STAY(18首)

短歌研究新人賞に出した連作(予選通過でした)を唐突に公開する気になったのですが読み返したらそれぞれが下手な上に連作としての方針がブレブレだったので、いくつか間引くことで多少読みやすくしています。
これを作っていた時期からもう少しで一年が経つのかとおもうと色々な意味でやるせないです。
感想などお待ちしています!歌の引用も歓迎です。





STAY 芒川良





これが余白の文学ならば補ってみよ  stay


感覚を全て言葉にできるから、もう気持ち良くないんだ、ごめん


意味もなく人混みで白目を向いて人類の選別をはじめる


夜の記憶が曖昧なのはとても遠くで星が溶け出していたから 驟雨


物語に花が出てきたら注意して もし降ってきたなら会いに来て


ゲルハルト・リヒター うまく泣けるだろう遠い春雷うばわれて雪


淀んだ川を見ていてどこか今っぽい煌めきを見逃したらなどと


優しかったこと思い出してもきりがない 雨は凍る時なんどもそのあたりを逡巡した


雑司ヶ谷/嘘をつくことだってできた/多磨/君のためだけにだよ/霊園


合わせ鏡の中へと光は還り あなたはそして何も知らなかった ってことでいいですか


失った愛は余白に朽ち果てた身体は灰に いい気味だよね。


花吹雪をflower danceと訳したらぶくぶく歪む夜に花影


揺れる夜と火のはざまで私が君に刺されたいのは宿木のため。


電線に沿って雫が落ちてくる 迷わず切れないならその程度


淫らだね 絞め殺したら手触りでわたしを忘れられないなんて


それだけで多くの人を黙らせる歌声で 恋人よ 留まれ


君が私の悦びのために死ねるなら笑顔とは暴力の外面


ほとんどは崇拝のために生きていく 留意せよ 忘れよ STAY 

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