがとうございました。想定よりは売れましたがまだ在庫があるので興味を持ってくださった方などいらっしゃればDMお待ちしています。(感想なども…！)よろしくお願いします。

過去作の方も是非。

宇宙通信11首